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恋は七転び八起き (75)
2015.11.19 Thu
「…央、タオル落ちる」
「押さえてたら、落ちない」
「自分で押さえんかい」
「槇村くんのこと見えなくて寂しいから、触っててほしいの」
「おまっ…」
恥ずかしげもなくそんなセリフを吐く央に、槇村のほうが動揺で言葉を詰まらす。こんなことをサラリと言えるのは、若さゆえだろうか。しかし槇村昔から、この手の甘い雰囲気が苦手だ。やはり年齢ではなく、本人の素質の問題だろう。
それにしても、2人で向かい合って、槇村が央の目元に濡れタオルを押し当てるという光景は、随分と滑稽なものだ。槇村は少し考えてから、央が見えていないのをいいことに、体勢を入れ替えるべく、そっと手を伸ばした。
「ひゃっ!」
槇村はクルリと央の体を反転させて自分と同じほうを向かせると、後ろから抱き締めるように、央の背中を自分の胸に預けさせた。何が起こったのか分かっていない央は、驚いて身を捩ったが、槇村はやんわりとそれを制する。
「タオル、落ちるだろ。ちゃんと押さえとかないと」
「ちょっ槇村くんっ…」
「これなら、自分で押さえられるだろ?」
槇村は、片手を央の腹のあたりに回したまま、反対の手で央の手を取ると、タオルを押さえさせた。先ほどまで強気に甘えて来ていた央は、耳まで赤くなっている。大人をからかいすぎるもんじゃない。
「…恥ずかしいんだけど」
槇村の腕の中で大人しくしつつも、央はポツリと漏らす。
「お前が触っててほしいて言ったんだろ」
「さっきみたいのでいいじゃん!」
「いや、あれはあれで、おかしな光景だったし」
「こんなん何か、こっ恋人同士、みたいじゃんかっ…」
「みたい、て……恋人になったんじゃないのか、俺ら」
異様なまでに照れる央が、何だかおかしい。いや、こんな甘ったるい空気だとか、恋人らしい雰囲気とか、本当は槇村だって恥ずかしくて仕方ないのだが、自分が優位に立っていると平気だなんて、まったく子ども染みていて苦笑したくなる。
「…なぁ、槇村くん」
「何だ」
「……圭ちゃんに言ってもいい? 槇村くんと、その…恋人…」
今までに何度も槇村に告白しては、付き合いたいとか恋人になりたいとか普通に言って来ていたくせに、実際に付き合うことになったら、恋人という単語に過剰反応するのは何なんだろう。…かわいいけど。
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「押さえてたら、落ちない」
「自分で押さえんかい」
「槇村くんのこと見えなくて寂しいから、触っててほしいの」
「おまっ…」
恥ずかしげもなくそんなセリフを吐く央に、槇村のほうが動揺で言葉を詰まらす。こんなことをサラリと言えるのは、若さゆえだろうか。しかし槇村昔から、この手の甘い雰囲気が苦手だ。やはり年齢ではなく、本人の素質の問題だろう。
それにしても、2人で向かい合って、槇村が央の目元に濡れタオルを押し当てるという光景は、随分と滑稽なものだ。槇村は少し考えてから、央が見えていないのをいいことに、体勢を入れ替えるべく、そっと手を伸ばした。
「ひゃっ!」
槇村はクルリと央の体を反転させて自分と同じほうを向かせると、後ろから抱き締めるように、央の背中を自分の胸に預けさせた。何が起こったのか分かっていない央は、驚いて身を捩ったが、槇村はやんわりとそれを制する。
「タオル、落ちるだろ。ちゃんと押さえとかないと」
「ちょっ槇村くんっ…」
「これなら、自分で押さえられるだろ?」
槇村は、片手を央の腹のあたりに回したまま、反対の手で央の手を取ると、タオルを押さえさせた。先ほどまで強気に甘えて来ていた央は、耳まで赤くなっている。大人をからかいすぎるもんじゃない。
「…恥ずかしいんだけど」
槇村の腕の中で大人しくしつつも、央はポツリと漏らす。
「お前が触っててほしいて言ったんだろ」
「さっきみたいのでいいじゃん!」
「いや、あれはあれで、おかしな光景だったし」
「こんなん何か、こっ恋人同士、みたいじゃんかっ…」
「みたい、て……恋人になったんじゃないのか、俺ら」
異様なまでに照れる央が、何だかおかしい。いや、こんな甘ったるい空気だとか、恋人らしい雰囲気とか、本当は槇村だって恥ずかしくて仕方ないのだが、自分が優位に立っていると平気だなんて、まったく子ども染みていて苦笑したくなる。
「…なぁ、槇村くん」
「何だ」
「……圭ちゃんに言ってもいい? 槇村くんと、その…恋人…」
今までに何度も槇村に告白しては、付き合いたいとか恋人になりたいとか普通に言って来ていたくせに、実際に付き合うことになったら、恋人という単語に過剰反応するのは何なんだろう。…かわいいけど。
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