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ナビゲーション
2008.10.06 Mon
大学生はモラトリアム時代なんて言うけど、実はレポートだ、試験だ、て結構忙しい。
俺は俺で、不規則な勤務体系だから、必ずしも休みの日が重なるわけじゃない。
だから今日みたいに2人揃ってオフになると、つい、いつもなら出来ないようなこととかしちゃう。
たとえば遠出、とか。
本来出不精のはずの蒼大が、季節外れにもかかわらず、『海見たい』なんて言い出すもんだから、つい張り切って、車とか出しちゃう。
つい。
(俺も甘いよなぁ、実際)
タバコの煙の向こう、裸足になった蒼大が、打ち寄せる波にはしゃいでる。まぁ、ここまで喜んでもらえるなら、張り切った甲斐があるけど。
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、蒼大は脱ぎ捨てた靴をそのままに、岩場のほうへ駆けていく。
波にさらわれそうになっている蒼大の靴を拾い、俺も岩場のほうへと向かった。
「ウヒャヒャ、カニだ、カニ!」
岩場の陰で身を屈めていた蒼大が、嬉しそうに笑い声を上げて起き上がった。そばに俺の姿を発見した蒼大は、見せ付けるように右手を差し出してくる。
「ホラ! カニ!」
無邪気に笑う蒼大の右手には、甲羅をつままれた小さなカニが1匹、もがくように足を動かしている。
「すげぇ~、ちゃんといるんだね、こういうの」
感心しながら蒼大は、捕まえたカニを、元いた場所に放してやった。
「お前、尻、砂だらけ」
きっと砂浜に座ったきり、そのままにしていたんだろう。蒼大のジーンズは砂だらけになっていて、言っても払おうとしないから、仕方なく俺がその砂を払ってやる。
その間、蒼大は大人しくされるがままになってるけど……何て言うか、こういうことしてると、ホントに父親になった気分がして、結構微妙だったりする。
「帰るのも時間掛かるから……そろそろ行くか」
「ん、」
明らかに名残惜しそうに蒼大が返事をするから、『じゃあ、もうちょっと』とか言ってしまいそうになる。
でも明日も朝から仕事がだから、帰るのがあんまり遅くなるわけにもいかない。
「また来ればいいだろ?」
「いつ?」
「いつって…」
「また、休みが重なったら、来る?」
「そうだな。お前が行きたいっつうなら、連れてくよ?」
「マジ?」
「マジです」
そう答えると、蒼大は満面の笑みを零す。
「じゃ、帰ろ?」
誰もいない、季節外れの海。
そっと指を絡ませる。
*****
車が動き出して数分後、タバコに火を点けようとしたとき、蒼大の頭が時折、船を漕いでいることに気が付いた。
でも本人は起きていたいらしくて、ガクリと首が傾いた後、体勢を立て直して、目をこすってる。
「眠いなら、寝てていいぞ?」
「でも…」
俺に気を遣っているのか、蒼大はあくびを噛み潰し、緩く首を振った。
「いいから。そのかわりお前んちの場所知らねぇから、近くなったら起こすぞ? ちゃんとナビしろよ?」
「…ん、」
返事とほぼ同時、蒼大は窓ガラスに頭を預けて目を閉じた。
俺は一抹の不安を残しつつ、蒼大の家に向かって車を走らせた。
「蒼大、蒼大、この道、真っ直ぐでいいのか?」
「―――ぅん…」
信号待ちで車を停めると、肩を揺すって蒼大を起こしに掛かる。
方向的には間違っていないはずだが、細かい道筋までは知らないから、後は蒼大のナビに任せるしかない。
……しかないのに。
「蒼大、おい」
何となく反応はあるものの、どんなに声を掛けても肩を揺すってみても、蒼大の瞳は開かない。
後続車のクラクションに急かされて、俺はとりあえずアクセルをふかす。
「蒼大、次の信号どっち?」
「……んー…左…」
「左? 左だな?」
念を押してから、方向指示器を左に点滅させる。
しかし、曲がってみてふと気付く――――この道じゃない。
さっきの交差点も左に曲がったのだ。これではまた来た方向へと戻ってしまう。
仕方ないので、左折を2回繰り返して方向修正をすした。
「おい、蒼大!」
しかし聞こえるのは寝息ばかり。
やはり、はしゃぎ過ぎたか。
蒼大のナビが当てにならないかも…という嫌な予感は的中し、俺の車は見事道に迷う始末。
前回も、前々回も、その前も、蒼大は車の中で寝てしまって、何回来ても蒼大の家に到着するまでには、相当な時間と労力を要してしまうのだ。
分かっていて寝かせてしまったのだから、隣で寝ている蒼大を責めてみても仕方がないので、とりあえず"頼りになる"ナビを起動させて。
「行き先は…」
*****
「蒼大、着いたぞ」
駐車スペースに車を入れて、荷物を出すと、今度こそ本格的に蒼大を起こす。
「蒼大!」
「んん…ん…?」
「着いたって」
「……着いた…?」
ようやく意識が戻ってきたのか、蒼大は目をこすりながらキョロキョロと辺りを見回す。
「ゴメ…、俺、寝ちゃった」
「ホンット、すげぇ爆睡だった」
「だって!」
赤くなる蒼大が、何かかわいい。蒼大は慌てたように車から降りた。
―――と、そこで初めて俺まで車から降りているのに気が付き、不思議そうに視線を向けてきた。
蒼大の家まで送っていったときは、蒼大を降ろして、そこで別れるというパターンが常だったから。
「北見さん?」
「ホラ、行くぞ?」
「へ?」
そう言って腕を引かれて、蒼大はやっと気が付いたようだった。
「こっ…ここ、俺んちじゃない!」
地下の駐車場に、蒼大の声が響く。
さっきキョロキョロしてたときに、気が付いたと思ってたんだけど。だいたい、いつお前の家に地下駐車場が出来たんだっつーの。
「え? えっ? 何で!? 北見さんち!?」
そう、ここは俺のマンションの地下駐車場。
蒼大はまだ、驚きを隠せないでいる。
「しょうがないだろ、ナビのとおり走ったら、ここに着いちまったんだから」
「そのナビって、俺のことじゃないよね!? え、無意識にここ案内したとか…?」
「さぁな」
慌てふためく蒼大の手を取ったまま、ちょうどよく地階にいたエレベータに乗り込んだ。
俺は俺で、不規則な勤務体系だから、必ずしも休みの日が重なるわけじゃない。
だから今日みたいに2人揃ってオフになると、つい、いつもなら出来ないようなこととかしちゃう。
たとえば遠出、とか。
本来出不精のはずの蒼大が、季節外れにもかかわらず、『海見たい』なんて言い出すもんだから、つい張り切って、車とか出しちゃう。
つい。
(俺も甘いよなぁ、実際)
タバコの煙の向こう、裸足になった蒼大が、打ち寄せる波にはしゃいでる。まぁ、ここまで喜んでもらえるなら、張り切った甲斐があるけど。
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、蒼大は脱ぎ捨てた靴をそのままに、岩場のほうへ駆けていく。
波にさらわれそうになっている蒼大の靴を拾い、俺も岩場のほうへと向かった。
「ウヒャヒャ、カニだ、カニ!」
岩場の陰で身を屈めていた蒼大が、嬉しそうに笑い声を上げて起き上がった。そばに俺の姿を発見した蒼大は、見せ付けるように右手を差し出してくる。
「ホラ! カニ!」
無邪気に笑う蒼大の右手には、甲羅をつままれた小さなカニが1匹、もがくように足を動かしている。
「すげぇ~、ちゃんといるんだね、こういうの」
感心しながら蒼大は、捕まえたカニを、元いた場所に放してやった。
「お前、尻、砂だらけ」
きっと砂浜に座ったきり、そのままにしていたんだろう。蒼大のジーンズは砂だらけになっていて、言っても払おうとしないから、仕方なく俺がその砂を払ってやる。
その間、蒼大は大人しくされるがままになってるけど……何て言うか、こういうことしてると、ホントに父親になった気分がして、結構微妙だったりする。
「帰るのも時間掛かるから……そろそろ行くか」
「ん、」
明らかに名残惜しそうに蒼大が返事をするから、『じゃあ、もうちょっと』とか言ってしまいそうになる。
でも明日も朝から仕事がだから、帰るのがあんまり遅くなるわけにもいかない。
「また来ればいいだろ?」
「いつ?」
「いつって…」
「また、休みが重なったら、来る?」
「そうだな。お前が行きたいっつうなら、連れてくよ?」
「マジ?」
「マジです」
そう答えると、蒼大は満面の笑みを零す。
「じゃ、帰ろ?」
誰もいない、季節外れの海。
そっと指を絡ませる。
*****
車が動き出して数分後、タバコに火を点けようとしたとき、蒼大の頭が時折、船を漕いでいることに気が付いた。
でも本人は起きていたいらしくて、ガクリと首が傾いた後、体勢を立て直して、目をこすってる。
「眠いなら、寝てていいぞ?」
「でも…」
俺に気を遣っているのか、蒼大はあくびを噛み潰し、緩く首を振った。
「いいから。そのかわりお前んちの場所知らねぇから、近くなったら起こすぞ? ちゃんとナビしろよ?」
「…ん、」
返事とほぼ同時、蒼大は窓ガラスに頭を預けて目を閉じた。
俺は一抹の不安を残しつつ、蒼大の家に向かって車を走らせた。
「蒼大、蒼大、この道、真っ直ぐでいいのか?」
「―――ぅん…」
信号待ちで車を停めると、肩を揺すって蒼大を起こしに掛かる。
方向的には間違っていないはずだが、細かい道筋までは知らないから、後は蒼大のナビに任せるしかない。
……しかないのに。
「蒼大、おい」
何となく反応はあるものの、どんなに声を掛けても肩を揺すってみても、蒼大の瞳は開かない。
後続車のクラクションに急かされて、俺はとりあえずアクセルをふかす。
「蒼大、次の信号どっち?」
「……んー…左…」
「左? 左だな?」
念を押してから、方向指示器を左に点滅させる。
しかし、曲がってみてふと気付く――――この道じゃない。
さっきの交差点も左に曲がったのだ。これではまた来た方向へと戻ってしまう。
仕方ないので、左折を2回繰り返して方向修正をすした。
「おい、蒼大!」
しかし聞こえるのは寝息ばかり。
やはり、はしゃぎ過ぎたか。
蒼大のナビが当てにならないかも…という嫌な予感は的中し、俺の車は見事道に迷う始末。
前回も、前々回も、その前も、蒼大は車の中で寝てしまって、何回来ても蒼大の家に到着するまでには、相当な時間と労力を要してしまうのだ。
分かっていて寝かせてしまったのだから、隣で寝ている蒼大を責めてみても仕方がないので、とりあえず"頼りになる"ナビを起動させて。
「行き先は…」
*****
「蒼大、着いたぞ」
駐車スペースに車を入れて、荷物を出すと、今度こそ本格的に蒼大を起こす。
「蒼大!」
「んん…ん…?」
「着いたって」
「……着いた…?」
ようやく意識が戻ってきたのか、蒼大は目をこすりながらキョロキョロと辺りを見回す。
「ゴメ…、俺、寝ちゃった」
「ホンット、すげぇ爆睡だった」
「だって!」
赤くなる蒼大が、何かかわいい。蒼大は慌てたように車から降りた。
―――と、そこで初めて俺まで車から降りているのに気が付き、不思議そうに視線を向けてきた。
蒼大の家まで送っていったときは、蒼大を降ろして、そこで別れるというパターンが常だったから。
「北見さん?」
「ホラ、行くぞ?」
「へ?」
そう言って腕を引かれて、蒼大はやっと気が付いたようだった。
「こっ…ここ、俺んちじゃない!」
地下の駐車場に、蒼大の声が響く。
さっきキョロキョロしてたときに、気が付いたと思ってたんだけど。だいたい、いつお前の家に地下駐車場が出来たんだっつーの。
「え? えっ? 何で!? 北見さんち!?」
そう、ここは俺のマンションの地下駐車場。
蒼大はまだ、驚きを隠せないでいる。
「しょうがないだろ、ナビのとおり走ったら、ここに着いちまったんだから」
「そのナビって、俺のことじゃないよね!? え、無意識にここ案内したとか…?」
「さぁな」
慌てふためく蒼大の手を取ったまま、ちょうどよく地階にいたエレベータに乗り込んだ。
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COMMENT-FORM
柚子季杏 ⇒ こういうオチっすか!
別れたくないから寝惚けたふりしてるのかな?
と思ってたら、こういうオチっすか( ´艸`)ムププ♪
んもう、今朝も朝からクネクネっすよ、如月さん♪♪
あぁ、もう、今朝はあっちでもこっちでもサプライズ勃発(←この字エチィすよねww)で・・・あぁ、いい日だ+゜。(*´∀`*)+嬉☆*。+゜*・。゜*
この後はくんずほぐれずなわけですね?
きゃ~~キャッ(/∀\*))★
と思ってたら、こういうオチっすか( ´艸`)ムププ♪
んもう、今朝も朝からクネクネっすよ、如月さん♪♪
あぁ、もう、今朝はあっちでもこっちでもサプライズ勃発(←この字エチィすよねww)で・・・あぁ、いい日だ+゜。(*´∀`*)+嬉☆*。+゜*・。゜*
この後はくんずほぐれずなわけですね?
きゃ~~キャッ(/∀\*))★
りり ⇒ ああ~このオチ萌えます~
何か自分とこがばたばたしててやっとこれた…。
おおお~~~大人な北見さん、尽くしてるなあ…と思っていたら、
やっぱり大人。
なんすね。
ねんねしてるとこ~なる!
あわてふためいている蒼大くんが可愛いです!
おおお~~~大人な北見さん、尽くしてるなあ…と思っていたら、
やっぱり大人。
なんすね。
ねんねしてるとこ~なる!
あわてふためいている蒼大くんが可愛いです!
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
ホントに爆睡してる蒼大ちゃん…。
ホントにお子ちゃま。
一応、苦手な年の差にチャレンジしたつもりです(苦笑)
そそそそれにしても!!
柚子季さんもお気付きでしたか!
"勃発"の文字のエロさ…。
私だけだと思って、今までずっと心に秘めてましたよ!!!
今何か、心の中が妙にスッキリ…゜.+:。(*´v`*)゜.+:。
コメントありがとうございました!
ホントにお子ちゃま。
一応、苦手な年の差にチャレンジしたつもりです(苦笑)
そそそそれにしても!!
柚子季さんもお気付きでしたか!
"勃発"の文字のエロさ…。
私だけだと思って、今までずっと心に秘めてましたよ!!!
今何か、心の中が妙にスッキリ…゜.+:。(*´v`*)゜.+:。
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >りりさん
お忙しい中、ご訪問ありがとうございます~!!
苦手な年の差を克服すべく書いてみたんですけど、年の差~年の差~と思ってるうち、蒼大ちゃんがずいぶんお子ちゃまに…。
そして北見さんは何かただのエロ親父的な感じに(苦笑)
この後は、部屋に連れて行かれて、お子ちゃまらしからぬことをされちゃうわけです。
コメントありがとうございました!
苦手な年の差を克服すべく書いてみたんですけど、年の差~年の差~と思ってるうち、蒼大ちゃんがずいぶんお子ちゃまに…。
そして北見さんは何かただのエロ親父的な感じに(苦笑)
この後は、部屋に連れて行かれて、お子ちゃまらしからぬことをされちゃうわけです。
コメントありがとうございました!