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恋は七転び八起き (100)
2015.12.17 Thu
槇村・逢坂・板屋越
前回同様、居酒屋の4人掛けの席で、2対1の1のほうに座らされる席割となった槇村は、前回ほどの気の重さはないものの、やはりどうしても気まずくて、身を縮こまらせた。
板屋越は口を、本当に言葉どおりに『への字』に結んで、店員を呼ぶためのボタンに手を掛けている。槇村のことで苛立っているのか、腹が減っているのか、早く酒が飲みたいのか、よく分からない。
ビールと適当な食事を注文し終えると、沈黙しか残らなかった。今日集まった目的は、誰も何も言っていないが、言っていないだけでみんな分かっているのに、誰も口火を切らない。
集合を掛けたのは板屋越だが、今日一番話をしなければならないのは槇村のはずで、そういう意味では槇村が話し出せばいいのだろうが、なかなかそれが出来なかった。恐らく2人は、槇村と央の関係が好転したことは察しているだろうが、だからといって、『俺、央と付き合うことになったんだ~!』と明るく切り出せる雰囲気では、まったくないのだ。
「お待たせしましたぁ~!」
何の会話もなく、どんよりとした空気の漂った男3人のテーブルに、若い女性店員が明るい雰囲気とともにビールを持って来てくれる。その爽やかさをどうか分けてほしいものだと、槇村は切に思った。
「これは、あれか? 乾杯をしたほうがいいヤツか?」
ジョッキに手を掛けた板屋越が、槇村に視線を向ける。飲み物が揃ったらとりあえず乾杯するのが日本の一般的な飲み会だけれど、今板屋越が言いたいのは、もちろんそういうことではなく。
板屋越の視線に耐え切れずに目を逸らしたのに、隣の逢坂も、しっかりと槇村のことを見つめていた。
「……」
槇村はおずおずとジョッキを掲げた。逢坂は表情を変えなかったが、板屋越はニヤリと口元に笑みを乗せた。
「それでは2人の門出を祝して、」
「ちょお待て、なつめ」
たちの悪いジョークだとは言わないが、槇村はまだ何も言っていないのに、勝手にそこまで話を進めるな。
「何だ。今日の央の浮かれ具合から察するところの、お前たちが付き合い始めた、という俺の推測が、何か間違ってるとでもいうのか? あぁ?」
乾杯が、と言い出したのは板屋越だったのに、槇村に止められて待ち切れなくなったのか、話ながら勝手に飲み始めてしまった。しかも、どういうキャラ設定なのか知らないが、柄も悪い。
央と付き合うことについて、別に乾杯までしてほしいわけではないから、しないならそれでいいのだけれど、だったら槇村がジョッキを持つ前に言ってほしかった。すごく恥ずかしい。
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