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くだらない明日にドロップキック (12)
2016.03.12 Sat
「まぁいいだろ、2人とも覚えてないんだし、お互いやりたくなったからやった、てことで。無理やり襲っただの跨っただの言うより、そのほうが平和だろ」
「は…はぁ…」
いくらベロベロに酔っていたとはいえ、初対面の男とやりたくなるとは思えなかったが、板屋越の言い分は尤もで、それが一番平和的な解決策に思えた。やられたほうの板屋越がそれでいいと言っているなら、そうしておくのがいいのかもしれない。
「けど、これからは酒は控えることにします…」
「ぅん?」
「覚えてないだけで、俺、酔った勢いで無理やりやったかもしれないわけだし…、またこんなことしたら…」
「フン」
暗くなる気持ちのまま項垂れた純平の頭上で、板屋越の鼻を鳴らす音が聞こえた。気になったが、板屋越の機嫌が悪いのだとしたら目も合わせづらいから、純平は視線だけをゆっくりと上に向けた。板屋越は純平のほうを見てはいなかった。変わらぬ渋い表情からは、その気持ちを読み取ることも出来なかった。
おもしろいヤツだと会う前から親近感を抱かれていたが、素面になればこんなにも頭が固い男だと分かって、つまらなくなったのだろうか。純平はおどけていることが多いけれど、根本は真面目なのだ。
そういう意味では、板屋越は純平と正反対のようにも思えた。教師でありながらこの外見だし、素面でもこの発想をする性格だし、そんな彼からすれば、ひどく生真面目なことを言う純平は、つまらないかもしれない。
しかし純平は、そんな板屋越に対して嫌悪感もないし、ガッカリした気持ちにもならない。自分がそうでなくても、破天荒な性格は弟の央で慣れているし、楽しいことは大好きだ。だから、このまま板屋越の気持ちが自分から離れて行ってしまったら、それはとても悲しいことに思えた。
「板屋越さん…」
「ん?」
板屋越に愛想を尽かされたくないと思ったせいなのか、思わず板屋越に声を掛けていた。このまま無視されてしまったら、泣きたくなるほど寂しいと思ったのに、意外なほどあっさりと板屋越は純平のほうを向いた。あまりこだわりのない性格なのかもしれない。
声を掛けたきり呆けている純平に、板屋越は眉間のしわを深くしつつ、タバコを手に取る。答えない純平を無視して、箱を振ってタバコを1本出すと、口の端に銜えた。タバコを吸わない純平にしたら、その仕草はまるで映画の登場人物のようだった。
「何だ」
あまりにも純平が黙ったままだったせいか、板屋越は訝しむように首を傾げた。純平はただポカンとそれを見ていた。その不躾な視線に、板屋越はさらに眉を寄せたかったのかもしれないが、もうすでに最深の渓谷となっていたそこは、もうそれ以上しわを深くすることはなかった。
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「は…はぁ…」
いくらベロベロに酔っていたとはいえ、初対面の男とやりたくなるとは思えなかったが、板屋越の言い分は尤もで、それが一番平和的な解決策に思えた。やられたほうの板屋越がそれでいいと言っているなら、そうしておくのがいいのかもしれない。
「けど、これからは酒は控えることにします…」
「ぅん?」
「覚えてないだけで、俺、酔った勢いで無理やりやったかもしれないわけだし…、またこんなことしたら…」
「フン」
暗くなる気持ちのまま項垂れた純平の頭上で、板屋越の鼻を鳴らす音が聞こえた。気になったが、板屋越の機嫌が悪いのだとしたら目も合わせづらいから、純平は視線だけをゆっくりと上に向けた。板屋越は純平のほうを見てはいなかった。変わらぬ渋い表情からは、その気持ちを読み取ることも出来なかった。
おもしろいヤツだと会う前から親近感を抱かれていたが、素面になればこんなにも頭が固い男だと分かって、つまらなくなったのだろうか。純平はおどけていることが多いけれど、根本は真面目なのだ。
そういう意味では、板屋越は純平と正反対のようにも思えた。教師でありながらこの外見だし、素面でもこの発想をする性格だし、そんな彼からすれば、ひどく生真面目なことを言う純平は、つまらないかもしれない。
しかし純平は、そんな板屋越に対して嫌悪感もないし、ガッカリした気持ちにもならない。自分がそうでなくても、破天荒な性格は弟の央で慣れているし、楽しいことは大好きだ。だから、このまま板屋越の気持ちが自分から離れて行ってしまったら、それはとても悲しいことに思えた。
「板屋越さん…」
「ん?」
板屋越に愛想を尽かされたくないと思ったせいなのか、思わず板屋越に声を掛けていた。このまま無視されてしまったら、泣きたくなるほど寂しいと思ったのに、意外なほどあっさりと板屋越は純平のほうを向いた。あまりこだわりのない性格なのかもしれない。
声を掛けたきり呆けている純平に、板屋越は眉間のしわを深くしつつ、タバコを手に取る。答えない純平を無視して、箱を振ってタバコを1本出すと、口の端に銜えた。タバコを吸わない純平にしたら、その仕草はまるで映画の登場人物のようだった。
「何だ」
あまりにも純平が黙ったままだったせいか、板屋越は訝しむように首を傾げた。純平はただポカンとそれを見ていた。その不躾な視線に、板屋越はさらに眉を寄せたかったのかもしれないが、もうすでに最深の渓谷となっていたそこは、もうそれ以上しわを深くすることはなかった。
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