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ろくな愛をしらない 09
2008.02.02 Sat
【相川智紀】
『キスは、好きな人とするもんでしょう?』
…………ガキの戯言だよ。
そりゃ、気に食わねぇ奴とする気にはならねぇけど、だからって、キスくらい何だっての? 減るもんじゃなし。
何でそんなにマジになるのか分かんない。
ちょっと気になって声掛けてみたら、今まで周りにいなかったタイプで。それこそ言い寄ってくるバカな女どもとは、根本的に違う。
真面目で、素直で、だからって、つまらない一本気なわけじゃない。
俺の言葉1つに1つに面白いほど反応して、楽しませてくれる。狙ってそれが出来るほど器用な奴じゃないのは見てて分かるし。
だから、はまりかけてたのに。
『もうこれ以上、俺の心を引っ掻き回さないでくれ!』
あんな感情的な姿、初めて見た。
俺の目を見ようともせずに、掛けていった小さな後ろ姿。
あーあ、せっかく手に入れた掛けたおもちゃ、逃がしちゃった。
「……ん! トモ!」
「あ?」
拓海のデカイ声に視線を向ければ、咎めるような顔をした奴と目が合った。
「灰!」
「はい? 何?」
何かくれるの? って思ったら、「煙草の灰だよ、バカ!」って怒鳴られた。
「火事出す気か! 灰落ちるぞ」
拓海が俺の手から、吸い掛けのタバコを奪う。
殆ど吸わないうちに半分以上灰にしてしまったタバコを、拓海が灰皿に押し付ける様をぼんやりと眺める。
「トモ、何か今日、めっちゃテンション低くね?」
「俺が? 変わんねぇよ」
「んー……てか、今までが妙だったのかな?」
ブツブツ言ってる拓海をよそに、俺は新しい煙草に火を点ける。何となく拓海が嫌そうな顔をしたけれど、そんなのお構いなしだ。
「妙って何だよ」
「えー何かさぁ、何つーか、変だった! 何かこう……1人でほくそ笑んでる感じ」
「感じ悪ぃな、俺」
「うん、トモ、感じ悪いよ」
「そこは否定しろよ!」
相変わらずな感じの拓海に、2人でゲラゲラ笑い転げる。煙草の灰を落とさないように気を付けながら。
そしたら、ベッドの上に放り投げたままにしてた携帯電話が震えて、着信を告げる。
「あ、」
小さな液晶画面に表示されたのは、今はあんまり見たくなかった女の名前。
いいや、無視しちゃおう―――――って思ったのに。
「出ねぇの?」
すぐさま拓海に突っ込まれた。
「……出ねぇ。どうせ怒鳴られるだけだし」
「また何かしたんだ?」
ニヤニヤしながら拓海が聞いてくる。俺はタバコを灰皿に押し付けた。
「電話掛けろって言われてたのに、掛け忘れちった」
「バーカ、早く出てやれよ」
「もういいや」
「はぁ? またかよ」
拓海は呆れたように言ってくるけど、別に今、この女の声、聞きたい気分じゃないし。
しつこい電話のバイブレーションは、留守電に切り替わったところで途絶える。続けざまにもう1回掛って来て、それでも無視してたら、3回目の呼び出しはなかった。
「これでトモくんの失恋けってー」
拓海がさもおもしろそうに言ってくるから、足の裏で背中を蹴っ飛ばしてやる。
「るせぇよ、そんなんじゃねぇんだって、こいつは」
「あーそうですか。ったく、そんなことばっかしてっと、いつかしっぺ返し食うぜ? あ、しっぺ返しってのはね、」
「しっぺ返しの意味くらい知ってるよ!」
もう1回蹴ってやろうと思ったら、その足首を拓海に掴まれて、俺はベッドの上に転がってしまった。
「何すんだよ!」
「バーカ」
「あーもう、おもしろくねぇ!」
そのままベッドに大の字になって寝転がる。
何つーか、心がモヤモヤすんだよね。何かスッキリしねぇ。
「何それ。こないだまで気持ち悪いくらい上機嫌だったのに」
「気持ち悪いって何だよ、オイ!」
「あ、じゃあトモくんのお気に入りの、慶太でも呼んじゃう~?」
ベッドのほうに身を乗り出してきた拓海が、俺の顔覗き込みながらそう提案していた。
「トモ?」
「…………もういい」
「は?」
「アイツはもういいや」
「何それ。もう飽きたってこと?」
「別に」
せっかく見つけたお気に入りのおもちゃは、あっさりとその手を離れていって。
でもいい。
また代わりを見つければいいんだし。
そうすればきっと、またおもしろおかしい毎日が始まる。
それでいいんだ……。
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イチゴ ⇒ もどかしー
ハナ ⇒
こちらでははじめまして、ハナと申しますv
悪い男は大好物です!!
そして振り回される慶太クンに萌えが萌えました(*´Д`)
見た目麗しく、性格(+下半身方面)にヤヤ難あり、
そんな男が本気になった日には…っなんて萌え!!
悪い男は大好物です!!
そして振り回される慶太クンに萌えが萌えました(*´Д`)
見た目麗しく、性格(+下半身方面)にヤヤ難あり、
そんな男が本気になった日には…っなんて萌え!!
如月久美子 ⇒ >イチゴさん
相川さん、来るもの拒まずな性格で、追い掛ける恋愛は意外と苦手なんですよ。
不器用な男…。
書いてる私も、もどかしーーー!! て感じです (苦笑)
ホント、手の掛かる子たち…。
不器用な男…。
書いてる私も、もどかしーーー!! て感じです (苦笑)
ホント、手の掛かる子たち…。
如月久美子 ⇒ >ハナさん
い、いらっしゃいませー (緊張)
ハナさんにコメントを貰えるなんて、感激です!
それにしても、悪い男、意外と人気で、書いてる私がびっくりです。
相川さん、好きな子は好きだけど、でも下半身は別、とか言っちゃってる、典型的な最低男なんですよ。
それがとうとう本気になるか!? て感じですが…。
よろしければ、またおいでください!
ハナさんにコメントを貰えるなんて、感激です!
それにしても、悪い男、意外と人気で、書いてる私がびっくりです。
相川さん、好きな子は好きだけど、でも下半身は別、とか言っちゃってる、典型的な最低男なんですよ。
それがとうとう本気になるか!? て感じですが…。
よろしければ、またおいでください!