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恋は七転び八起き (84)
2015.11.29 Sun
純平がすべて分かっているとして、どうやってその情報を知り得たのかと考えたとき、央の部屋から聞こえて来る声や音からなのではないかという結論に達した央は、今も純平が壁に耳を押し当てて央の部屋の様子を窺っている、と思って純平の部屋に飛び込んだのだが、純平はテレビで映画のDVDを見ているだけだった。
「央ちゃん?」
キョトンとしている純平は、央が部屋に駆け込んで来たのを察して、慌てて何事もなかったようにソファに戻った、なんていう様子はまったくなく、最初からそこでそうしているようだった。
「何かあった?」
ドアのところで茫然としている央に、このまま流せる状況ではないと思ったのか、DVDを一時停止させた。
しかし央としては、純平の(今となっては完全なる濡れ衣の)犯行現場を取り押さえるためにこの部屋に来たのであって、『何かあった?』と言われても、答えがない。
「えっとー…、圭ちゃんに電話しようと思って…」
「うん。………………うん?」
嘘をつくのは嫌いなので本当のことを話すが、どこまで言っていいものかと思って口を噤めば、純平は不思議そうな顔をした。それはそうだろう。圭人に電話しようとしているのに、一体どうして兄の部屋に駆け込んで来る必要があるのだ。とすれば、最後まで話さなければならないが…………言えない、絶対に。
そもそも、どうして純平が自分の行動を監視するような真似をしていると思ったのかといえば、純平が何だかやけに央の行動を見透かしているように思えたからだが、純平にそんなつもりがなく、単に央の思い過ごしだとすれば、央のほうに、そう思えるような心の有り様があったからに他ならず、そんな出来事といえば、槇村のことしかないわけで。
「………………純平くん、ちょっと話、あるんだけど…」
「ぅん? 何?」
央が言えば、純平はテレビを消して、ソファの端に動いた。
央の一人妄想からの自己嫌悪など知る由もない純平は、純粋に央のことが心配なのだろう。央はつい先ほど、もう大丈夫だと元気な姿を見せて部屋に戻ったばかりだが、昨日までの様子を知る純平としては、その言葉を鵜呑みにはしていなかったはずだ。
「……あのね、えっと………………これ見て」
「ん?」
純平の隣に座った央は、持って来ていたスマホを操作して、アドレス帳の画面を出した。人の携帯電話を見るなんていいのだろうか…と戸惑った様子だったが、純平は言われるがままに画面を覗いた。
「これ………………槇村くんの」
「……………………ん?」
央が見せたのは、アドレス帳に登録したばかりの、槇村の電話番号とメールアドレスだ。今まで知らなかったそれを、これを機に交換したのである。
それを見た純平は、何度か瞬きした後、コテンと首を横に倒した。別にかわいくはない。
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「央ちゃん?」
キョトンとしている純平は、央が部屋に駆け込んで来たのを察して、慌てて何事もなかったようにソファに戻った、なんていう様子はまったくなく、最初からそこでそうしているようだった。
「何かあった?」
ドアのところで茫然としている央に、このまま流せる状況ではないと思ったのか、DVDを一時停止させた。
しかし央としては、純平の(今となっては完全なる濡れ衣の)犯行現場を取り押さえるためにこの部屋に来たのであって、『何かあった?』と言われても、答えがない。
「えっとー…、圭ちゃんに電話しようと思って…」
「うん。………………うん?」
嘘をつくのは嫌いなので本当のことを話すが、どこまで言っていいものかと思って口を噤めば、純平は不思議そうな顔をした。それはそうだろう。圭人に電話しようとしているのに、一体どうして兄の部屋に駆け込んで来る必要があるのだ。とすれば、最後まで話さなければならないが…………言えない、絶対に。
そもそも、どうして純平が自分の行動を監視するような真似をしていると思ったのかといえば、純平が何だかやけに央の行動を見透かしているように思えたからだが、純平にそんなつもりがなく、単に央の思い過ごしだとすれば、央のほうに、そう思えるような心の有り様があったからに他ならず、そんな出来事といえば、槇村のことしかないわけで。
「………………純平くん、ちょっと話、あるんだけど…」
「ぅん? 何?」
央が言えば、純平はテレビを消して、ソファの端に動いた。
央の一人妄想からの自己嫌悪など知る由もない純平は、純粋に央のことが心配なのだろう。央はつい先ほど、もう大丈夫だと元気な姿を見せて部屋に戻ったばかりだが、昨日までの様子を知る純平としては、その言葉を鵜呑みにはしていなかったはずだ。
「……あのね、えっと………………これ見て」
「ん?」
純平の隣に座った央は、持って来ていたスマホを操作して、アドレス帳の画面を出した。人の携帯電話を見るなんていいのだろうか…と戸惑った様子だったが、純平は言われるがままに画面を覗いた。
「これ………………槇村くんの」
「……………………ん?」
央が見せたのは、アドレス帳に登録したばかりの、槇村の電話番号とメールアドレスだ。今まで知らなかったそれを、これを機に交換したのである。
それを見た純平は、何度か瞬きした後、コテンと首を横に倒した。別にかわいくはない。
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