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くだらない明日にドロップキック (4)
2016.03.03 Thu
「え? え? 央ちゃんの……担任…?」
「そー」
呆然としながら――――出来れば嘘であってほしいと願いつつ尋ねた純平の言葉に、板屋越はいともあっさりと肯定の返事をくれる。念のため槇村と逢坂の顔を見たが、2人ともそれを悪い冗談だとは言ってくれなかった。
「担任の先生、というと……学校の先生…?」
ここまで念押しして聞かなくとも、答えはそうであるに違いなかったのに、それでも純平は聞かずにはいられなかった。それでもまだなお、そうではないという答えが欲しかったのだ。
「お前、何回聞くんだよ。学校の先生じゃなかったら、担任の先生になれないだろ。いや、今はそんなんもありか? よく民間出身の校長とか言ってるしな。でも俺はあれだよ、ちゃんと学校の先生だよ」
しつこい純平の問いに気を悪くしたふうもなく、板屋越は笑いながら答えてくれた――――純平の望んでいない答えを。
会ってまだ数分でもない板屋越の何も知らないのだから、彼が弟のクラス担任であることを嫌がる理由などあるはずもないのだが、何というか、第一印象でそう思ってしまったのだ。
何しろ板屋越は、学校の先生どころか、一般的なサラリーマンにも見えない長髪で、服装も、仕事帰りとは思えないラフさだ。今日は金曜日で、央は普通に学校に行ったから、担任の板屋越が休みのはずはないし、制服で仕事をする業種でもないから、途中で着替えたとも考えにくい。つまりは、この格好で教壇に立っているということだ。
同じラフでも、例えば今板屋越がジャージ姿で、体育教師だから普段からこの格好なのだと言ってくれたら少しは気が晴れるが、とても体育教師には見えない貧弱な体付きだし、およそスポーツで汗を流すようなタイプにも見えない(そもそも、こんな時間に居酒屋にいる時点で、部活動の顧問もしていないに違いない)。
服装にしろ、髪型にしろ、ファッションに大らかな社風の会社もあるだろうが、教師としてはいかがなものだろうか。いつもふざけてばかりいる純平だが、変なところで頭の固い純平は、ついそんなことを思ってしまう。
そういえば、央から先生に対しての不満を聞いたことがなかったが、それは単に自由で楽だからという理由なのではなかろうか。大人から見て『いい先生』でも、厳しい先生は生徒に人気はない。板屋越は、自身がこれだけ自由なのだから、生徒にもとやかく言わなそうだ。
「あの…、ウチの央ちゃんは、学校ではどんな様子ですか…?」
何もこんなところで保護者面談を始めなくてもよさそうなものを、なぜか純平は真面目な顔で、正面に座る板屋越に尋ねた。純平は、とにかく気になって仕方がないのだ。それは央が槇村のことを気になって仕方がなかったような、そんな青春めいた、ストーカー染みた気持ちではなく、この人が担任で、本当に央は大丈夫なのかという意味での、気になって仕方がない、だが。
槇村も逢坂も、『はぁ?』という顔をしたが、板屋越だけは真剣な表情で徐に口を開いた。
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「そー」
呆然としながら――――出来れば嘘であってほしいと願いつつ尋ねた純平の言葉に、板屋越はいともあっさりと肯定の返事をくれる。念のため槇村と逢坂の顔を見たが、2人ともそれを悪い冗談だとは言ってくれなかった。
「担任の先生、というと……学校の先生…?」
ここまで念押しして聞かなくとも、答えはそうであるに違いなかったのに、それでも純平は聞かずにはいられなかった。それでもまだなお、そうではないという答えが欲しかったのだ。
「お前、何回聞くんだよ。学校の先生じゃなかったら、担任の先生になれないだろ。いや、今はそんなんもありか? よく民間出身の校長とか言ってるしな。でも俺はあれだよ、ちゃんと学校の先生だよ」
しつこい純平の問いに気を悪くしたふうもなく、板屋越は笑いながら答えてくれた――――純平の望んでいない答えを。
会ってまだ数分でもない板屋越の何も知らないのだから、彼が弟のクラス担任であることを嫌がる理由などあるはずもないのだが、何というか、第一印象でそう思ってしまったのだ。
何しろ板屋越は、学校の先生どころか、一般的なサラリーマンにも見えない長髪で、服装も、仕事帰りとは思えないラフさだ。今日は金曜日で、央は普通に学校に行ったから、担任の板屋越が休みのはずはないし、制服で仕事をする業種でもないから、途中で着替えたとも考えにくい。つまりは、この格好で教壇に立っているということだ。
同じラフでも、例えば今板屋越がジャージ姿で、体育教師だから普段からこの格好なのだと言ってくれたら少しは気が晴れるが、とても体育教師には見えない貧弱な体付きだし、およそスポーツで汗を流すようなタイプにも見えない(そもそも、こんな時間に居酒屋にいる時点で、部活動の顧問もしていないに違いない)。
服装にしろ、髪型にしろ、ファッションに大らかな社風の会社もあるだろうが、教師としてはいかがなものだろうか。いつもふざけてばかりいる純平だが、変なところで頭の固い純平は、ついそんなことを思ってしまう。
そういえば、央から先生に対しての不満を聞いたことがなかったが、それは単に自由で楽だからという理由なのではなかろうか。大人から見て『いい先生』でも、厳しい先生は生徒に人気はない。板屋越は、自身がこれだけ自由なのだから、生徒にもとやかく言わなそうだ。
「あの…、ウチの央ちゃんは、学校ではどんな様子ですか…?」
何もこんなところで保護者面談を始めなくてもよさそうなものを、なぜか純平は真面目な顔で、正面に座る板屋越に尋ねた。純平は、とにかく気になって仕方がないのだ。それは央が槇村のことを気になって仕方がなかったような、そんな青春めいた、ストーカー染みた気持ちではなく、この人が担任で、本当に央は大丈夫なのかという意味での、気になって仕方がない、だが。
槇村も逢坂も、『はぁ?』という顔をしたが、板屋越だけは真剣な表情で徐に口を開いた。
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