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恋は七転び八起き (89)
2015.12.05 Sat
「ちっ痴漢て!」
「央、ホントに!? 大丈夫だったの!?」
央は確かに高校2年生のわりには華奢で小柄なほうだが、決して女と間違うような容姿などしていない。学校の帰りなら制服姿だったわけで、それならなおさら。それなのに痴漢なんて。
「そんときは大丈夫じゃなかったけど、もう大丈夫だよ? 槇村くんが助けてくれたから」
「そこで槇村さん登場!?」
「カッコよすぎるっ…!」
央が1人で帰った日に限って痴漢なんて…と圭人が自己嫌悪に陥り、七海もさすがにふざけることが出来ずに本気で心配した矢先、央の口から、まるで少女漫画のような展開が発せられて、2人は驚いていいのか、突っ込んでいいのか分からなくなった。
しかし同時に、央の言うことが本当なのかという気持ちも芽生える。央が嘘をついているとは思わないが、あまりに出来過ぎた展開に、もしかして妄想と現実の区別がつかなくなったのでは…と思えて来たのだ。
「央ちゃん…、あの…」
もう1度、正気なのかと尋ねようとして、しかし七海はうまく言葉が出ない。先ほどのように、『正気に決まってんだろ!』と突っ込み返してくれればいいが、そうでなかったら…。
「俺、痴漢に遭ったの、初めてだよ? 圭ちゃんも気を付けてね」
「お…おぅ、ありがとう、央」
相手が男だと分かったうえで痴漢行為を働く輩の場合、どういうタイプが好みなのかは分からないが、身の丈180cmの七海よりは、何となく圭人のほうが狙われやすそうだ。わざわざ圭人の心配までしてくれる央は、やはり妄想の世界ではなく、しっかりと現実を生きているのだろうか。
「でも央、俺んち来るのに、電車で来たんでしょ? 大丈夫だった?」
再び央が痴漢に遭ったのではないかという心配と、そんな目に遭った後なら、電車に乗るのもちょっとしたトラウマになっていそうだから、普通に電車など乗れるのだろうかという心配で、圭人は尋ねる。
「ん、純平くんが一緒に来てくれたから」
「えっ、兄ちゃん一緒に来たの? 嘘! まさか今、外で待ってるとか!?」
「んーん、駅まで。俺、大丈夫だって言うたのに、心配だから、て付いて来た。でも駅でバイバイしたよ?」
「そっかぁ…」
圭人も央のことをわりと過剰に心配するほうだが、純平の過保護っぷりといったら…。気持ちは分かるが、純平にもちょっとしたストーカー気質があるのではないかと疑いたくなる。血は争えない。
「それより央ちゃん、その痴漢の話! どうなったの。槇村さんが助けてくれた、て」
その話が妄想なのか現実なのか、話を進めて行けば分かるはずだと、七海は先を促す。今日、兄の純平がわざわざ央を送ってくれたことを考えると、本当のことだと思っていいはずなのだが、それでもまだ信じられないので。
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「央、ホントに!? 大丈夫だったの!?」
央は確かに高校2年生のわりには華奢で小柄なほうだが、決して女と間違うような容姿などしていない。学校の帰りなら制服姿だったわけで、それならなおさら。それなのに痴漢なんて。
「そんときは大丈夫じゃなかったけど、もう大丈夫だよ? 槇村くんが助けてくれたから」
「そこで槇村さん登場!?」
「カッコよすぎるっ…!」
央が1人で帰った日に限って痴漢なんて…と圭人が自己嫌悪に陥り、七海もさすがにふざけることが出来ずに本気で心配した矢先、央の口から、まるで少女漫画のような展開が発せられて、2人は驚いていいのか、突っ込んでいいのか分からなくなった。
しかし同時に、央の言うことが本当なのかという気持ちも芽生える。央が嘘をついているとは思わないが、あまりに出来過ぎた展開に、もしかして妄想と現実の区別がつかなくなったのでは…と思えて来たのだ。
「央ちゃん…、あの…」
もう1度、正気なのかと尋ねようとして、しかし七海はうまく言葉が出ない。先ほどのように、『正気に決まってんだろ!』と突っ込み返してくれればいいが、そうでなかったら…。
「俺、痴漢に遭ったの、初めてだよ? 圭ちゃんも気を付けてね」
「お…おぅ、ありがとう、央」
相手が男だと分かったうえで痴漢行為を働く輩の場合、どういうタイプが好みなのかは分からないが、身の丈180cmの七海よりは、何となく圭人のほうが狙われやすそうだ。わざわざ圭人の心配までしてくれる央は、やはり妄想の世界ではなく、しっかりと現実を生きているのだろうか。
「でも央、俺んち来るのに、電車で来たんでしょ? 大丈夫だった?」
再び央が痴漢に遭ったのではないかという心配と、そんな目に遭った後なら、電車に乗るのもちょっとしたトラウマになっていそうだから、普通に電車など乗れるのだろうかという心配で、圭人は尋ねる。
「ん、純平くんが一緒に来てくれたから」
「えっ、兄ちゃん一緒に来たの? 嘘! まさか今、外で待ってるとか!?」
「んーん、駅まで。俺、大丈夫だって言うたのに、心配だから、て付いて来た。でも駅でバイバイしたよ?」
「そっかぁ…」
圭人も央のことをわりと過剰に心配するほうだが、純平の過保護っぷりといったら…。気持ちは分かるが、純平にもちょっとしたストーカー気質があるのではないかと疑いたくなる。血は争えない。
「それより央ちゃん、その痴漢の話! どうなったの。槇村さんが助けてくれた、て」
その話が妄想なのか現実なのか、話を進めて行けば分かるはずだと、七海は先を促す。今日、兄の純平がわざわざ央を送ってくれたことを考えると、本当のことだと思っていいはずなのだが、それでもまだ信じられないので。
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