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恋は七転び八起き (91)
2015.12.07 Mon
「てか央、俺が電話したとき、もう槇村さんちにいたの!?」
「うん」
「てことは、その痴漢に遭った後ってことじゃん! 何で大丈夫なんて言ったの!?」
「だって…、もう槇村くんちいたし、大丈夫かな、て…」
「央…」
圭人から電話が来たときは、もう痴漢の手から逃れていたし、人の家で長電話をするのも気が引けた。それに、たまたま央が1人で帰った日にそんなことになったとなれば、圭人はひどく気にするだろうから、電話ではなく、会って元気な姿を見せて話したほうがいいと思ったのだ。
「でもその痴漢、結局捕まってないんでしょ? 央ちゃん、まだ気を付けないとダメなんじゃないの? どうしたって電車で1人になるんだから」
「そうだよ央!」
わざと央を怒らせて楽しんでいるところもある七海だが、今は、槇村と付き合えることになって浮かれている央が、事の重大さに気付いていないせいで、逆に七海のほうが怒っている。
央は、今回助かったからもう大丈夫と思っているようだが、その卑劣な痴漢男は捕まっていないのだから、絶対に安全だとは言えない状況だ。男がいつも同じ時間帯の電車で痴漢をしているのなら、そこを避ければいいけれど、まったくの無差別なら、また出くわしてしまうかもしれないし、今回のことで高校生に目を付けるようになったら、危険度は格段に増す。央は、それを分かっていない。
「いつでも槇村さんが助けてくれるわけじゃないんだから」
「分かってるし…。でも、電車乗らないと、学校行けないじゃんか!」
例えば朝なら、純平と一緒に行くという手がある。純平の降りる駅のほうが先だが、それまでに圭人や七海が電車に乗るから、乗る車両を示し合わせておけば、央が1人になることはない。
しかし問題は帰りだ。3人一緒に帰ったところで、どうしても圭人と七海のほうが先に降りてしまうし、朝と違って、純平が同じ時間の電車に乗れるとは限らないのだ。
「大丈夫だって! ちゃんと気を付ける! 俺だって、もうあんな目に遭いたくないもんっ!」
言い出せば切りのないことで、例えば電車の中で誰かとずっと一緒だったとしても、その相手が純平でもない限り、電車を降りてから家までは、どうしたって1人になってしまうのだ。電車の中で何もなくとも、1人になったタイミングで狙われる可能性だってある。
「物騒だぁ…。何で世の中、そんな変態ばっかりなん…」
「でも央ちゃんだって、1歩間違えたら、そうなってたかもしれないんだけど? ストーカーの1歩手前だったじゃん」
「誰がストーカーやねん!」
蒼褪める圭人の横で、七海がいつもの調子で央のことを言う。あまり央を脅かし過ぎるのもよくないと、少しは思ったのかもしれないし、央がストーカーの1歩どころか0.5歩くらい手前だったのも事実だ。
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「うん」
「てことは、その痴漢に遭った後ってことじゃん! 何で大丈夫なんて言ったの!?」
「だって…、もう槇村くんちいたし、大丈夫かな、て…」
「央…」
圭人から電話が来たときは、もう痴漢の手から逃れていたし、人の家で長電話をするのも気が引けた。それに、たまたま央が1人で帰った日にそんなことになったとなれば、圭人はひどく気にするだろうから、電話ではなく、会って元気な姿を見せて話したほうがいいと思ったのだ。
「でもその痴漢、結局捕まってないんでしょ? 央ちゃん、まだ気を付けないとダメなんじゃないの? どうしたって電車で1人になるんだから」
「そうだよ央!」
わざと央を怒らせて楽しんでいるところもある七海だが、今は、槇村と付き合えることになって浮かれている央が、事の重大さに気付いていないせいで、逆に七海のほうが怒っている。
央は、今回助かったからもう大丈夫と思っているようだが、その卑劣な痴漢男は捕まっていないのだから、絶対に安全だとは言えない状況だ。男がいつも同じ時間帯の電車で痴漢をしているのなら、そこを避ければいいけれど、まったくの無差別なら、また出くわしてしまうかもしれないし、今回のことで高校生に目を付けるようになったら、危険度は格段に増す。央は、それを分かっていない。
「いつでも槇村さんが助けてくれるわけじゃないんだから」
「分かってるし…。でも、電車乗らないと、学校行けないじゃんか!」
例えば朝なら、純平と一緒に行くという手がある。純平の降りる駅のほうが先だが、それまでに圭人や七海が電車に乗るから、乗る車両を示し合わせておけば、央が1人になることはない。
しかし問題は帰りだ。3人一緒に帰ったところで、どうしても圭人と七海のほうが先に降りてしまうし、朝と違って、純平が同じ時間の電車に乗れるとは限らないのだ。
「大丈夫だって! ちゃんと気を付ける! 俺だって、もうあんな目に遭いたくないもんっ!」
言い出せば切りのないことで、例えば電車の中で誰かとずっと一緒だったとしても、その相手が純平でもない限り、電車を降りてから家までは、どうしたって1人になってしまうのだ。電車の中で何もなくとも、1人になったタイミングで狙われる可能性だってある。
「物騒だぁ…。何で世の中、そんな変態ばっかりなん…」
「でも央ちゃんだって、1歩間違えたら、そうなってたかもしれないんだけど? ストーカーの1歩手前だったじゃん」
「誰がストーカーやねん!」
蒼褪める圭人の横で、七海がいつもの調子で央のことを言う。あまり央を脅かし過ぎるのもよくないと、少しは思ったのかもしれないし、央がストーカーの1歩どころか0.5歩くらい手前だったのも事実だ。
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