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恋は七転び八起き (83)
2015.11.28 Sat
「えっと…、うん、元気だよ! ゴメンね、心配掛けて………………え、もしかして、俺が帰って来ないから、心配で1日中家にいたの?」
元気になったのも本当だし、心配を掛けたことを申し訳なく思う気持ちも本当なので、何の嘘もついていないのだが、自分で決めたこととはいえ、槇村とのことを純平に黙っているのが心苦しくて、何となく言い訳しているような口振りになってしまった。
ちなみに、最後に続いた質問は本気だ。だって、純平の格好は、どう見ても外には1歩も出ていない感が漂っている。
「いや、央ちゃんのことは心配してたけど、家にいたのは、1人の時間を大切にしてたからです」
「あっそ…」
純平の返事に央は、またか…と呆れることさえしない。いつでもどこでも無駄に明るい純平だが、実は1人の時間もこよなく愛していることを、央は知っている。休みの日、央は友だちと遊びに出掛けることが多いけれど、純平は日がな一日部屋に籠っていることがよくある。いや、籠っているというか、引き籠っているというか。
それにしても、1日中家にいた純平は、もちろん部屋着の姿なのだが、見慣れているせいか、槇村の部屋着姿のように別にドキドキすることもない。実の兄にときめいても仕方ないのだが、純平だってわりとイケメンの部類に入るはずなのに、一体何が違うのだろう。
「とにかく! もう大丈夫だから!」
「…………そう。なら、いいんだけど」
余計な詮索をする性格でないことは分かっているが、それでも、先ほど感じ取った気まずさから抜け出せなくて、央は無理やり話を切り上げた。わざとらしすぎる! と自分の演技の下手くそさに泣けてくるが、純平はそれに納得したのか、それともこれ以上聞いても無駄だと思ったのか、引き下がってくれたので、央はホッとして部屋に戻った。
「圭ちゃんに電話しないと!」
昨日は圭人からも、心配されて電話を貰っていたのだ。元気な声を聞かせたいし、槇村とのことも報告したい、と央は早速スマホを取り出して、圭人の電話番号を表示させた。
しかし、通話ボタンをタッチする瞬間に、はたと手を止め、ゆっくりと壁のほうを見た。1枚隔てた向こうは、純平の部屋だ。普段からそこまで生活音は響かないが、もしかしたら圭人への電話の声が聞こえるかもしれない。
どうしよう…と悩みながら央が思い出したのは、先ほどの純平の態度だ。言いたいことがありそうな雰囲気を出しながらも、結局何も言わなかった純平。昨日の電話だってそうだ。何かに感付いているのかと思ったけれど、追及されずじまい。有り難かったけれど、もしかしてすべて分かっていて黙っているのではないかと、つい勘繰ってしまう。
急に不安になって、央は部屋を飛び出すと、隣の純平の部屋に向かった。
「純平くん!」
「んぁ!? ビックリしたー…………央ちゃん? え、どうしたの」
「………………あれ?」
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元気になったのも本当だし、心配を掛けたことを申し訳なく思う気持ちも本当なので、何の嘘もついていないのだが、自分で決めたこととはいえ、槇村とのことを純平に黙っているのが心苦しくて、何となく言い訳しているような口振りになってしまった。
ちなみに、最後に続いた質問は本気だ。だって、純平の格好は、どう見ても外には1歩も出ていない感が漂っている。
「いや、央ちゃんのことは心配してたけど、家にいたのは、1人の時間を大切にしてたからです」
「あっそ…」
純平の返事に央は、またか…と呆れることさえしない。いつでもどこでも無駄に明るい純平だが、実は1人の時間もこよなく愛していることを、央は知っている。休みの日、央は友だちと遊びに出掛けることが多いけれど、純平は日がな一日部屋に籠っていることがよくある。いや、籠っているというか、引き籠っているというか。
それにしても、1日中家にいた純平は、もちろん部屋着の姿なのだが、見慣れているせいか、槇村の部屋着姿のように別にドキドキすることもない。実の兄にときめいても仕方ないのだが、純平だってわりとイケメンの部類に入るはずなのに、一体何が違うのだろう。
「とにかく! もう大丈夫だから!」
「…………そう。なら、いいんだけど」
余計な詮索をする性格でないことは分かっているが、それでも、先ほど感じ取った気まずさから抜け出せなくて、央は無理やり話を切り上げた。わざとらしすぎる! と自分の演技の下手くそさに泣けてくるが、純平はそれに納得したのか、それともこれ以上聞いても無駄だと思ったのか、引き下がってくれたので、央はホッとして部屋に戻った。
「圭ちゃんに電話しないと!」
昨日は圭人からも、心配されて電話を貰っていたのだ。元気な声を聞かせたいし、槇村とのことも報告したい、と央は早速スマホを取り出して、圭人の電話番号を表示させた。
しかし、通話ボタンをタッチする瞬間に、はたと手を止め、ゆっくりと壁のほうを見た。1枚隔てた向こうは、純平の部屋だ。普段からそこまで生活音は響かないが、もしかしたら圭人への電話の声が聞こえるかもしれない。
どうしよう…と悩みながら央が思い出したのは、先ほどの純平の態度だ。言いたいことがありそうな雰囲気を出しながらも、結局何も言わなかった純平。昨日の電話だってそうだ。何かに感付いているのかと思ったけれど、追及されずじまい。有り難かったけれど、もしかしてすべて分かっていて黙っているのではないかと、つい勘繰ってしまう。
急に不安になって、央は部屋を飛び出すと、隣の純平の部屋に向かった。
「純平くん!」
「んぁ!? ビックリしたー…………央ちゃん? え、どうしたの」
「………………あれ?」
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けいったん ⇒ No title
槇村に 口止めされた央
だけど、大好きな人と やっと恋人になって 嬉しいんだから その約束を守り切れるのかな?
・・・(*´-∞-`) ン----・・・、σ( ̄、 ̄=)ンート・・・、
・・・、絶対に 無理でしょ!!!
明日には、2人の周りには 知られるのは 間違いなし( *´艸`)クスクス♪
内緒だよ(・rω・) (⌒^⌒)b うん♪→ ベラベラベラベラ…(/  ̄▽)/エッ!!Σ( ̄ロ ̄|||マジデ?...byebye☆
だけど、大好きな人と やっと恋人になって 嬉しいんだから その約束を守り切れるのかな?
・・・(*´-∞-`) ン----・・・、σ( ̄、 ̄=)ンート・・・、
・・・、絶対に 無理でしょ!!!
明日には、2人の周りには 知られるのは 間違いなし( *´艸`)クスクス♪
内緒だよ(・rω・) (⌒^⌒)b うん♪→ ベラベラベラベラ…(/  ̄▽)/エッ!!Σ( ̄ロ ̄|||マジデ?...byebye☆
- |2015.11.28
- |Sat
- |11:08
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
クラスで恋バナしてる女の子たちを羨ましいと思ってる央ちゃんに、口止めは難しいでしょうね…(笑)
圭ちゃんとななみんに話すことは確定として、後は、どうやって周りに聞こえないくらいの声で喋れるかどうか、といったところでしょうか。
いや、それも…
> ・・・(*´-∞-`) ン----・・・、σ( ̄、 ̄=)ンート・・・、
> ・・・、絶対に 無理でしょ!!!
て感じですよね(^^ゞ
コメントありがとうございました!
圭ちゃんとななみんに話すことは確定として、後は、どうやって周りに聞こえないくらいの声で喋れるかどうか、といったところでしょうか。
いや、それも…
> ・・・(*´-∞-`) ン----・・・、σ( ̄、 ̄=)ンート・・・、
> ・・・、絶対に 無理でしょ!!!
て感じですよね(^^ゞ
コメントありがとうございました!
- |2015.11.28
- |Sat
- |21:50
- |URL
- |EDIT|