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どうしたって、君には敵わない (2)
2016.05.10 Tue
『悪ぃ、真大! ちょぉ迎え来てくんね!?』
「行きますよ。行くに決まってるじゃないですか。行かないとでも思ってるんですか?」
真大より隼人のほうが年上だが、真大は普段から隼人に敬語など使ったことはない。それが、今この状況でわざわざそんな調子で喋るあたり、真大の怒り具合が窺い知れる。
とはいえ、隼人だって気は短いほうだし、どこかの組で先陣を切って敵に乗り込んでいきそうな見た目どおり、優しく甘いだけの男ではない。こんな言い方をされたら、普段だったら『あぁ? 何言ってだ?』とキレて凄んで来るところなのに、今日に限っては、
『で…す、よねー…』
と、乾いた笑みとともに、そんな返事を寄越しただけだった。
もちろん、そんなことで真大の機嫌が治るはずもない。
「それで? どこに行けばいいんですか?」
『あ、えっとー…』
飽くまでも敬語を続ける真大に、隼人はたじろぎながら居場所を告げた。
年下の真大に敬語を使われてビクつくなんて、一体全体どうかしていると思うけれど、今の真大の声色は、実際の彼を目の前にしていなくても、かなりの威圧感があったのだ。
「…すぐに行きますから、くれぐれもよろしくお願いしますね」
一段と低い声でそう言った真大は、隼人の返事を聞く前に電話を切って立ち上がった。
*****
隼人が告げたのは、有り難いことに派手なクラブではなく、駅に近いチェーンの居酒屋で、真大は正直ホッとしていた。
恋人が酔い潰れてホッとする場所など、この世のどこにも存在はしないけれど、クラブよりは大衆居酒屋のほうがまだ安心できるし、迎えにも行きやすい。
電車に揺られながら、真大は若干の安堵感を覚えつつも、まだ翔真の状態を確認したわけではない状況に、ギュッと気を引き締める。
大体、隼人も隼人だ。翔真があんなにベロベロになるまで飲ませるなんて。
電話の時点で問い詰めてやろうかと思ったが、それよりも早く迎えに行きたくて、手短に電話を切ったものだから、真大の隼人に対する怒りは、未だに燻り続けているのだ。
いや、隼人ばかりを責められないことは、真大も分かっている。
翔真は、決して酒に弱いわけではない。少なくとも真大よりは断然強い。しかし隼人はそれ以上に強いのだ。一緒に飲んだことのある真大は、そのことをよく知っている。
そして翔真も、隼人が強いことを知っているから、一緒に飲むときは自分のペースを守って飲んでいる。『俺の酒が飲めないのか』的な、考え方の古いノリのシチュエーションではないのだ。
それなのに今日こういう展開になったのは、恐らく翔真自身の問題だ。きっと楽しくて、隼人につられて、同じように飲んでしまったに違いない。
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「行きますよ。行くに決まってるじゃないですか。行かないとでも思ってるんですか?」
真大より隼人のほうが年上だが、真大は普段から隼人に敬語など使ったことはない。それが、今この状況でわざわざそんな調子で喋るあたり、真大の怒り具合が窺い知れる。
とはいえ、隼人だって気は短いほうだし、どこかの組で先陣を切って敵に乗り込んでいきそうな見た目どおり、優しく甘いだけの男ではない。こんな言い方をされたら、普段だったら『あぁ? 何言ってだ?』とキレて凄んで来るところなのに、今日に限っては、
『で…す、よねー…』
と、乾いた笑みとともに、そんな返事を寄越しただけだった。
もちろん、そんなことで真大の機嫌が治るはずもない。
「それで? どこに行けばいいんですか?」
『あ、えっとー…』
飽くまでも敬語を続ける真大に、隼人はたじろぎながら居場所を告げた。
年下の真大に敬語を使われてビクつくなんて、一体全体どうかしていると思うけれど、今の真大の声色は、実際の彼を目の前にしていなくても、かなりの威圧感があったのだ。
「…すぐに行きますから、くれぐれもよろしくお願いしますね」
一段と低い声でそう言った真大は、隼人の返事を聞く前に電話を切って立ち上がった。
*****
隼人が告げたのは、有り難いことに派手なクラブではなく、駅に近いチェーンの居酒屋で、真大は正直ホッとしていた。
恋人が酔い潰れてホッとする場所など、この世のどこにも存在はしないけれど、クラブよりは大衆居酒屋のほうがまだ安心できるし、迎えにも行きやすい。
電車に揺られながら、真大は若干の安堵感を覚えつつも、まだ翔真の状態を確認したわけではない状況に、ギュッと気を引き締める。
大体、隼人も隼人だ。翔真があんなにベロベロになるまで飲ませるなんて。
電話の時点で問い詰めてやろうかと思ったが、それよりも早く迎えに行きたくて、手短に電話を切ったものだから、真大の隼人に対する怒りは、未だに燻り続けているのだ。
いや、隼人ばかりを責められないことは、真大も分かっている。
翔真は、決して酒に弱いわけではない。少なくとも真大よりは断然強い。しかし隼人はそれ以上に強いのだ。一緒に飲んだことのある真大は、そのことをよく知っている。
そして翔真も、隼人が強いことを知っているから、一緒に飲むときは自分のペースを守って飲んでいる。『俺の酒が飲めないのか』的な、考え方の古いノリのシチュエーションではないのだ。
それなのに今日こういう展開になったのは、恐らく翔真自身の問題だ。きっと楽しくて、隼人につられて、同じように飲んでしまったに違いない。
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