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ろくな愛をしらない 10
2008.02.03 Sun
構内のカフェテリアで、ちょっと遅めの昼食をとりながら、携帯電話を広げる。
この間の女とはもう終わったけど、それこそ代わりなんていくらでもいるし。
今日は誰に声掛けようか、なんて思ってたら、向かいでメシを食ってた拓海が何か言いたそうにチラチラ視線を向けてくるから。
「……何?」
俺のほうから声を掛ければ、拓海は心底驚いたように、「うぇ!?」と変な声を上げた。
もしかして、俺が気付いてるなんて、思ってなかった?
「あ……いや、」
拓海は気まずそうに、周りをチラリと見た。あぁ、他の奴らに聞かれたくないわけね。ってことは、言いたいのは、俺がこれから連絡しようとしてる相手のこと?
「あのさぁ…」
俺のほうに少し身を乗り出した拓海が、うんと声を潜めて喋り出した。
「俺が言うのもアレだけど……その、あんま羽目外し過ぎるなよ?」
「分かってますって」
「トモ、ホント、」
「大丈夫だから。男だから、メールしてんの」
ホントは嘘だけど、何か拓海の、今にも胃に穴の開きそうなくらい心配げな顔を見てたら、何か女に連絡すんの、しらけちゃった。
「ならいいけど……何か最近、お前、」
「どうせ振られちゃったんだろっ!」
「うわっ!」
急に割り込んできた別の声と、焦ったような拓海の声に、携帯電話から顔を上げれば、高遠が拓海の背中にへばりついてた。
まったく身構えてなかった拓海は、腹をテーブルの縁にぶつけてる。
「高遠!」
拓海が咎めるように名前を呼べば、高遠はまったく悪びれたふうもなく、「拓海、力なーい」なんて言ってる。
「俺が思うに、智紀くん。君はこの間の電話、掛け直さなかったとみた」
「よくお分かりで」
拓海の背中にくっついたまま、その肩越しに高遠がニヤニヤと言ってくる。
「こないだの電話って……昨日掛かってきた電話か?」
「何? 掛かってきたの? 女?」
高遠が、興味津々て顔で拓海の顔を覗き込んでる。拓海が言ってもいいのかなぁ…て顔で俺のほうをチラッと見たけど、もうどうでもいいから、無視した。
「結局、出ないし掛け直さないから、それっきり」
「ひゃはは! バッカー。そんなんだから、お気に入りの子に逃げられちゃうんだよね」
高遠がどこまで気付いてるのか知らないけど、確かに説明としては間違ってない。相変わらず高遠には見透かされてんなぁ、俺。
「だからね、もう大丈夫だから、拓海はもう帰りな」
「えぇ!?」
「真琴と約束してんでしょ?」
「あ、そうだった!」
慌てて拓海が振り返れば、カフェテリアの入口のところで、真琴が待ちくたびれたような顔して立っていた。
「悪ぃ真琴! 今行くし!」
ホント、拓海って詰めが甘い。
俺に説教っつーか、お小言を言うつもりだったんでしょ? 肝心のことまだ言ってないって、気付いてないの?
まぁそこが拓海らしいっちゃーらしいんだけど。
…………で、問題はこっちなんですが。
「高遠くん、拓海たちと一緒に帰んないの?」
「帰んないの」
にっこにこの顔。ヤダなー。
「で、高遠くんはどこまで分かってんの?」
「別にー。知りたくもないし」
「だったら何?」
高遠は笑顔を崩さずに、俺の横に座った。
「智紀はさぁ、本気で人を好きになったことがないもんね」
「おい!」
「違うの?」
「だとしたって、高遠に関係なくね?」
「俺にはね。でもさぁ、こうまであからさまにテンションとか態度に表されると、いろいろ迷惑なんですが」
笑顔を引っ込めた高遠の顔は、冷やかなものだった。
「好きなら好きで、素直に認めちゃえば楽なのに」
「誰のことをだよ」
…………愛だの恋だの、そんなの面倒臭いし。
本気の恋だなんて。
「まぁ、今さら気付いたって、遅いだろうけどね」
「高遠、」
「言っとくけど、本気の恋って、そんなに甘くないからね?」
この間の女とはもう終わったけど、それこそ代わりなんていくらでもいるし。
今日は誰に声掛けようか、なんて思ってたら、向かいでメシを食ってた拓海が何か言いたそうにチラチラ視線を向けてくるから。
「……何?」
俺のほうから声を掛ければ、拓海は心底驚いたように、「うぇ!?」と変な声を上げた。
もしかして、俺が気付いてるなんて、思ってなかった?
「あ……いや、」
拓海は気まずそうに、周りをチラリと見た。あぁ、他の奴らに聞かれたくないわけね。ってことは、言いたいのは、俺がこれから連絡しようとしてる相手のこと?
「あのさぁ…」
俺のほうに少し身を乗り出した拓海が、うんと声を潜めて喋り出した。
「俺が言うのもアレだけど……その、あんま羽目外し過ぎるなよ?」
「分かってますって」
「トモ、ホント、」
「大丈夫だから。男だから、メールしてんの」
ホントは嘘だけど、何か拓海の、今にも胃に穴の開きそうなくらい心配げな顔を見てたら、何か女に連絡すんの、しらけちゃった。
「ならいいけど……何か最近、お前、」
「どうせ振られちゃったんだろっ!」
「うわっ!」
急に割り込んできた別の声と、焦ったような拓海の声に、携帯電話から顔を上げれば、高遠が拓海の背中にへばりついてた。
まったく身構えてなかった拓海は、腹をテーブルの縁にぶつけてる。
「高遠!」
拓海が咎めるように名前を呼べば、高遠はまったく悪びれたふうもなく、「拓海、力なーい」なんて言ってる。
「俺が思うに、智紀くん。君はこの間の電話、掛け直さなかったとみた」
「よくお分かりで」
拓海の背中にくっついたまま、その肩越しに高遠がニヤニヤと言ってくる。
「こないだの電話って……昨日掛かってきた電話か?」
「何? 掛かってきたの? 女?」
高遠が、興味津々て顔で拓海の顔を覗き込んでる。拓海が言ってもいいのかなぁ…て顔で俺のほうをチラッと見たけど、もうどうでもいいから、無視した。
「結局、出ないし掛け直さないから、それっきり」
「ひゃはは! バッカー。そんなんだから、お気に入りの子に逃げられちゃうんだよね」
高遠がどこまで気付いてるのか知らないけど、確かに説明としては間違ってない。相変わらず高遠には見透かされてんなぁ、俺。
「だからね、もう大丈夫だから、拓海はもう帰りな」
「えぇ!?」
「真琴と約束してんでしょ?」
「あ、そうだった!」
慌てて拓海が振り返れば、カフェテリアの入口のところで、真琴が待ちくたびれたような顔して立っていた。
「悪ぃ真琴! 今行くし!」
ホント、拓海って詰めが甘い。
俺に説教っつーか、お小言を言うつもりだったんでしょ? 肝心のことまだ言ってないって、気付いてないの?
まぁそこが拓海らしいっちゃーらしいんだけど。
…………で、問題はこっちなんですが。
「高遠くん、拓海たちと一緒に帰んないの?」
「帰んないの」
にっこにこの顔。ヤダなー。
「で、高遠くんはどこまで分かってんの?」
「別にー。知りたくもないし」
「だったら何?」
高遠は笑顔を崩さずに、俺の横に座った。
「智紀はさぁ、本気で人を好きになったことがないもんね」
「おい!」
「違うの?」
「だとしたって、高遠に関係なくね?」
「俺にはね。でもさぁ、こうまであからさまにテンションとか態度に表されると、いろいろ迷惑なんですが」
笑顔を引っ込めた高遠の顔は、冷やかなものだった。
「好きなら好きで、素直に認めちゃえば楽なのに」
「誰のことをだよ」
…………愛だの恋だの、そんなの面倒臭いし。
本気の恋だなんて。
「まぁ、今さら気付いたって、遅いだろうけどね」
「高遠、」
「言っとくけど、本気の恋って、そんなに甘くないからね?」
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