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ろくな愛をしらない 08
2008.02.01 Fri
授業が終わって、歩と待ち合わせてる構内のカフェテリアに向かおうとしていたところ、背後から肩を叩かれて、思わず身を竦めた。だって、全然気配を感じなかったから。
ビックリして振り返ったそこには、最悪の、1番会いたくない人物。
「……相川さん…」
「すげぇ嫌そうな顔。俺ってそんなに嫌われちゃってんの?」
「別に……何か用ですか?」
「冷たい奴ー」
わざとらしいオーバーリアクションで、相川さんは肩を竦めてみせる。
「何の用…」
「えー、一応メシのお誘いなんですが」
「ッ、何で、俺、なんですか?」
「何でって言われても」
結構勇気を持っての質問だったのに、苦笑にも似た曖昧な笑いに、あっさりと躱されてしまう。
「この後、何か予定あり?」
「…………」
予定はないけれど、ここで正直に答えれば、相手の思う壺だ。適当にごまかして流すしかない。
そう思って顔を上げた、相川さんのその向こう、
「あ…」
「え? アダッ!」
高遠さん……って付け加えようとするより先、渋い表情で背後にやって来た高遠さんが、その気配を感じて振り返った相川さんに何かを投げ付けた。
「バカ智紀! ふざけんな!」
「何? 何だよ、おい。てかこれ、俺のケータイじゃん! 何持ってんの?」
投げ付けられたものが自分の携帯電話だと分かって、相川さんが不満をぶつけるが、それよりも高遠さんの表情のほうがもっと険しいんですが。
「バカッ、何で俺とおんなじ機種のおんなじ色なんだよ!」
「は? 何が?」
「ケータイだよ! 俺も音バイブにしてっから、間違って出ちまったじゃねぇか!」
「何だよ、出たのかよ! 勝手に出るなよ!」
「俺のかと思ったんだよ!」
むーっと口を結んで、高遠さんは苛立たしげに言い放つ。まぁ、不可抗力とはいえ、勝手に電話に出られた相川さんも、腹立たしげだけど。
「つーか、何で待ち合わせに来ないの、て俺が怒鳴られたんだけど! 何で俺がお前の女に怒られなきゃなんないんだよ!」
「ゲッ…」
え…?
「あー、いや、妹?」
「お前んち、弟だろ?」
わざとらしい言い訳に、高遠さんは乗っかるでもなく冷静に突っ込み返すけど。
…………何?
女の子?
彼女ってこと? それとも遊び相手?
「何? その子が最近はまってるって子?」
「んー?」
「……まぁいいけど。つーか、折り返し掛けさせるっつっちゃったから、電話しとけよ?」
「えー!? 何でぇ? 超めんどくせぇ!」
「お前が俺と同じケータイにしてるから悪いんだ! 絶対掛け直せよ! 俺、こんなことで悪モンになりたくないし!」
高遠さんはもう1度念を押してから、俺らに背を向けて去っていった。
「ったく、高遠の奴ー」
ブツブツ言いながら、相川さんが俺のほうを振り返って、たった今高遠さんに押し付けられた携帯電話を、ジーンズのポケットにしまった。
「……掛けないんですか?」
「え?」
「電話」
「あー……まぁいいや」
「何で? 彼女でしょ? 俺なんか構ってないで、掛けたらどうですか?」
「違ぇって、いいんだっつの」
…………心がザワザワする。
彼女にしろ、単なる遊び相手にしろ、たとえ今電話を掛け直さないにしたって、結局はその子のところに行くんでしょう? それとも別の遊び相手?
それで…………キス、するの?
―――――冗談で。
「久住?」
「……もういいじゃないっすか。何で俺なの? 彼女だか遊び相手だか知らないけど、その子誘えばいいじゃん。冗談で俺にキスなんかしてないでさ」
「…んだよ、急に」
「キスは、好きな人とするもんでしょう?」
「はいはい、悪かったよ」
はぁー、って大きな溜め息。
キスを特別だって思ってるのは、俺だけかな? まぁ少なくとも、相川さんには通用しない理論みたいだけど。
「何で……そこまで俺のことからかいたいの? そんなの俺じゃなくて、言い寄って来る女にでもすればいい。あんたは冗談のつもりかもしれないけど、俺は…!」
「…………」
「……、ッ……もうこれ以上、俺の心を引っ掻き回さないでくれ!」
もう相川さんの顔なんか見てられなくて、怒ってるのか、呆れてるのか、お気に入りのおもちゃの反撃に戸惑っているのか、俺はそのまま相川さんに背を向けて駆け出した。
ビックリして振り返ったそこには、最悪の、1番会いたくない人物。
「……相川さん…」
「すげぇ嫌そうな顔。俺ってそんなに嫌われちゃってんの?」
「別に……何か用ですか?」
「冷たい奴ー」
わざとらしいオーバーリアクションで、相川さんは肩を竦めてみせる。
「何の用…」
「えー、一応メシのお誘いなんですが」
「ッ、何で、俺、なんですか?」
「何でって言われても」
結構勇気を持っての質問だったのに、苦笑にも似た曖昧な笑いに、あっさりと躱されてしまう。
「この後、何か予定あり?」
「…………」
予定はないけれど、ここで正直に答えれば、相手の思う壺だ。適当にごまかして流すしかない。
そう思って顔を上げた、相川さんのその向こう、
「あ…」
「え? アダッ!」
高遠さん……って付け加えようとするより先、渋い表情で背後にやって来た高遠さんが、その気配を感じて振り返った相川さんに何かを投げ付けた。
「バカ智紀! ふざけんな!」
「何? 何だよ、おい。てかこれ、俺のケータイじゃん! 何持ってんの?」
投げ付けられたものが自分の携帯電話だと分かって、相川さんが不満をぶつけるが、それよりも高遠さんの表情のほうがもっと険しいんですが。
「バカッ、何で俺とおんなじ機種のおんなじ色なんだよ!」
「は? 何が?」
「ケータイだよ! 俺も音バイブにしてっから、間違って出ちまったじゃねぇか!」
「何だよ、出たのかよ! 勝手に出るなよ!」
「俺のかと思ったんだよ!」
むーっと口を結んで、高遠さんは苛立たしげに言い放つ。まぁ、不可抗力とはいえ、勝手に電話に出られた相川さんも、腹立たしげだけど。
「つーか、何で待ち合わせに来ないの、て俺が怒鳴られたんだけど! 何で俺がお前の女に怒られなきゃなんないんだよ!」
「ゲッ…」
え…?
「あー、いや、妹?」
「お前んち、弟だろ?」
わざとらしい言い訳に、高遠さんは乗っかるでもなく冷静に突っ込み返すけど。
…………何?
女の子?
彼女ってこと? それとも遊び相手?
「何? その子が最近はまってるって子?」
「んー?」
「……まぁいいけど。つーか、折り返し掛けさせるっつっちゃったから、電話しとけよ?」
「えー!? 何でぇ? 超めんどくせぇ!」
「お前が俺と同じケータイにしてるから悪いんだ! 絶対掛け直せよ! 俺、こんなことで悪モンになりたくないし!」
高遠さんはもう1度念を押してから、俺らに背を向けて去っていった。
「ったく、高遠の奴ー」
ブツブツ言いながら、相川さんが俺のほうを振り返って、たった今高遠さんに押し付けられた携帯電話を、ジーンズのポケットにしまった。
「……掛けないんですか?」
「え?」
「電話」
「あー……まぁいいや」
「何で? 彼女でしょ? 俺なんか構ってないで、掛けたらどうですか?」
「違ぇって、いいんだっつの」
…………心がザワザワする。
彼女にしろ、単なる遊び相手にしろ、たとえ今電話を掛け直さないにしたって、結局はその子のところに行くんでしょう? それとも別の遊び相手?
それで…………キス、するの?
―――――冗談で。
「久住?」
「……もういいじゃないっすか。何で俺なの? 彼女だか遊び相手だか知らないけど、その子誘えばいいじゃん。冗談で俺にキスなんかしてないでさ」
「…んだよ、急に」
「キスは、好きな人とするもんでしょう?」
「はいはい、悪かったよ」
はぁー、って大きな溜め息。
キスを特別だって思ってるのは、俺だけかな? まぁ少なくとも、相川さんには通用しない理論みたいだけど。
「何で……そこまで俺のことからかいたいの? そんなの俺じゃなくて、言い寄って来る女にでもすればいい。あんたは冗談のつもりかもしれないけど、俺は…!」
「…………」
「……、ッ……もうこれ以上、俺の心を引っ掻き回さないでくれ!」
もう相川さんの顔なんか見てられなくて、怒ってるのか、呆れてるのか、お気に入りのおもちゃの反撃に戸惑っているのか、俺はそのまま相川さんに背を向けて駆け出した。
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