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恋は七転び八起き (114)
2016.01.09 Sat
「お互いに、相手が行きたいだろうと思ってるところを想像し合ってたら、世話ないわ」
「別に、」
「お前ら、付き合い始めたんだろ? お前は央が高校生だと知ってて、向こうだってお前が34のオッサンと知ってて。それが何今さら遠慮し合ってんの。いや、相手を尊重すんのはいいことだし、親しき仲にも礼儀ありとは言うけどな、付き合う前のほうが曝け出してたんじゃね?」
「…………」
「――――なーんてな! そんな深く考えないで、行きたいところ行ったらいいだろ。デートなんてこれからいくらでも行くんだから、どっちの行きたいところでも、好きなだけ行けんだろ」
最終的にはおどける形で、逢坂はアドバイスを締め括った。
付き合うまでは、央は猪突猛進的に槇村のところへ向かって来ていたし、槇村にしたら、どうしたら央が諦めてくれるのか思っていたから、逢坂の言うとおり、互いに気持ちは曝け出していたかもしれない。
付き合い始めたら、やはりどうしたって相手に嫌われたくなくて、多かれ少なかれ自分の気持ちを抑えて、相手に併せようとする思いは芽生える。自分たちは、難しいところから関係をスタートさせたのかもしれない。
「あぁ、でもお前、歌下手くそなんだから、央をガッカリさせないためにも、カラオケはやめといたほうがいいんじゃね?」
「ッ、お前に言われたないわっ!」
せっかくいいことを言った後なのに、逢坂はそう言って、ガハハと笑った。それが、逢坂のいいところなのだ。
槇村と、初めてのデート。
誘ったのは央だが(うまく誘い切れず、結局槇村に気持ちを汲み取ってもらったのだが)、どこに行きたいかについては、逆に槇村から央に尋ねられた。
そう言われても、央にデートの知識は乏しい。前に付き合った彼女と出掛けたことはあるけれど、大人の槇村とも同じような場所でいいのかと、悩んでしまう。
かといって大人が楽しめそうな場所なんて思い付かなくて圭人と七海に尋ねてみれば、『槇村さんの好きそうなところなんて、分かるわけないじゃんん』とあっさり返された。当たり前だ、2人だって央と同じ高校生なんだし。
とすれば、残るは純平か…と思ったが、休みの日には部屋に閉じ籠ってばかりいる純平が、気の利いたデートスポットを知っているとは思えず、聞くのはやめた。
そうしているうちに金曜日がやって来て――――明日はとうとう、槇村と出掛ける日だ。
「あ~う~、どぉしよぉ~…」
最初のうちは、槇村とデートが出来ると思って浮かれてばかりいた央も、さすがに今になってもまだ行き先が決められずにいるとなっては、そうも言っていられなくなる。
今日までの間に、槇村とは何度か連絡を取り合ったけれど、向こうもそんなに積極的に尋ねて来ないから、央もつい答えを先延ばしにしていたのだ。そのツケが…!
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「別に、」
「お前ら、付き合い始めたんだろ? お前は央が高校生だと知ってて、向こうだってお前が34のオッサンと知ってて。それが何今さら遠慮し合ってんの。いや、相手を尊重すんのはいいことだし、親しき仲にも礼儀ありとは言うけどな、付き合う前のほうが曝け出してたんじゃね?」
「…………」
「――――なーんてな! そんな深く考えないで、行きたいところ行ったらいいだろ。デートなんてこれからいくらでも行くんだから、どっちの行きたいところでも、好きなだけ行けんだろ」
最終的にはおどける形で、逢坂はアドバイスを締め括った。
付き合うまでは、央は猪突猛進的に槇村のところへ向かって来ていたし、槇村にしたら、どうしたら央が諦めてくれるのか思っていたから、逢坂の言うとおり、互いに気持ちは曝け出していたかもしれない。
付き合い始めたら、やはりどうしたって相手に嫌われたくなくて、多かれ少なかれ自分の気持ちを抑えて、相手に併せようとする思いは芽生える。自分たちは、難しいところから関係をスタートさせたのかもしれない。
「あぁ、でもお前、歌下手くそなんだから、央をガッカリさせないためにも、カラオケはやめといたほうがいいんじゃね?」
「ッ、お前に言われたないわっ!」
せっかくいいことを言った後なのに、逢坂はそう言って、ガハハと笑った。それが、逢坂のいいところなのだ。
央・純平
槇村と、初めてのデート。
誘ったのは央だが(うまく誘い切れず、結局槇村に気持ちを汲み取ってもらったのだが)、どこに行きたいかについては、逆に槇村から央に尋ねられた。
そう言われても、央にデートの知識は乏しい。前に付き合った彼女と出掛けたことはあるけれど、大人の槇村とも同じような場所でいいのかと、悩んでしまう。
かといって大人が楽しめそうな場所なんて思い付かなくて圭人と七海に尋ねてみれば、『槇村さんの好きそうなところなんて、分かるわけないじゃんん』とあっさり返された。当たり前だ、2人だって央と同じ高校生なんだし。
とすれば、残るは純平か…と思ったが、休みの日には部屋に閉じ籠ってばかりいる純平が、気の利いたデートスポットを知っているとは思えず、聞くのはやめた。
そうしているうちに金曜日がやって来て――――明日はとうとう、槇村と出掛ける日だ。
「あ~う~、どぉしよぉ~…」
最初のうちは、槇村とデートが出来ると思って浮かれてばかりいた央も、さすがに今になってもまだ行き先が決められずにいるとなっては、そうも言っていられなくなる。
今日までの間に、槇村とは何度か連絡を取り合ったけれど、向こうもそんなに積極的に尋ねて来ないから、央もつい答えを先延ばしにしていたのだ。そのツケが…!
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