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くだらない明日にドロップキック (2)
2016.03.01 Tue
それなのに、だ。
板屋越は、相向かいにろうとしていた純平に対し、「よぉ、純平」と片手を挙げたのだ。その後に、『久しぶり』とでも続きそうな口調で。
これには槇村と逢坂もギョッとした顔をしていたが、何よりも仰天したのはもちろん純平で、喉元まで出掛っていた『初めまして』という言葉を、慌てて飲み込んだ。
「…知り合いか?」
口を開いたのは、純平の隣にいた逢坂だったが、彼は純平と板屋越の両方を見比べながらそう尋ねたので、一体どちらにその質問を投げ掛けたのか分からず、純平は答えるのをやめておいた。
板屋越が勘違いしているのだろうと思う反面、まだ名乗ってもいないのに純平の名前を知っているあたり、純平のほうが相手のことを忘れているのかもしれないと思ったのだ。何しろ、純平の記憶力は、とんでもなくポンコツだから。
「ん? 知り合い…………あ、会ったことないわ」
しかし、しばらくの沈黙の後、板屋越が発したのは、そんな気の抜けるようなセリフだった。
「「はぁ~!!??」」
声を上げたのは、槇村と逢坂だった。純平も、自分の記憶違いでなかったことが分かってホッとするより先、『はぁ~~!!??』と思ったのだが、あまりのことに、声にならなかったのである。
以前にも会ったことのある人を忘れて、『初めまして』などと言ってしまうことは無きにしも非ずだろうが、何をどうすると、初対面の人間を前にも会ったことがあると思ってしまうのか。しかも、純平の名前を知っていたあたり、誰かと間違えて挨拶したというわけでもなさそうだ。
「いや、どっちだよ。初めて会ったんじゃねぇの? 何で知り合いなんだよ」
何が何だか分からないのは槇村と逢坂も同じだったようで、大変困惑した様子で逢坂が尋ねた(困惑しすぎて、若干質問がおかしなことになっていたが、ただポカンとなっていた槇村よりは多少マシだろう)。
「いや、知り合いじゃないわな、知り合いじゃない。何かそんな気がしてたけど、完全に今日初めて会ったわ」
「だから、何で知り合いの気がするんだよ」
板屋越はあっさりと自分の勘違いを認めたが、逢坂の突っ込みのとおり、一体どうして、今まで会ったこともない純平が知り合いのような気がしていたのだ。悪いが純平はまだ、この時点で板屋越の名前すらまだ分かっていない。
「お前らがめっちゃ純平の話するから。そんなの、俺も知り合いなのかな、て思うだろ」
「思うか!」
どうやら純平不在の席で、たびたび純平のことが話題に上っていたらしい。その場にいない人間の話をするのは、どんな場面においても(良くも悪くも)あることなので別にいいんだけれど、そういうときは普通、全員が知っている人の話題で盛り上がるものではないだろうか。純平のことを知らない板屋越は、よくその話に付いていけたし、純平のことを知り合いだと思うほどになったものだ。
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板屋越は、相向かいにろうとしていた純平に対し、「よぉ、純平」と片手を挙げたのだ。その後に、『久しぶり』とでも続きそうな口調で。
これには槇村と逢坂もギョッとした顔をしていたが、何よりも仰天したのはもちろん純平で、喉元まで出掛っていた『初めまして』という言葉を、慌てて飲み込んだ。
「…知り合いか?」
口を開いたのは、純平の隣にいた逢坂だったが、彼は純平と板屋越の両方を見比べながらそう尋ねたので、一体どちらにその質問を投げ掛けたのか分からず、純平は答えるのをやめておいた。
板屋越が勘違いしているのだろうと思う反面、まだ名乗ってもいないのに純平の名前を知っているあたり、純平のほうが相手のことを忘れているのかもしれないと思ったのだ。何しろ、純平の記憶力は、とんでもなくポンコツだから。
「ん? 知り合い…………あ、会ったことないわ」
しかし、しばらくの沈黙の後、板屋越が発したのは、そんな気の抜けるようなセリフだった。
「「はぁ~!!??」」
声を上げたのは、槇村と逢坂だった。純平も、自分の記憶違いでなかったことが分かってホッとするより先、『はぁ~~!!??』と思ったのだが、あまりのことに、声にならなかったのである。
以前にも会ったことのある人を忘れて、『初めまして』などと言ってしまうことは無きにしも非ずだろうが、何をどうすると、初対面の人間を前にも会ったことがあると思ってしまうのか。しかも、純平の名前を知っていたあたり、誰かと間違えて挨拶したというわけでもなさそうだ。
「いや、どっちだよ。初めて会ったんじゃねぇの? 何で知り合いなんだよ」
何が何だか分からないのは槇村と逢坂も同じだったようで、大変困惑した様子で逢坂が尋ねた(困惑しすぎて、若干質問がおかしなことになっていたが、ただポカンとなっていた槇村よりは多少マシだろう)。
「いや、知り合いじゃないわな、知り合いじゃない。何かそんな気がしてたけど、完全に今日初めて会ったわ」
「だから、何で知り合いの気がするんだよ」
板屋越はあっさりと自分の勘違いを認めたが、逢坂の突っ込みのとおり、一体どうして、今まで会ったこともない純平が知り合いのような気がしていたのだ。悪いが純平はまだ、この時点で板屋越の名前すらまだ分かっていない。
「お前らがめっちゃ純平の話するから。そんなの、俺も知り合いなのかな、て思うだろ」
「思うか!」
どうやら純平不在の席で、たびたび純平のことが話題に上っていたらしい。その場にいない人間の話をするのは、どんな場面においても(良くも悪くも)あることなので別にいいんだけれど、そういうときは普通、全員が知っている人の話題で盛り上がるものではないだろうか。純平のことを知らない板屋越は、よくその話に付いていけたし、純平のことを知り合いだと思うほどになったものだ。
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