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恋は七転び八起き (102)
2015.12.19 Sat
「あっはっは、槇村が央のこと落としたの? 央が槇村をじゃなくて?」
板屋越のセリフに呆れたのは槇村だけで、逢坂は何がおもしろいのか、大層ウケている。
大笑いしているせいで、突っ込みらしい突っ込みにはなっていないが、しかし逢坂の言っていることは間違いではない。想いを通わせ合ったあの日、好きだと先に口にしたのは確かに槇村だったが、そもそもは央のほうが先に、しかも何度も告白して来ているのだ。落としたのは央のほうで、槇村は落とされたほうだ。
「でも、コイツは1回……じゃない、何回も央のこと振ってんだぞ。それが、今回急に受け入れるはずがない。そもそも、こないだめっちゃヒドイこと言ったんだから、央がまた告白しに行くわけない。つまりは、槇村が央に告って、央のことを落としたんだ」
「なるほどなぁ。じゃあ、今まで槇村が央のことを振ってたのも、作戦のうちってことか。小悪魔だわぁ」
「アホか、お前らっ!」
板屋越の推論はまぁいいとして、その後に続く逢坂の話にはもう我慢ならなくて、槇村は声を張り上げた。そんな作戦を立てた覚えはもちろんないし、それ以前に、30代も半ばになろうかという男に向かって『小悪魔』とか、よく恥ずかしげもなく言えるものだ。
「でも、槇村が告ったんだろ? 結局」
「そ…それはまぁ…」
槇村に怒鳴られても、平然と逢坂は聞き返してくる。逢坂のこの図太さを見ていると、一体どこまで詳しく聞かれるのかと、ちょっとゾッとしてくる。
央に思いを告げたときのことは、今思い出しても赤面するほどに恥ずかしいのだ。こんな年にもなって、あんなドラマにもならないような、劇的な告白をするとは思ってもみなかった。さすがにこれは話せない。
「なら槇村、わざわざ央に会いに行ったんだ? お前、1週間の間に、何の心境の変化があったんだよ。会社で会っても、めっちゃ暗い顔しかしてなかったのに」
「その暗い顔の下で、ずっと央のことを考えてたってことだ。央がずっと槇村のことを考えてたみたいにな」
「一途だなぁ」
槇村を抜きに、槇村の心境までも踏まえて話が進んでいく。
確かに槇村はこの1週間、ずっと央のことは考えていたけれど、それは、どうやって謝ったらいいかを思案していただけで、央への恋心を募らせていたわけではないのに。
「槇村、央の家でちゃんと親御さんに挨拶したか?」
「だから、行ってないって。勝手に話を膨らますな」
「なら、どうやって央に会ったんだ。学校か? 学校行ったのか? それはそれでちょっと…」
「学校にも行ってないっ!」
どうしても逢坂は、槇村が央に会いに行って告白をした、という体で話を進めたがるが、槇村は央の家にも学校にも、行ったことなどない。
学校へは、央に謝らなければと思っていたとき、最終手段的に考えたことはあるが、逢坂が嫌そうに顔を歪めたのも分かる、なかなかの行動だ。行かなくてよかった。
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板屋越のセリフに呆れたのは槇村だけで、逢坂は何がおもしろいのか、大層ウケている。
大笑いしているせいで、突っ込みらしい突っ込みにはなっていないが、しかし逢坂の言っていることは間違いではない。想いを通わせ合ったあの日、好きだと先に口にしたのは確かに槇村だったが、そもそもは央のほうが先に、しかも何度も告白して来ているのだ。落としたのは央のほうで、槇村は落とされたほうだ。
「でも、コイツは1回……じゃない、何回も央のこと振ってんだぞ。それが、今回急に受け入れるはずがない。そもそも、こないだめっちゃヒドイこと言ったんだから、央がまた告白しに行くわけない。つまりは、槇村が央に告って、央のことを落としたんだ」
「なるほどなぁ。じゃあ、今まで槇村が央のことを振ってたのも、作戦のうちってことか。小悪魔だわぁ」
「アホか、お前らっ!」
板屋越の推論はまぁいいとして、その後に続く逢坂の話にはもう我慢ならなくて、槇村は声を張り上げた。そんな作戦を立てた覚えはもちろんないし、それ以前に、30代も半ばになろうかという男に向かって『小悪魔』とか、よく恥ずかしげもなく言えるものだ。
「でも、槇村が告ったんだろ? 結局」
「そ…それはまぁ…」
槇村に怒鳴られても、平然と逢坂は聞き返してくる。逢坂のこの図太さを見ていると、一体どこまで詳しく聞かれるのかと、ちょっとゾッとしてくる。
央に思いを告げたときのことは、今思い出しても赤面するほどに恥ずかしいのだ。こんな年にもなって、あんなドラマにもならないような、劇的な告白をするとは思ってもみなかった。さすがにこれは話せない。
「なら槇村、わざわざ央に会いに行ったんだ? お前、1週間の間に、何の心境の変化があったんだよ。会社で会っても、めっちゃ暗い顔しかしてなかったのに」
「その暗い顔の下で、ずっと央のことを考えてたってことだ。央がずっと槇村のことを考えてたみたいにな」
「一途だなぁ」
槇村を抜きに、槇村の心境までも踏まえて話が進んでいく。
確かに槇村はこの1週間、ずっと央のことは考えていたけれど、それは、どうやって謝ったらいいかを思案していただけで、央への恋心を募らせていたわけではないのに。
「槇村、央の家でちゃんと親御さんに挨拶したか?」
「だから、行ってないって。勝手に話を膨らますな」
「なら、どうやって央に会ったんだ。学校か? 学校行ったのか? それはそれでちょっと…」
「学校にも行ってないっ!」
どうしても逢坂は、槇村が央に会いに行って告白をした、という体で話を進めたがるが、槇村は央の家にも学校にも、行ったことなどない。
学校へは、央に謝らなければと思っていたとき、最終手段的に考えたことはあるが、逢坂が嫌そうに顔を歪めたのも分かる、なかなかの行動だ。行かなくてよかった。
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