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くだらない明日にドロップキック (10)
2016.03.10 Thu
「いや、それ俺に聞かれても」
「………………はい?」
事情を知り得るのは純平と板屋越の2人だが、純平はすっかり忘れてしまっていて、しかし板屋越はどうも覚えているらしいから尋ねたのに、そんなふうに返されると、純平は返事も困るし態度にも困る。訝しみながら顔を上げると、板屋越もキョトンとしているから、純平の困惑はさらに増す。板屋越に聞かないで、誰に聞くと言うのだ。
「えと…、板屋越さん、昨日のこと…」
「セックスしたことか?」
「ッ、ぁ、ッ…、そうっ…です……」
純平が、なるべくふんわりと尋ねようとしているのに、板屋越が切り込んで来るものだから、いちいち焦らなければならない。いや、『セックス』という単語1つで焦る三十路男というのも、なかなかに格好のつかないものであるが、生まれて初めて男とセックスをした翌日に、なぜそうなったかも分からない状況下では、それも仕方がないことだと分かってもらいたい。
「それでそのっ……何でそうなったのか、教えてもらえないでしょうか…?」
「だから、俺に聞かれたって、知らんし」
「いやいやいやいや」
板屋越は飽くまでも白を切ろうとするが、しかし2人がセックスをした理由を知らなければ、純平が無理やり板屋越を抱いたという事実がなければ、板屋越が純平を許すとか許さないとかいう状況にはならないはずだ。
板屋越の眉を寄せた渋面は、それが彼のデフォルトであり、特別に不機嫌なときでなくても作られる表情だと、ようやく純平も分かって来たので、変に慌てることなく、『またまたぁ~』という調子で突っ込んだ。
「いや、ホントに覚えてない」
「だってさっき僕のこと許すとか…」
「お前が謝るから」
「はい?」
先ほどから会話が噛み合っていないような気がしていたが、その理由が何となく見えて来て、しかしそれはそれでどうも納得がいかなくて、純平は首を捻る。
「昨日何でお前とセックスしたかは覚えてないけど、お前が謝るから、お前が無理やりやったのかな、て思って」
「違いますっ!!」
いや、純平も記憶がない以上、違います、と断言は出来ないが、同じように記憶のない人間から、無理やりやったのだと決め付けられたくはない。というか、『無理やりやった』というワードを、そんないとも簡単に、しかも淡々と発しないでほしい。もし本当に純平が無理やりやったのだとしたら、板屋越は無理やりやられた側なのだ。
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「………………はい?」
事情を知り得るのは純平と板屋越の2人だが、純平はすっかり忘れてしまっていて、しかし板屋越はどうも覚えているらしいから尋ねたのに、そんなふうに返されると、純平は返事も困るし態度にも困る。訝しみながら顔を上げると、板屋越もキョトンとしているから、純平の困惑はさらに増す。板屋越に聞かないで、誰に聞くと言うのだ。
「えと…、板屋越さん、昨日のこと…」
「セックスしたことか?」
「ッ、ぁ、ッ…、そうっ…です……」
純平が、なるべくふんわりと尋ねようとしているのに、板屋越が切り込んで来るものだから、いちいち焦らなければならない。いや、『セックス』という単語1つで焦る三十路男というのも、なかなかに格好のつかないものであるが、生まれて初めて男とセックスをした翌日に、なぜそうなったかも分からない状況下では、それも仕方がないことだと分かってもらいたい。
「それでそのっ……何でそうなったのか、教えてもらえないでしょうか…?」
「だから、俺に聞かれたって、知らんし」
「いやいやいやいや」
板屋越は飽くまでも白を切ろうとするが、しかし2人がセックスをした理由を知らなければ、純平が無理やり板屋越を抱いたという事実がなければ、板屋越が純平を許すとか許さないとかいう状況にはならないはずだ。
板屋越の眉を寄せた渋面は、それが彼のデフォルトであり、特別に不機嫌なときでなくても作られる表情だと、ようやく純平も分かって来たので、変に慌てることなく、『またまたぁ~』という調子で突っ込んだ。
「いや、ホントに覚えてない」
「だってさっき僕のこと許すとか…」
「お前が謝るから」
「はい?」
先ほどから会話が噛み合っていないような気がしていたが、その理由が何となく見えて来て、しかしそれはそれでどうも納得がいかなくて、純平は首を捻る。
「昨日何でお前とセックスしたかは覚えてないけど、お前が謝るから、お前が無理やりやったのかな、て思って」
「違いますっ!!」
いや、純平も記憶がない以上、違います、と断言は出来ないが、同じように記憶のない人間から、無理やりやったのだと決め付けられたくはない。というか、『無理やりやった』というワードを、そんないとも簡単に、しかも淡々と発しないでほしい。もし本当に純平が無理やりやったのだとしたら、板屋越は無理やりやられた側なのだ。
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