スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
八月 瑠璃色の夕べに君はいない (1)
2008.12.26 Fri
亮と翔真と和衣と祐介のおかげで、睦月は何とか夏休みの補習を免れた。
まぁ、祐介以外の3人も、本当のことを言えば、自分の勉強だけでも手いっぱいなところがあったから、祐介のお世話にはなったのだが。
しかしさすがに睦月も申し訳ないと思ったのか、「今日のお昼、俺が奢ってあげる」と申し出た。
もちろんその後に、「でもあんま高くないヤツね」と付け加えたが。
「ねぇねぇ、みんな夏休みはどうすんの?」
サラダうどんにマヨネーズを掛けながら、睦月は小首を傾げた。
よく考えていなかった睦月は、普通に学校があるときと同じようにバイトを入れてしまって、これでは実家にも帰れないのだと気が付いたときには、試験が無事終わって、夏休みを待つばかりになっていたのだ。
「みんなお家帰っちゃうの? 俺、一人ぼっち?」
グルリと4人の顔を見回せば、「お盆には帰るつもりだけど…」と、全員から同じ答えが返って来た。
「えぇ~?」
「むっちゃん、お盆にもバイト入れちゃったの?」
「うん。後でお盆だって気が付いた。あ、それで店長にすっごい感謝されたのか!」
ようやく合点がいったのか、睦月は1人で納得しているが、後の4人はただポカンとするばかりだ。
亮たちは会ったころから何となく思っていたが、やはり睦月は少々世間知らずというか、1人で普通に生活していくための能力は低いようで、幼馴染みの祐介が過保護になるのも無理はなかった。
「ま、いっか。お盆終わった後に休みがあるから、そのときお墓参りすれば、お母さんも怒んないよね?」
「知らねぇよ。悪いけど俺、おばさんに言い訳すんのヤなんだけど」
「何で? ゆっちがうまく言ってくれれば大丈夫。お母さん、ゆっちのこと、超信用してるから」
「信用されてるから、裏切りたくないの。だからハッキリ言う。睦月はお盆にバイト入れたから帰って来ないって」
「ダメ、そんなの!」
お願い、これ上げるから! とか言いながら、睦月は嫌いなパセリを祐介の皿に移した。
「お前なぁ、」
ガタンッ。
祐介が突っ込みを入れ掛けたところで、突然、和衣が音を立てて椅子から立ち上がった。
睦月も祐介も、キョトンと和衣に視線を向ける。
「カズちゃん?」
「……これ、片してくる…!」
どうしたの? と尋ねる睦月に、トレイを持った和衣はそう言い捨てて、さっさと席を離れた。
残された4人のうち、亮と翔真は何となく事情が分かるだけに、少々居た堪れない。
「……俺、カズちゃんに何かしたかなぁ」
和衣がいなくなった席で、睦月がポツリと漏らした。
食器を片付けてくると言った和衣は、そのまま席には戻らず、カフェテリアを出ていってしまっていた。
「何か最近、カズちゃんに避けられてる気がする…。俺、何かした? それともゆっち、何かしたの?」
「何もしてねぇよ!」
「じゃあ何で? 俺、カズちゃんに嫌われちゃった?」
むぅ…と唇を突き出して、けれど睦月の瞳は不安に揺れていて、今にも泣き出しそうな雰囲気に、亮も翔真も何も言えなかった。
まぁ、祐介以外の3人も、本当のことを言えば、自分の勉強だけでも手いっぱいなところがあったから、祐介のお世話にはなったのだが。
しかしさすがに睦月も申し訳ないと思ったのか、「今日のお昼、俺が奢ってあげる」と申し出た。
もちろんその後に、「でもあんま高くないヤツね」と付け加えたが。
「ねぇねぇ、みんな夏休みはどうすんの?」
サラダうどんにマヨネーズを掛けながら、睦月は小首を傾げた。
よく考えていなかった睦月は、普通に学校があるときと同じようにバイトを入れてしまって、これでは実家にも帰れないのだと気が付いたときには、試験が無事終わって、夏休みを待つばかりになっていたのだ。
「みんなお家帰っちゃうの? 俺、一人ぼっち?」
グルリと4人の顔を見回せば、「お盆には帰るつもりだけど…」と、全員から同じ答えが返って来た。
「えぇ~?」
「むっちゃん、お盆にもバイト入れちゃったの?」
「うん。後でお盆だって気が付いた。あ、それで店長にすっごい感謝されたのか!」
ようやく合点がいったのか、睦月は1人で納得しているが、後の4人はただポカンとするばかりだ。
亮たちは会ったころから何となく思っていたが、やはり睦月は少々世間知らずというか、1人で普通に生活していくための能力は低いようで、幼馴染みの祐介が過保護になるのも無理はなかった。
「ま、いっか。お盆終わった後に休みがあるから、そのときお墓参りすれば、お母さんも怒んないよね?」
「知らねぇよ。悪いけど俺、おばさんに言い訳すんのヤなんだけど」
「何で? ゆっちがうまく言ってくれれば大丈夫。お母さん、ゆっちのこと、超信用してるから」
「信用されてるから、裏切りたくないの。だからハッキリ言う。睦月はお盆にバイト入れたから帰って来ないって」
「ダメ、そんなの!」
お願い、これ上げるから! とか言いながら、睦月は嫌いなパセリを祐介の皿に移した。
「お前なぁ、」
ガタンッ。
祐介が突っ込みを入れ掛けたところで、突然、和衣が音を立てて椅子から立ち上がった。
睦月も祐介も、キョトンと和衣に視線を向ける。
「カズちゃん?」
「……これ、片してくる…!」
どうしたの? と尋ねる睦月に、トレイを持った和衣はそう言い捨てて、さっさと席を離れた。
残された4人のうち、亮と翔真は何となく事情が分かるだけに、少々居た堪れない。
「……俺、カズちゃんに何かしたかなぁ」
和衣がいなくなった席で、睦月がポツリと漏らした。
食器を片付けてくると言った和衣は、そのまま席には戻らず、カフェテリアを出ていってしまっていた。
「何か最近、カズちゃんに避けられてる気がする…。俺、何かした? それともゆっち、何かしたの?」
「何もしてねぇよ!」
「じゃあ何で? 俺、カズちゃんに嫌われちゃった?」
むぅ…と唇を突き出して、けれど睦月の瞳は不安に揺れていて、今にも泣き出しそうな雰囲気に、亮も翔真も何も言えなかった。
- 関連記事
-
- 八月 瑠璃色の夕べに君はいない (2) (2008/12/27)
- 八月 瑠璃色の夕べに君はいない (1) (2008/12/26)
- 七月 嫌がらせの至近距離 (8) (2008/12/25)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
コメントの投稿はこちらから ♥
COMMENT-FORM
柚子季杏 ⇒ カズ
もう本当、目一杯まで来ちゃってるんですね・・・。
んーなんか、切ない!
個人としてはむっちゃんのことだって好きなんだろうけど、そこにゆっちが絡んじゃうのが必然なだけに、恋する立場としちゃ辛いっすねー。
ガンバレー!!
にしてもむっちゃん・・・・・本当、色んな意味で、がんばれ(´∀`;)
ゆっちも苦労してきたのね~苦笑
んーなんか、切ない!
個人としてはむっちゃんのことだって好きなんだろうけど、そこにゆっちが絡んじゃうのが必然なだけに、恋する立場としちゃ辛いっすねー。
ガンバレー!!
にしてもむっちゃん・・・・・本当、色んな意味で、がんばれ(´∀`;)
ゆっちも苦労してきたのね~苦笑
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
何か今回、カズちゃんを嫌な感じのところで切ってしまって……悪い子じゃないのよ~、と必死に言い訳します。
むっちゃんのこと好きだけど、ゆっちと仲良くて、何か…何か…みたいな。
恋する乙女の心は複雑です。
…で、お姫は相変わらずです。
>……本当、色んな意味で、がんばれ(´∀`;)
よく言って聞かせます。
コメントありがとうございました!
むっちゃんのこと好きだけど、ゆっちと仲良くて、何か…何か…みたいな。
恋する乙女の心は複雑です。
…で、お姫は相変わらずです。
>……本当、色んな意味で、がんばれ(´∀`;)
よく言って聞かせます。
コメントありがとうございました!
大野こうこ ⇒
りり ⇒ かわいそうなカズちゃんを応援します
カズちゃんの想いをかなえてあげたくてたまりません!!
こういう乙女系の切なさにも弱いのです…。
もう煮詰まってますね。
告白する?するのか?!
むっちゃんまだ子供なんですね(ぷぷ
自分のせいで誰かが嫉妬に苦しんだりとか想像もできないのかな。
こういう子が恋を知ったらどうなるのかなぁ。
先が楽しみです。
こういう乙女系の切なさにも弱いのです…。
もう煮詰まってますね。
告白する?するのか?!
むっちゃんまだ子供なんですね(ぷぷ
自分のせいで誰かが嫉妬に苦しんだりとか想像もできないのかな。
こういう子が恋を知ったらどうなるのかなぁ。
先が楽しみです。
如月久美子 ⇒ >大野さん
ホント、みんな不器用ちゃんなんですよ。
特にカズちゃん。
いっぱいいっぱいです。
でもお姫は無邪気すぎて、よく分かってないという…(苦笑)
まだまだ前途多難です。
コメントありがとうございました!
特にカズちゃん。
いっぱいいっぱいです。
でもお姫は無邪気すぎて、よく分かってないという…(苦笑)
まだまだ前途多難です。
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >りりさん
書きながら、みんなにカズちゃんが嫌な子! て思われたらどうしよう…て心配してたんですが、みんな乙女の切なさを感じ取ってくださって、書いてるほうとしては嬉しかったです(笑)
むっちゃんは、まだまだお子ちゃまです。
鈍感なのに、自分は鈍感じゃないと信じてるタイプ。
何とかみんな仲良くさせたいと思ってますが…。
コメントありがとうございました!
むっちゃんは、まだまだお子ちゃまです。
鈍感なのに、自分は鈍感じゃないと信じてるタイプ。
何とかみんな仲良くさせたいと思ってますが…。
コメントありがとうございました!