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恋は七転び八起き (71)
2015.11.15 Sun
今になって気付いてしまった自分の想いに、どうしようもない気持ちに襲われる。こんな年にもなって、一体何をしているのだと、自分を殴り飛ばしたかった。
どんなに央に優しくするなとか心配するなとか言われても、それは無理だと思ってしまうのは、相手が央だからだ。振られても振られてもめげずに槇村のところにやって来る央を、それでも嫌いになれなかったのは、お前だからだ。先週の夜のことを謝りたいと思ったのは、謝るのが当然だからではなくて、仲を取り戻したかったからだ。
「槇村くん、何で謝んの…?」
央も最初は、単に泣きわめく央を宥めようと槇村が謝っているのだと思っていたようだったが、槇村の様子に気付いたのか、抵抗をやめて、自分の肩口にある槇村の顔を見た。しかし槇村はしっかりと下を向いて、表情だけは見られないようにした。
「槇村くん?」
呼び掛けられ、槇村は首を横に振った。どうして謝ったのかなんて、そんなの、今さら自分の気持ちに気付いてしまったからだ――――央のことを好きだという気持ちに。もっと早く気付いていれば、こんなに央を苦しめなかったのに。そう思ったら、謝って済むことではないけれど、謝らずにはいられなかったのだ。
だから、謝った理由だって、言えない。もう今さら何も言えない。その理由も、槇村の本当の気持ちも。槇村のことを諦めようとする央の努力を無駄にしないためにも。
「――――好きだ、央」
言ったらいけない、のに。そう思う心とは裏腹に、槇村の口からはそんな言葉が飛び出していた。
告げた瞬間、腕の中の央の体はビクリと震えたが、それきり動かなかった。何を今さら、と思っているだろうか。それとも、頭の中が真っ白になって、何も考えられないでいるのだろうか。
「…央」
槇村はようやく、央の肩にうずめていた顔を上げた。衝動的に想いを告げてしまったが、このままではいられないと、頭の中の冷静な部分がそう訴えたのだ。
央は唖然とした表情で固まっていた。槇村がその顔を覗き込んでも、瞳にはその姿が映っているのに、槇村のことを認識できていない様子だった。
「央?」
「――――…………え…………?」
何度か目の前で手を振ると、央は何度か瞬きをしてから、何とか槇村に視点を合わせた。槇村も央のことを見ていたのだから、目が合うのは当然のことだったが、その瞬間、央の顔が驚くほど一瞬で真っ赤に染まった。
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どんなに央に優しくするなとか心配するなとか言われても、それは無理だと思ってしまうのは、相手が央だからだ。振られても振られてもめげずに槇村のところにやって来る央を、それでも嫌いになれなかったのは、お前だからだ。先週の夜のことを謝りたいと思ったのは、謝るのが当然だからではなくて、仲を取り戻したかったからだ。
「槇村くん、何で謝んの…?」
央も最初は、単に泣きわめく央を宥めようと槇村が謝っているのだと思っていたようだったが、槇村の様子に気付いたのか、抵抗をやめて、自分の肩口にある槇村の顔を見た。しかし槇村はしっかりと下を向いて、表情だけは見られないようにした。
「槇村くん?」
呼び掛けられ、槇村は首を横に振った。どうして謝ったのかなんて、そんなの、今さら自分の気持ちに気付いてしまったからだ――――央のことを好きだという気持ちに。もっと早く気付いていれば、こんなに央を苦しめなかったのに。そう思ったら、謝って済むことではないけれど、謝らずにはいられなかったのだ。
だから、謝った理由だって、言えない。もう今さら何も言えない。その理由も、槇村の本当の気持ちも。槇村のことを諦めようとする央の努力を無駄にしないためにも。
「――――好きだ、央」
言ったらいけない、のに。そう思う心とは裏腹に、槇村の口からはそんな言葉が飛び出していた。
告げた瞬間、腕の中の央の体はビクリと震えたが、それきり動かなかった。何を今さら、と思っているだろうか。それとも、頭の中が真っ白になって、何も考えられないでいるのだろうか。
「…央」
槇村はようやく、央の肩にうずめていた顔を上げた。衝動的に想いを告げてしまったが、このままではいられないと、頭の中の冷静な部分がそう訴えたのだ。
央は唖然とした表情で固まっていた。槇村がその顔を覗き込んでも、瞳にはその姿が映っているのに、槇村のことを認識できていない様子だった。
「央?」
「――――…………え…………?」
何度か目の前で手を振ると、央は何度か瞬きをしてから、何とか槇村に視点を合わせた。槇村も央のことを見ていたのだから、目が合うのは当然のことだったが、その瞬間、央の顔が驚くほど一瞬で真っ赤に染まった。
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