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七月 嫌がらせの至近距離 (5)
2008.12.22 Mon
「でも、ノートのコピーじゃ、バレるんじゃない?」
「うん。だから今から書き写す。今からならまだ間に合うでしょ?」
まだ亮が見せるとも何とも言っていないのに、もう見せてもらえることになっているかのような睦月の口振り。
でも、何だかんだ言っても、結局は亮が負けて、ノートを見せることになるのがいつものパターンなのだが。
「でもさぁ、今から必死にノート書き写すくらいなら、授業中にコツコツ書いてたほうが楽だったんじゃない?」
至極もっともなことを言う和衣に、亮も翔真も賛同した。
「だって、しょうがないじゃん。今さらそんなこと言ったって始まんないし!」
「そうだけど、」
「次からは! 次からはちゃんと授業中にノート取るから! だから亮、今はノート見せて」
何の説得力もない睦月の言葉に、亮は顔を顰めたが、それよりも何よりも。
「つーか、睦月、重い…暑い…」
とにかく今は、早く背中の上から退いてほしい。
クーラーなんて気の利いたもののないこの部屋で、いくら扇風機がフル稼働していても、べったりと背中に貼り付かれていては、汗だくになるに決まっている。
けれど睦月は、亮がいいと言ってくれるまで、背中から退く気はないらしい。
「ね、お願い!」
かわいらしく小首を傾げる姿は、下手なアイドルよりもよっぽどかわいくて。
「分かった! 分かったから、ひとまず俺の上から降りてくれー!」
とうとう亮は、負けた。
「やったー!」
ようやく亮から承諾を得た睦月は、ガッツポーズを作りながら、やっとその上から退いた。
「よかったね、むっちゃん」
「うん。だってさぁ、ゆっちに言ったら、『自分で授業中寝てたのが悪いんだからダメ』とか言って、ノート見せてくんないんだもん」
やはり睦月も暑かったのか、机の上に放り投げておいたうちわで、バサバサと自分を扇ぎながら、ふて腐れたようにそう言った。
「、」
睦月の口から「ゆっち」という名前が出た瞬間、和衣の顔が一瞬曇ったのを、亮と翔真は見逃さなかった。
もちろん、和衣の恋心を知らない睦月は、いつもの調子で彼の名前を口にしたのだし、祐介からノートを見せてもらえなかったというのも、本当のことだろう。
彼が、祐介との仲を見せ付けるためにそんなことを言ったわけではないことくらい、和衣にだって分かるから、すぐに笑顔を見せて、「ふーん」といつもどおりの返事をした。
(あー…俺ってヤな子…。むっちゃんにヤキモチ妬いてどうすんの…?)
別に祐介と気持ちが通じ合ったわけじゃない、単なる和衣の片想いで。
睦月と祐介も、自分たちと同じ幼馴染みの腐れ縁。
分かっているのに、今までのように振る舞えなくなってしまった自分に、和衣は自己嫌悪した。
「うん。だから今から書き写す。今からならまだ間に合うでしょ?」
まだ亮が見せるとも何とも言っていないのに、もう見せてもらえることになっているかのような睦月の口振り。
でも、何だかんだ言っても、結局は亮が負けて、ノートを見せることになるのがいつものパターンなのだが。
「でもさぁ、今から必死にノート書き写すくらいなら、授業中にコツコツ書いてたほうが楽だったんじゃない?」
至極もっともなことを言う和衣に、亮も翔真も賛同した。
「だって、しょうがないじゃん。今さらそんなこと言ったって始まんないし!」
「そうだけど、」
「次からは! 次からはちゃんと授業中にノート取るから! だから亮、今はノート見せて」
何の説得力もない睦月の言葉に、亮は顔を顰めたが、それよりも何よりも。
「つーか、睦月、重い…暑い…」
とにかく今は、早く背中の上から退いてほしい。
クーラーなんて気の利いたもののないこの部屋で、いくら扇風機がフル稼働していても、べったりと背中に貼り付かれていては、汗だくになるに決まっている。
けれど睦月は、亮がいいと言ってくれるまで、背中から退く気はないらしい。
「ね、お願い!」
かわいらしく小首を傾げる姿は、下手なアイドルよりもよっぽどかわいくて。
「分かった! 分かったから、ひとまず俺の上から降りてくれー!」
とうとう亮は、負けた。
「やったー!」
ようやく亮から承諾を得た睦月は、ガッツポーズを作りながら、やっとその上から退いた。
「よかったね、むっちゃん」
「うん。だってさぁ、ゆっちに言ったら、『自分で授業中寝てたのが悪いんだからダメ』とか言って、ノート見せてくんないんだもん」
やはり睦月も暑かったのか、机の上に放り投げておいたうちわで、バサバサと自分を扇ぎながら、ふて腐れたようにそう言った。
「、」
睦月の口から「ゆっち」という名前が出た瞬間、和衣の顔が一瞬曇ったのを、亮と翔真は見逃さなかった。
もちろん、和衣の恋心を知らない睦月は、いつもの調子で彼の名前を口にしたのだし、祐介からノートを見せてもらえなかったというのも、本当のことだろう。
彼が、祐介との仲を見せ付けるためにそんなことを言ったわけではないことくらい、和衣にだって分かるから、すぐに笑顔を見せて、「ふーん」といつもどおりの返事をした。
(あー…俺ってヤな子…。むっちゃんにヤキモチ妬いてどうすんの…?)
別に祐介と気持ちが通じ合ったわけじゃない、単なる和衣の片想いで。
睦月と祐介も、自分たちと同じ幼馴染みの腐れ縁。
分かっているのに、今までのように振る舞えなくなってしまった自分に、和衣は自己嫌悪した。
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COMMENT-FORM
柚子季杏 ⇒ さすが保護者!
甘やかすだけじゃない辺り、ゆっちですねww
正論だぞ、むっちゃん!(って言いつつ、次回もきっと「写させて~!」なんでしょうねww)
ネットからですか~。
あ~でも、参考文献同様URL記載が必須とかいうのも聞いたことあるような・・・。
自分の時とは時代が違うな~(苦笑)
カズちゃんが悪いわけでも、勿論むっちゃんが悪いわけでも無いんですけどね~。
恋する乙女心は複雑だ~(;´Д`)=3
正論だぞ、むっちゃん!(って言いつつ、次回もきっと「写させて~!」なんでしょうねww)
ネットからですか~。
あ~でも、参考文献同様URL記載が必須とかいうのも聞いたことあるような・・・。
自分の時とは時代が違うな~(苦笑)
カズちゃんが悪いわけでも、勿論むっちゃんが悪いわけでも無いんですけどね~。
恋する乙女心は複雑だ~(;´Д`)=3
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
言ってることは何1つ間違ってないのに、なぜかむっちゃんからは悪者扱いされてるゆっち……かわいそうな男です。
次回こそがんばるから! て、きっと毎回言ってるんだと思います(苦笑)
最近の大学生は、参考文献はネットが中心らしいです。
時代は変わりました。
そしてカズちゃんは、ますます恋する乙女に…(爆)
コメントありがとうございました!
次回こそがんばるから! て、きっと毎回言ってるんだと思います(苦笑)
最近の大学生は、参考文献はネットが中心らしいです。
時代は変わりました。
そしてカズちゃんは、ますます恋する乙女に…(爆)
コメントありがとうございました!