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どうしたって、君には敵わない (1)
2016.05.09 Mon
電話が鳴ったとき、真大は自分の部屋で課題に取り組んでいるところで、今日はそろそろ終わりにしようか、なんて思っているところでもあった。
ディスプレイに表示されたのは恋人の名前だったが、普段ならコミュニケーションアプリでのやり取りが殆どで、電話なんてめったにないことだから、意外に思いつつも真大はスマホを手にした。
『あ、よかった、真大――――』
そして眉を顰めた。
表示されたのは確かに翔真の名前だったけれど、受話口から聞こえて来たのは翔真の声ではなく、彼と同じバイト先で働く安喜隼人のものだったのだ。それだけで嫌な予感がする。
『ちょぉー、何ではやとが電話してんのぉ?』
……………………。
隼人の言葉が続くのかと思いきや、次に聞こえて来たのは愛しの恋人の声だったが、しかし真大は今までに、こんなに甘ったるく語尾を伸ばした翔真の声を聞いたことがなかった。
こめかみの辺りがひく付く。
『ちょっショウ、大人しくしてろ!』
静かにしろと隼人が翔真を注意したが、電話の向こうは、ちょっと翔真が声を大きくしたくらいでは気にも留められないくらいざわついているのが、電話越しにでも分かる。
誰かの家で騒いでいるのではない、もっと大勢の人がいる空間であることと、翔真の酔っ払った声色から察するに、そこは居酒屋かどこかなのだろう。それともクラブとか?
こめかみだけでなく、口元も引き攣る。
『真大、あのな、今ショウと…』
『まひろぉ』
『ショウっ!』
隼人が真大に向かって喋ろうとするたび、翔真がそれを邪魔するものだから、てんで会話にならない。
真大の苛立ちは募ったが、深呼吸して、何とか気持ちを落ち着かせる。真大も翔真を誘っていたのに、それよりも隼人を優先したというなら、苛立つのもやむを得ないが、今日はそうではない。
翔真が隼人と飲んでいたからといって、無防備に酔っ払っているからといって、いちいち何か言うのは、狭量な男のすることだ。
別に真大は翔真の行動に制限を掛ける気もないし、どこで誰と飲もうと構わないし、クラブだろうと何だろうと行きたければ行けばいいと思う…………うん、もちろん素直にそう思う。思ってる。思ってるけれど!!
「…何?」
予想以上に低い声……ではない、思ったとおりの低い声が、真大の口から漏れた。
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ディスプレイに表示されたのは恋人の名前だったが、普段ならコミュニケーションアプリでのやり取りが殆どで、電話なんてめったにないことだから、意外に思いつつも真大はスマホを手にした。
『あ、よかった、真大――――』
そして眉を顰めた。
表示されたのは確かに翔真の名前だったけれど、受話口から聞こえて来たのは翔真の声ではなく、彼と同じバイト先で働く安喜隼人のものだったのだ。それだけで嫌な予感がする。
『ちょぉー、何ではやとが電話してんのぉ?』
……………………。
隼人の言葉が続くのかと思いきや、次に聞こえて来たのは愛しの恋人の声だったが、しかし真大は今までに、こんなに甘ったるく語尾を伸ばした翔真の声を聞いたことがなかった。
こめかみの辺りがひく付く。
『ちょっショウ、大人しくしてろ!』
静かにしろと隼人が翔真を注意したが、電話の向こうは、ちょっと翔真が声を大きくしたくらいでは気にも留められないくらいざわついているのが、電話越しにでも分かる。
誰かの家で騒いでいるのではない、もっと大勢の人がいる空間であることと、翔真の酔っ払った声色から察するに、そこは居酒屋かどこかなのだろう。それともクラブとか?
こめかみだけでなく、口元も引き攣る。
『真大、あのな、今ショウと…』
『まひろぉ』
『ショウっ!』
隼人が真大に向かって喋ろうとするたび、翔真がそれを邪魔するものだから、てんで会話にならない。
真大の苛立ちは募ったが、深呼吸して、何とか気持ちを落ち着かせる。真大も翔真を誘っていたのに、それよりも隼人を優先したというなら、苛立つのもやむを得ないが、今日はそうではない。
翔真が隼人と飲んでいたからといって、無防備に酔っ払っているからといって、いちいち何か言うのは、狭量な男のすることだ。
別に真大は翔真の行動に制限を掛ける気もないし、どこで誰と飲もうと構わないし、クラブだろうと何だろうと行きたければ行けばいいと思う…………うん、もちろん素直にそう思う。思ってる。思ってるけれど!!
「…何?」
予想以上に低い声……ではない、思ったとおりの低い声が、真大の口から漏れた。
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