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五月 水面には君という波紋 (5)
2008.12.09 Tue
あれからギャーギャーと騒ぎ倒した後、風呂の時間が終わりそうになって、3人は慌てて風呂に向かった。
亮が部屋に帰ってきたら、睦月はベッドの中で頭までふとんを被っていたけれど、部屋の明かりが点いていて、もしかして亮に気を遣ったのだろうか、いや、求人誌を読みながら、そのまま寝てしまったのだろう。
寝るにはまだ早い気もしたが、祐介のようにテキストを開く気にもならず、ベッドの中で適当に雑誌を広げた。
それからしばらくして、亮もウトウトし始めたころだった。もう部屋の電気を消そうかと、ベッドを降りようとしたときだった。
「―――ぅん…うぅ…」
風の音に混じって聞こえた、苦しそうな声。
ビクッと亮は肩を竦ませた。実のところ、亮はいわゆる"そういう系"が苦手なのだ。
部屋の真ん中で亮が固まって、亮が気のせいだ気のせいだと自分に言い聞かせながら耳を澄ましていると、それが睦月のベッドのほうからだと気付いた。
「睦月?」
彼のベッドに近付いてみると、苦しそうな声を出しているのは、やはり睦月だった。
「おい、大丈夫か?」
ひどくうなされている睦月の体を、ふとんの上から揺さ振る。
「ヒッ…イヤッ…!!」
ハッと目を開けた睦月が、顔を近付けていた亮の体を押し退けて、壁際まで逃げた。
「ちょっ…」
「……あ…」
ふと睦月の視線が焦点を定めて、亮の姿を認識する。
「どうした? すげぇうなされてたけど」
「なっ…何でもないっ!」
顔を覗き込めば、バッと逸らされて。
「何でもないって……いや、いいけど。大丈夫なのか?」
「…………ちょっと、嫌な夢、見て……」
睦月は大きく息をついた。
「怖い夢見た~? それなら亮くんが一緒に寝たげようか?」
わざと明るい声を出して、睦月の顔を覗き込む。『うるさい! さっさと寝ろ!!』って言われるのは覚悟の上、だったのだが。
「ホントにいいの?」
なんて、上目遣いに見られて。
「は? え? あ、うん」
今さら冗談だなんて言い出せなくて、亮はコクリと頷いてしまった。
自分でも、男相手に何やってんだろう、とは思ったれけど。
睦月に、何言ってんだよって、突っ込めばよかったんだろうか。でも、断わり切れなくて。
広くもない、シングルサイズのベッド。
壁際に寄ってふとんに入る睦月の横に、亮は失礼して。
やっぱりよく意味が分からない。
相手は女の子でもなければ、小学生でもない。自分と同い年の男子大学生なわけで。
でも一番わけが分からないのは―――
(何で俺、ドキドキしてんの…?)
相手は男だ。
いくら顔がキレイでも、男だ。男だ。男だ。
亮は、何度も自分に言い聞かせる。
「……ゴメンね」
体を丸くした睦月が、ポツリと呟いた。
「俺…………風の音、苦手で……」
窓の外。
天気は回復する気配がないのか、気味の悪い音を立てながら風が窓を叩いている。雨音も激しくて。嵐。
「昔、ちょっと……その、色々あって……」
「……そうなんだ」
亮は、所在なさげにしていた手を、睦月の背中に回した。
「もう大丈夫だって思ってたんだけど…………やっぱ、ちょっとまだ、ダメだったみたい…」
「いいよ、こうしててやるから、もう寝よう?」
そう言うと、睦月は小さく頷いて、目を閉じた。
亮はふと、昔付き合ってた彼女にだって、こんなに優しい気持ちになったことあったかなぁ、なんて思った。
亮が部屋に帰ってきたら、睦月はベッドの中で頭までふとんを被っていたけれど、部屋の明かりが点いていて、もしかして亮に気を遣ったのだろうか、いや、求人誌を読みながら、そのまま寝てしまったのだろう。
寝るにはまだ早い気もしたが、祐介のようにテキストを開く気にもならず、ベッドの中で適当に雑誌を広げた。
それからしばらくして、亮もウトウトし始めたころだった。もう部屋の電気を消そうかと、ベッドを降りようとしたときだった。
「―――ぅん…うぅ…」
風の音に混じって聞こえた、苦しそうな声。
ビクッと亮は肩を竦ませた。実のところ、亮はいわゆる"そういう系"が苦手なのだ。
部屋の真ん中で亮が固まって、亮が気のせいだ気のせいだと自分に言い聞かせながら耳を澄ましていると、それが睦月のベッドのほうからだと気付いた。
「睦月?」
彼のベッドに近付いてみると、苦しそうな声を出しているのは、やはり睦月だった。
「おい、大丈夫か?」
ひどくうなされている睦月の体を、ふとんの上から揺さ振る。
「ヒッ…イヤッ…!!」
ハッと目を開けた睦月が、顔を近付けていた亮の体を押し退けて、壁際まで逃げた。
「ちょっ…」
「……あ…」
ふと睦月の視線が焦点を定めて、亮の姿を認識する。
「どうした? すげぇうなされてたけど」
「なっ…何でもないっ!」
顔を覗き込めば、バッと逸らされて。
「何でもないって……いや、いいけど。大丈夫なのか?」
「…………ちょっと、嫌な夢、見て……」
睦月は大きく息をついた。
「怖い夢見た~? それなら亮くんが一緒に寝たげようか?」
わざと明るい声を出して、睦月の顔を覗き込む。『うるさい! さっさと寝ろ!!』って言われるのは覚悟の上、だったのだが。
「ホントにいいの?」
なんて、上目遣いに見られて。
「は? え? あ、うん」
今さら冗談だなんて言い出せなくて、亮はコクリと頷いてしまった。
自分でも、男相手に何やってんだろう、とは思ったれけど。
睦月に、何言ってんだよって、突っ込めばよかったんだろうか。でも、断わり切れなくて。
広くもない、シングルサイズのベッド。
壁際に寄ってふとんに入る睦月の横に、亮は失礼して。
やっぱりよく意味が分からない。
相手は女の子でもなければ、小学生でもない。自分と同い年の男子大学生なわけで。
でも一番わけが分からないのは―――
(何で俺、ドキドキしてんの…?)
相手は男だ。
いくら顔がキレイでも、男だ。男だ。男だ。
亮は、何度も自分に言い聞かせる。
「……ゴメンね」
体を丸くした睦月が、ポツリと呟いた。
「俺…………風の音、苦手で……」
窓の外。
天気は回復する気配がないのか、気味の悪い音を立てながら風が窓を叩いている。雨音も激しくて。嵐。
「昔、ちょっと……その、色々あって……」
「……そうなんだ」
亮は、所在なさげにしていた手を、睦月の背中に回した。
「もう大丈夫だって思ってたんだけど…………やっぱ、ちょっとまだ、ダメだったみたい…」
「いいよ、こうしててやるから、もう寝よう?」
そう言うと、睦月は小さく頷いて、目を閉じた。
亮はふと、昔付き合ってた彼女にだって、こんなに優しい気持ちになったことあったかなぁ、なんて思った。
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COMMENT-FORM
柚子季杏 ⇒ おぉ~~
嵐と共に恋心上陸・・・・・・かも?
むっちゃん、いつもこう素直ならなぁww
でもたまに見せるからいいのかな?クスクス
ツンツンバリアの中に見える柔らかなむっちゃんの心。
昔何があったのか気になります(;´Д`)
少しずつみんなの性格が見えてきて、すごくドキドキしますね♪
先が楽しみです!
むっちゃん、いつもこう素直ならなぁww
でもたまに見せるからいいのかな?クスクス
ツンツンバリアの中に見える柔らかなむっちゃんの心。
昔何があったのか気になります(;´Д`)
少しずつみんなの性格が見えてきて、すごくドキドキしますね♪
先が楽しみです!
りり ⇒ いきなり!
だあああーーーー添い寝してるし!!
狭いシングルベッドで。
心細そうな姫が可愛い…そりゃ、亮くんだってドキドキするよ美少年だし!
いつもあんなむっちゃんがこんなだし。
それもですが、お風呂に向かった3人にアンテナが立ってしまった…
何て腐敗しているのわたし…。
狭いシングルベッドで。
心細そうな姫が可愛い…そりゃ、亮くんだってドキドキするよ美少年だし!
いつもあんなむっちゃんがこんなだし。
それもですが、お風呂に向かった3人にアンテナが立ってしまった…
何て腐敗しているのわたし…。
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
むっちゃん、ツンデレ率 9:1くらいです(笑)
その「1」の部分をやっと見せたというか。
たまの素直さだから、際立つ際立つ(苦笑)
むっちゃんの過去は、のちほど明らかに~(遠い先かも…)
どうかそれまでぬるく見守ってください。
コメントありがとうございました!
その「1」の部分をやっと見せたというか。
たまの素直さだから、際立つ際立つ(苦笑)
むっちゃんの過去は、のちほど明らかに~(遠い先かも…)
どうかそれまでぬるく見守ってください。
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >りりさん
もういきなりベッドインですよ(違う)
いつもはツンツンのむっちゃんが、めっちゃ素直に甘えてくれば、亮タンもドキドキですよ。
やっぱたまにの素直さが、功を奏してる???
あ~~~お風呂。
そうですよね、お風呂ネタ!
どうして書かなかったんだろう、私…。
まだまだ腐女子のアンテナ、弱弱です~。
コメントありがとうございました!
いつもはツンツンのむっちゃんが、めっちゃ素直に甘えてくれば、亮タンもドキドキですよ。
やっぱたまにの素直さが、功を奏してる???
あ~~~お風呂。
そうですよね、お風呂ネタ!
どうして書かなかったんだろう、私…。
まだまだ腐女子のアンテナ、弱弱です~。
コメントありがとうございました!