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恋は七転び八起き (67)
2015.11.11 Wed
頭上から掛けられた声に顔を上げたら、両手に皿を持った槇村が、怪訝そうに央のことを見ていた。
それにしても、央がセンチメンタルな気分に陥っているときに(しかも、原因は槇村だ。)、一体何を言っているのだ。しかも、どうしてそんな変態みたいな真似をしていると思ったのかと央は憤慨し掛けたが、ふと見たら、脱いだ制服を一式持ったまま膝を抱えていたから、見ようによっては、槇村の言うように見えたかもしれない。
央はもう1度、「そんなことしてないわ」と言って、ぐしゃぐしゃに丸めていたシャツやズボンを畳んだ。とはいえ、こんなこと普段しないから、全然きれいには畳めないんだけれど。
「…焼きそば」
「麺があったから。焼きそば、嫌いか?」
「うぅん、好き」
テーブルに置かれた皿には焼きそばが盛り付けてあって、央は目を輝かせる。母親の唐揚げは食べ損ねたが、焼きそばは唐揚げの次の次くらいに好きだから、大満足だ。
「いただきます」
「はい、どうぞ」
槇村の焼きそばはおいしかったけれど、央の嫌いな玉ねぎが入っていて、ちょっと手が止まる。これで相手が母親なら盾突けるが、さすがに槇村には何も言えないので、央はこっそりと端のほうに退けた。
槇村は、黙って食事を続けていた。テレビも付いていない室内は、ひどく静かだ。央は、食事のときといえば、家族みんなで話とかしながらするのが普通だったから、今の状況は、静かすぎてちょっと寂しいけれど、槇村は別に央となんか話をしたくないだろうし、央も特に話し掛ける言葉もなかったから、結局沈黙は変わらなかった。
もともと食べるのは早いほうだけれど、今は黙って食べていたせいか、央はあっと言う間に焼きそばを食べ終えた――――玉ねぎを残して。
せっかく作ってくれたのに残すのも申し訳ないと、がんばって端っこのほうだけちょこっと齧ってみたものの、やっぱりダメだった。全然おいしくない。しかも、ちょっとしか食べていないのに、口の中に玉ねぎの味がすごく残っている。
「…央、どうした?」
1人でわたわたしている央に気付いたのか、槇村が顔を上げた。
「何でもなっ…」
「…玉ねぎ、嫌いなのか」
「!!」
何としてでも隠さなければ、とまで思っていたことではないが、出来れば知られたくないなぁ…と思っていたのに、それがあっさりとばれて央は絶句する。とはいえ、皿の端には残された玉ねぎが盛り付けられているのだから、そのくらいのこと、見ればすぐに分かることだった。
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それにしても、央がセンチメンタルな気分に陥っているときに(しかも、原因は槇村だ。)、一体何を言っているのだ。しかも、どうしてそんな変態みたいな真似をしていると思ったのかと央は憤慨し掛けたが、ふと見たら、脱いだ制服を一式持ったまま膝を抱えていたから、見ようによっては、槇村の言うように見えたかもしれない。
央はもう1度、「そんなことしてないわ」と言って、ぐしゃぐしゃに丸めていたシャツやズボンを畳んだ。とはいえ、こんなこと普段しないから、全然きれいには畳めないんだけれど。
「…焼きそば」
「麺があったから。焼きそば、嫌いか?」
「うぅん、好き」
テーブルに置かれた皿には焼きそばが盛り付けてあって、央は目を輝かせる。母親の唐揚げは食べ損ねたが、焼きそばは唐揚げの次の次くらいに好きだから、大満足だ。
「いただきます」
「はい、どうぞ」
槇村の焼きそばはおいしかったけれど、央の嫌いな玉ねぎが入っていて、ちょっと手が止まる。これで相手が母親なら盾突けるが、さすがに槇村には何も言えないので、央はこっそりと端のほうに退けた。
槇村は、黙って食事を続けていた。テレビも付いていない室内は、ひどく静かだ。央は、食事のときといえば、家族みんなで話とかしながらするのが普通だったから、今の状況は、静かすぎてちょっと寂しいけれど、槇村は別に央となんか話をしたくないだろうし、央も特に話し掛ける言葉もなかったから、結局沈黙は変わらなかった。
もともと食べるのは早いほうだけれど、今は黙って食べていたせいか、央はあっと言う間に焼きそばを食べ終えた――――玉ねぎを残して。
せっかく作ってくれたのに残すのも申し訳ないと、がんばって端っこのほうだけちょこっと齧ってみたものの、やっぱりダメだった。全然おいしくない。しかも、ちょっとしか食べていないのに、口の中に玉ねぎの味がすごく残っている。
「…央、どうした?」
1人でわたわたしている央に気付いたのか、槇村が顔を上げた。
「何でもなっ…」
「…玉ねぎ、嫌いなのか」
「!!」
何としてでも隠さなければ、とまで思っていたことではないが、出来れば知られたくないなぁ…と思っていたのに、それがあっさりとばれて央は絶句する。とはいえ、皿の端には残された玉ねぎが盛り付けられているのだから、そのくらいのこと、見ればすぐに分かることだった。
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