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恋は七転び八起き (76)
2015.11.20 Fri
「ねぇ、ダメ? 圭ちゃん、めっちゃ心配してくれてて、だから、」
無言の槇村に、央が心配そうに言葉を続ける。視界が遮られて槇村の顔を見ることの出来ない央は、その沈黙の意味も分からず、きっと誰かに言われるのを嫌がって黙ったとでも思っているのだろう。だが、実のところ槇村は、いちいち照れまくっている央がかわいいなぁと思っていただけで、そんなの実際に槇村表情を見ればすぐに分かることだった。
「…槇村くん? ダメだった…?」
「あ? あぁ、いや…。何、アイツ、そんなに心配してる? さっきも電話寄越してたもんな」
「…ん、電話は最近結構来る…。今日は一緒に帰れなかったし…」
圭人は、央が槇村に告白しに来るとき、大抵一緒に来ていた仲で、しかしそのときは結構面倒くさそうな様子だったから、央のことをそんなに心配するようになったのは最近のこと――――きっと先週の一件以来だろう。あのときも圭人は一緒だったから、央の身に何があったかも、その後の央の様子も、よく分かっているはずだ。
「俺は圭人にも謝らないとだな」
「…? 何で?」
「圭人がお前のことめっちゃ心配してんの、俺のせいだろ? …てか、付き合うことになったの、アイツに言って大丈夫か? お前のこと、めっちゃ心配してんだろ? 今さら何だ! て、俺、めっちゃ怒られるんじゃないか?」
「そんなの、怒られてよ。圭ちゃんに謝って、怒られて。なら、言ってもいいよね?」
「…おぅ」
付き合うことになったのを、誰彼なく話されるのは抵抗があるが、相手は事情をよく知る圭人だ。心配も掛けているし、央が話したいと言うなら、それを拒否できない。
それよりも、もう高校生ではない槇村は、自分の恋愛事情をいちいち友人には打ち明けないが、今回ばかりは逢坂や板屋越に言ったほうがいいだろうか。逢坂はともかく、板屋越には言っておかないとまずい気がする。…言ったら言ったで殴られるかもしれないが。
「あ、七海にも言っていい? あ、でもアイツはいっか、言わなくても」
「いいんかい」
七海とは、槇村も1度だけ会ったことがある。圭人の代わりに、央と一緒に槇村の家まで来たことがあるから。1度だけとはいえ、わざわざそんなことに連れて来るくらいだから、圭人と同じくらい仲がいいだろうに、どうしてそんな、どうでもいいみたいな扱いなのだ。
「…央。お前が話したいんだったら、圭人と七海には言ってもいいけど、あんまりベラベラいろんなヤツに喋ったらダメだからな?」
「はーい」
央の友人は圭人と七海以外まったく知らないが、念のために釘を刺しておく。央は、突拍子もないことを、平然と、まるでごく当たり前のことのようにやってのける男なので。
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無言の槇村に、央が心配そうに言葉を続ける。視界が遮られて槇村の顔を見ることの出来ない央は、その沈黙の意味も分からず、きっと誰かに言われるのを嫌がって黙ったとでも思っているのだろう。だが、実のところ槇村は、いちいち照れまくっている央がかわいいなぁと思っていただけで、そんなの実際に槇村表情を見ればすぐに分かることだった。
「…槇村くん? ダメだった…?」
「あ? あぁ、いや…。何、アイツ、そんなに心配してる? さっきも電話寄越してたもんな」
「…ん、電話は最近結構来る…。今日は一緒に帰れなかったし…」
圭人は、央が槇村に告白しに来るとき、大抵一緒に来ていた仲で、しかしそのときは結構面倒くさそうな様子だったから、央のことをそんなに心配するようになったのは最近のこと――――きっと先週の一件以来だろう。あのときも圭人は一緒だったから、央の身に何があったかも、その後の央の様子も、よく分かっているはずだ。
「俺は圭人にも謝らないとだな」
「…? 何で?」
「圭人がお前のことめっちゃ心配してんの、俺のせいだろ? …てか、付き合うことになったの、アイツに言って大丈夫か? お前のこと、めっちゃ心配してんだろ? 今さら何だ! て、俺、めっちゃ怒られるんじゃないか?」
「そんなの、怒られてよ。圭ちゃんに謝って、怒られて。なら、言ってもいいよね?」
「…おぅ」
付き合うことになったのを、誰彼なく話されるのは抵抗があるが、相手は事情をよく知る圭人だ。心配も掛けているし、央が話したいと言うなら、それを拒否できない。
それよりも、もう高校生ではない槇村は、自分の恋愛事情をいちいち友人には打ち明けないが、今回ばかりは逢坂や板屋越に言ったほうがいいだろうか。逢坂はともかく、板屋越には言っておかないとまずい気がする。…言ったら言ったで殴られるかもしれないが。
「あ、七海にも言っていい? あ、でもアイツはいっか、言わなくても」
「いいんかい」
七海とは、槇村も1度だけ会ったことがある。圭人の代わりに、央と一緒に槇村の家まで来たことがあるから。1度だけとはいえ、わざわざそんなことに連れて来るくらいだから、圭人と同じくらい仲がいいだろうに、どうしてそんな、どうでもいいみたいな扱いなのだ。
「…央。お前が話したいんだったら、圭人と七海には言ってもいいけど、あんまりベラベラいろんなヤツに喋ったらダメだからな?」
「はーい」
央の友人は圭人と七海以外まったく知らないが、念のために釘を刺しておく。央は、突拍子もないことを、平然と、まるでごく当たり前のことのようにやってのける男なので。
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