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ろくな愛をしらない 02
2008.01.26 Sat
翌日、授業を終えて、さっさと帰ろうと思ったのに、もうすぐ大事な会議があるから、その打ち合わせと資料作りがあるとかで、真琴に学生会室に連行された。
まだ全員が揃わない室内は、けれど相変わらずの騒がしさで、真琴はいつもどおりハイテンションだし、歩はそれ見て笑ってるし、春原さんも、この学生会の中では1番偉いポストの高遠さんも注意しないし、俺は寝不足で頭が痛いのに。
…………春原さん、笑ってる場合じゃないよ。俺、昨日アンタの親友に、冗談で襲われ掛けたんだよ。
相川さんが、女の子相手に(あんな乱暴じゃないにしても)そういうことをよくしてる人なんだとして、でも何で俺なの?
普通、冗談でも、しらふで男相手にキスなんてする? しかもあんな…。
真琴、うるせぇよ、少し黙れよ。
イライラする。周り、全部。
何で笑ってんの? 高遠さんも、春原さんも、歩も。何がおかしいんだよ。
頭痛ぇ。
何だって相川さんは俺にキスなんかしたんだ? だから冗談だって、バーカ。本気にすんなよ。いや、してねぇし。俺、男だし。キモイよ、変態。
あーイライラする。だから、うるせぇんだって。歌ってんじゃねぇよ。
俺は昨日、男にキスされたんだぜ。しかもディープなヤツ。それも春原さんの親友に。オーマイガッ、今時の大学生はこんなでいいの?
のんきに歌ってる場合じゃねぇんだって。うるせぇよ、マジうるせぇ。うるせぇって、
「―――うるせぇんだよ! 真琴!!」
思わず叫んでいた。
乱暴に立ち上がったせいで椅子が引っ繰り返って、テーブルを殴った音が学生会室に響いて。拳が痛い。
シンと静まり返った室内。
「慶太、」
「……ぁ…」
隣にいた歩に腕を引かれて、急に頭に上っていた血が冷めていった。我に返れば、みんなが驚いたような、キョトンとした顔で俺を見てる。
困ったような、泣きそうにも見える真琴の瞳と視線がぶつかって、こんなのただの八つ当たりだ、真琴が悪いわけじゃないのに。
「……ゴメ…」
どうしていいか分からなくて、俺は歩に掴まれていた腕を解いて、学生会室を飛び出した。
行く宛てなんかない。
とにかく学生会室を離れたくて、みんなから離れたくて、1人になりたくて。
駆け込んだのは、学生会室からうんと離れた自販機コーナー。
幸いにも誰もいなくて、俺は端のソファに腰を掛けた。
何やってんだ、俺は。
真琴に怒鳴ってどうする。あいつが悪いわけじゃない。悪いのは俺だ。いや、俺か? 俺は被害者だぞ。だって昨日…。でもだからって、真琴に当たってもしょうがないのに。
もう嫌だ、頭が痛い、誰か助けてくれ…。
カタン…。
不意に、自分以外が立てた音が響いて、ハッと顔を上げた。
「あ…」
どうせ歩あたりが様子を見に来たんだろうと思ったそこには、厳しいような、けれど心配げな顔をした春原さんがいた。
「慶太…」
「―――……あ…あぁ…、もう始まりますよね、今行きます」
春原さんが、時間になるからって俺を呼びに来たわけじゃないってこと、分かってるけど、何も追及されたくなくて、春原さんに何か言われる前に早口でそう言って、ソファを立った。
「慶太、」
なるべく春原さんと目を合わさないように、さっさと横をすり抜けようとしたら、通り過ぎ際、春原さんに手首を掴まれた。
「何すか? もう行かないと…、……真琴にも謝んなきゃ、」
解こうとした手は、けれど春原さんのほうが力があって、うまくいかなくて。
「春原さ……離し」
「昨日、俺が帰った後、トモと何かあった?」
「―――……何がですか?」
俺だって"ごまかす"くらいの演技は出来る。
何かあったかだって? あったに決まってる。でも、何もなかったふりをするしかない。あんたに何が分かるの? それとももう、相川さんから何か聞いてんの? 知っててそんな顔してるの?
「いや、俺、昨日途中で帰っちゃったから…」
「別に、何もないですよ」
もうこれ以上は答えたくないという気持ちを暗に込めてそう言うと、俺は隙を突いて春原さんの手を解く。
「ホントに何もないんで……だから、もう戻りましょう」
まだ何か言いたそうな春原さんに背を向けて、先に歩き出す。少し後ろに、春原さんの気配を感じる。今は何も話したい気分じゃなかった。
学生会室に戻ると、真琴が泣きそうな顔で抱き付いてきた。みんなが心配そうに俺らのほうを見てる。
「うぅ~ゴメンー、慶太ー」
「……いや、俺のほうこそゴメン」
かわいいな、真琴。同い年なのに。
……かわいいって、そういえば昨日、相川さんもそう言ってたっけ。
俺のどこ見てそんなこと言うんだろ。大体、男相手にかわいいとかあるかよ……って、あぁ、今俺もそう思ったか。
でも俺と真琴じゃ、全然違う。本質的に違う。
もし男にかわいいって使うのなら、それは真琴みたいなのに使うんだ。俺じゃない。
なのにどういうわけか、俺に向かってそんなことを言った相川さん。
…………どうせ冗談なんだろうけど。
まだ全員が揃わない室内は、けれど相変わらずの騒がしさで、真琴はいつもどおりハイテンションだし、歩はそれ見て笑ってるし、春原さんも、この学生会の中では1番偉いポストの高遠さんも注意しないし、俺は寝不足で頭が痛いのに。
…………春原さん、笑ってる場合じゃないよ。俺、昨日アンタの親友に、冗談で襲われ掛けたんだよ。
相川さんが、女の子相手に(あんな乱暴じゃないにしても)そういうことをよくしてる人なんだとして、でも何で俺なの?
普通、冗談でも、しらふで男相手にキスなんてする? しかもあんな…。
真琴、うるせぇよ、少し黙れよ。
イライラする。周り、全部。
何で笑ってんの? 高遠さんも、春原さんも、歩も。何がおかしいんだよ。
頭痛ぇ。
何だって相川さんは俺にキスなんかしたんだ? だから冗談だって、バーカ。本気にすんなよ。いや、してねぇし。俺、男だし。キモイよ、変態。
あーイライラする。だから、うるせぇんだって。歌ってんじゃねぇよ。
俺は昨日、男にキスされたんだぜ。しかもディープなヤツ。それも春原さんの親友に。オーマイガッ、今時の大学生はこんなでいいの?
のんきに歌ってる場合じゃねぇんだって。うるせぇよ、マジうるせぇ。うるせぇって、
「―――うるせぇんだよ! 真琴!!」
思わず叫んでいた。
乱暴に立ち上がったせいで椅子が引っ繰り返って、テーブルを殴った音が学生会室に響いて。拳が痛い。
シンと静まり返った室内。
「慶太、」
「……ぁ…」
隣にいた歩に腕を引かれて、急に頭に上っていた血が冷めていった。我に返れば、みんなが驚いたような、キョトンとした顔で俺を見てる。
困ったような、泣きそうにも見える真琴の瞳と視線がぶつかって、こんなのただの八つ当たりだ、真琴が悪いわけじゃないのに。
「……ゴメ…」
どうしていいか分からなくて、俺は歩に掴まれていた腕を解いて、学生会室を飛び出した。
行く宛てなんかない。
とにかく学生会室を離れたくて、みんなから離れたくて、1人になりたくて。
駆け込んだのは、学生会室からうんと離れた自販機コーナー。
幸いにも誰もいなくて、俺は端のソファに腰を掛けた。
何やってんだ、俺は。
真琴に怒鳴ってどうする。あいつが悪いわけじゃない。悪いのは俺だ。いや、俺か? 俺は被害者だぞ。だって昨日…。でもだからって、真琴に当たってもしょうがないのに。
もう嫌だ、頭が痛い、誰か助けてくれ…。
カタン…。
不意に、自分以外が立てた音が響いて、ハッと顔を上げた。
「あ…」
どうせ歩あたりが様子を見に来たんだろうと思ったそこには、厳しいような、けれど心配げな顔をした春原さんがいた。
「慶太…」
「―――……あ…あぁ…、もう始まりますよね、今行きます」
春原さんが、時間になるからって俺を呼びに来たわけじゃないってこと、分かってるけど、何も追及されたくなくて、春原さんに何か言われる前に早口でそう言って、ソファを立った。
「慶太、」
なるべく春原さんと目を合わさないように、さっさと横をすり抜けようとしたら、通り過ぎ際、春原さんに手首を掴まれた。
「何すか? もう行かないと…、……真琴にも謝んなきゃ、」
解こうとした手は、けれど春原さんのほうが力があって、うまくいかなくて。
「春原さ……離し」
「昨日、俺が帰った後、トモと何かあった?」
「―――……何がですか?」
俺だって"ごまかす"くらいの演技は出来る。
何かあったかだって? あったに決まってる。でも、何もなかったふりをするしかない。あんたに何が分かるの? それとももう、相川さんから何か聞いてんの? 知っててそんな顔してるの?
「いや、俺、昨日途中で帰っちゃったから…」
「別に、何もないですよ」
もうこれ以上は答えたくないという気持ちを暗に込めてそう言うと、俺は隙を突いて春原さんの手を解く。
「ホントに何もないんで……だから、もう戻りましょう」
まだ何か言いたそうな春原さんに背を向けて、先に歩き出す。少し後ろに、春原さんの気配を感じる。今は何も話したい気分じゃなかった。
学生会室に戻ると、真琴が泣きそうな顔で抱き付いてきた。みんなが心配そうに俺らのほうを見てる。
「うぅ~ゴメンー、慶太ー」
「……いや、俺のほうこそゴメン」
かわいいな、真琴。同い年なのに。
……かわいいって、そういえば昨日、相川さんもそう言ってたっけ。
俺のどこ見てそんなこと言うんだろ。大体、男相手にかわいいとかあるかよ……って、あぁ、今俺もそう思ったか。
でも俺と真琴じゃ、全然違う。本質的に違う。
もし男にかわいいって使うのなら、それは真琴みたいなのに使うんだ。俺じゃない。
なのにどういうわけか、俺に向かってそんなことを言った相川さん。
…………どうせ冗談なんだろうけど。
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COMMENT-FORM
相馬 ⇒ 素敵w
如月久美子 ⇒ >相馬さん
相川さん、男としては結構サイテーなやつです (爆)
慶太くんの初々しさで、どこまで更生できるやら…。
まだまだ続きますんで、よろしくお付き合いください。
慶太くんの初々しさで、どこまで更生できるやら…。
まだまだ続きますんで、よろしくお付き合いください。