恋三昧

【18禁】 BL小説取り扱い中。苦手なかた、「BL」という言葉に聞き覚えのないかた、18歳未満のかたはご遠慮ください。

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甘い言葉はいらないの


 だってもう、10年来の付き合いですし。
 週に4回は学校で顔合わすし。

 今更そんな、ラブラブな雰囲気なんて、…………なぁ?



*****

「聡くんは、ホント、夏希くんのこと、好きなんだねぇ」

 帰り支度をしている最中、ほのぼのと、まったりと、それこそおじいちゃんがお茶でも啜りながら話すように、コウがそんなことを抜かしやがった。

「はぁ? 何言ってんだ?」

 ホントは突っ込むのも面倒臭かったけど、そこはそれ。律儀な俺は、すかさずコウの頭に平手を1発かましてやった。

「イッター! 何すんの!? ボク、ホントのこと言っただけなのに!」

 今度はおじいちゃんじゃなくて、今日の見た目(爪の色を交互に塗り替えて、よく分かんないピンキーリング? とか嵌めて、何かピンク色したちょっとフリフリっぽい服着てる)に相反することなく、キャンキャンと、小犬のような、今どきのギャルのような返し。

「…で? 何て?」
「だーかーらー、聡くんて、めっちゃ夏希くんのこと好きだよねぇ?」
「はぁ?」
「見てたら分かるよ?」
「お前の目ん玉は腐ってる」

 何をほのぼのしみじみ言い出すかと思えば。

「何でぇ? もしかして聡くん、照れてんの?」
「……お前、もっかいド突いてやろうか?」
「イダッ!」

 コウの返事を待たずに、俺はもっぺんコウの頭を引っ叩く。

「何でこんな叩かれないといけないの、ボク」
「お前がアホなこと抜かすからだ」
「いいこと言ってるじゃん。何年間もずっと1人の人を同じように思い続けられるって、ステキなことでしょう? ラブラブじゃん」
「それはステキだけど…………あのなコウ、その想いを、何で俺見て思うんだ。違うだろ? それはお前の理想か、歌詞の中の世界やろ?」
「うん、歌にしてもいい。聡くん見てて、歌詞ひらめいた!」
「ふざけんな!」

 目をキラッキラさせて言うコウに、再度突っ込みを炸裂させたところで、裕太と斗真が教室に入って来た。

「とーま!」

 俺の突っ込みに顰めていた顔をパッと輝かせて、コウは斗真に飛び付く。
 俺から見たら、お前のほうがよっぽど"斗真大好き!"だし、ラブラブ度も高いんですが。
 つーか、ここは教室で、他の学生はいないけど、俺も裕太もいるんやから、ベタベタすんな。
 今日はもう授業終わりなんだから、そういうのは家に帰ってからやれっちゅー話だ。

「……聡くん、めっちゃ顔が険しくなってますけど」

 ボソッと言う裕太に視線をくれたら、裕太は裕太で目のやり場に困っているのか、出来る限り2人から目を逸らそうと、ぎこちない格好で帰り支度をしていた。

「アホか、あいつら」

 そんな2人を置いて教室を出ようとしたら、"俺をこの状況に1人残さないでくれ!"と言わんばかりに、大慌てで裕太が後を追ってきた。



*****

 確かに、付き合いは長い。
 最初に会ったのが小学校3年生のときで、それからいわゆる"恋人同士"って関係になって、もう何年も経って。

 一緒にいるのは、嫌いじゃないから。
 別にそんな、コウが言うみたいな、"ラブラブ"とか、そんなのないし。

「…?」

 帰って来て、ドアを開けると、出がけに消していったはずの部屋の明かりが点いてる。
 おいおい、何か変なのが入り込んだんじゃねぇだろうな?
 最近は、オートロックのマンションっていったって、まるっきり安心てわけじゃないらしいしなぁ…。
 そんな弱っちぃ男じゃないけど、さすがに強盗とかには太刀打ちできないし。

 そぉーっと足を忍ばせて、部屋のほうに行ってみると、

「……………………はぁ!?」

 部屋の中央に置いてあるソファにだらしなく座って、携帯型のゲームに熱中しているのは、紛れもなく、今日散々話題に上った夏希さんで。

「よぉ」

 チラッとだけ画面から視線を俺に向けて、挨拶とも言えるような言えないような声を掛けてきた後、夏希は再びゲームに。

 おいおい、ちょぉ待てよ。
 何で。
 何でお前は人んちで、こんな普通に寛いでんだ!

「夏希、おま……はぁ!?」
「あぁー?」
「何でいんの? つーか、どうやって入った!?」
「合鍵」
「あいか……あ、」

 そういえば。
 この間、俺が帰る前にここに来た夏希が、鍵がないからって、中に入れなくて。だったら、俺に連絡するなり、外で時間潰すなりすればいいのに、玄関の前で2時間もアホみたいに待ってるから。
 仕方なしに、ここの合鍵を作って渡したんだった。

「夏希、飯食って来た?」
「まだ食ってない」

 おい、当たり前のようにそう返しとるけどな、お前。
 先に帰って来てんだから、お前が作っとけよ。何、人んちでめっちゃ寛いでんだ(まぁ、そう言ったら言ったで、料理なんか出来るわけないって返されるのがオチだけど)。

「何でもいい?」
「んー」

 別に俺だって、そんなに料理得意とかってわけでもないけど、1人なら作らなきゃしょうがないし、こいつはまったく作る気ないし、いつの間にか料理は俺担当みたいになってる。
 まぁ別に嫌じゃないけど。

 つーか、あれだよ。
 コウ。
 アイツ、ホントのアホだな。
 だって、夏希ってこんな奴だぞ?
 合鍵持ってるからいいんだけど、人んちに勝手に上がり込んで、メシでも作ってるのかと思えば、ゲームしてるし。
 家主が疲れて帰ってきても、『よぉ』だけだし。

 そんな奴と付き合うてる俺も俺やけど、そんな俺見て、『聡くんて、めっちゃ夏希くんのこと好きだよねぇ?』って、何だ、それ!
 別にそんなラブラブじゃねぇっつーの! 見たら分かるだろ、アホ!

「聡、なぁ、聡て」
「へっ? ッ、アダーッ!!」
「バカ、何してんだ!!」

 ボーッとなってたとこ、夏希に声掛けられて、ビックリした拍子に手が滑って、包丁で人差し指を…!!

「イッター!」

 傷は浅いみたいやけど、血がタラーッて…。

「何してんだ、バカ!」
「お前が急に声掛けるから!」
「ちょぉ見してみ?」
「いいよ、大丈夫だから……って、わっ!?」

 こんなんティッシュで押さえとけばすぐ止まるって思って、夏希の手を払おうとしたより先、俺の手首を掴んでた夏希が、それを自分の口元に持ってって、血の垂れてる俺の人差し指をパクッて…!!

「な、何すん…」
「あぁ? 止血。なぁ、絆創膏とかあんの?」

 動揺してる俺をよそに、夏希はいたって普通に、俺の指先の血を舐め取って、絆創膏を探しにいく。

「なぁー、聡ー。絆創膏ないのー?」
「あ…うん、そこの引き出しに…」

 ……………………。

 つーか、絆創膏て。
 いや、正解なんだけど、その前にお前、何した!?
 何今の!
 何でそんな…………はぁ~~~??

 顔が熱い。

「おい、何、血垂れ流してんだ。絆創膏貼るぞ?」

 流水でサーッと血を流してティッシュで拭った後、夏希が手際よく傷口に絆創膏を貼っていく。俺はただその様子を見てるだけしか出来なくて。

「どうした? 疲れてんの? メシ、外に食いに行く?」
「あ……いや、そうじゃないけど…」

 そうじゃなくて!
 お前、何で自分の行動を、そんなサラッと流してんだ!

「聡?」
「……アホ」
「何だよ、急に」
「アホだからアホって言ったんだよ」
「ホント、かわいくないなぁ」

 夏希が苦笑してる。
 しょうがないじゃん。
 だってこんなことされて。
 今更こんなことされて、かわいげあることなんか出来るか?

「バカ…」

 夏希の肩に額を乗せる。

「何だ、急に甘えたさんになってぇ」

 茶化すような言い方に、一発ド突いてやろかと思うけど、背中に回った夏希の手が優しくて、振り解けない。

 あぁ、ホントのアホは、夏希でもなくて、コウでもない。完璧に俺じゃん。

 コウ。
 俺の負け。
 やっぱお前の言ってたこと、間違ってなかった。


 俺はコイツのこと、めっちゃ好きみたいです。
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カテゴリー:読み切り掌編
テーマ:自作BL小説  ジャンル:小説・文学

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りり ⇒ か・わ・い・い~~~~!!

甘~~~~~~い!!!

>「何だ、急に甘えたさんになってぇ」

ああもうどんだけでも甘えてちょーだい!!
可愛すぎます!!
アホじゃないのよ。
恋の勝者は愛した方なのよ。
愛されるのは退屈なだけ…。

ホントに可愛い。
このきゅんきゅんは如月さまワールド。
毎朝いいように転がされてしまうわ。

  • |2008.09.26
  • |Fri
  • |09:50
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柚子季 杏 ⇒ 可愛い可愛い可愛い!

か~わ~い~い~~~♪♪
(●´д`●´д`●´д`●)ポポポッ
いいな、いいな、読んでてメッチャ幸せになれました~♪
何気無い一文が、本当きゅんってくるんですよねぇ、如月さんのお話は!
本日もめちゃんこ柚子季のハートぎゅ~~~って鷲掴み゜+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
あぁ~~もうもうもう~~~!!
如月さん大好き*:.。*(●´∀`)八(´∀`●)*。:*・'

  • |2008.09.26
  • |Fri
  • |18:12
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イチゴ ⇒ いやーーーーーん!

かわゆすかわゆす!!!!
余りの可愛らしさに、思わずしょこたん語が飛び出しました!!生まれて初めて使ったけど!!笑
包丁で指切って舐める…一度はやってみたいシチュですね♪
もう、ときどき混ざる方言がたまらんっ!!です!!

  • |2008.09.26
  • |Fri
  • |20:12
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如月久美子 ⇒ >りりさん

 その前日に、あんなドシリアスな話を書いてたとは思えないほどの、バカ全開なお話でしたが、いかがでしたでしょうか…!?

>恋の勝者は愛した方なのよ。
>愛されるのは退屈なだけ…。

 な…何か名言ですね!
 確かに!!

 素敵なお言葉、ありがとうございます!!

 コメントありがとうございました!!

  • |2008.09.27
  • |Sat
  • |10:45
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如月久美子 ⇒ >柚子季さん

 いい年した男2人が何してんだって感じで、ちょっと照れてたんですが、柚子季さんのハートをギュッと出来たみたいなんで、一安心です~!

 しかも柚子季さんから、大好きもいただきました~!!!
 もうすっかり舞い上がっております!!

 コメントありがとうございました!

  • |2008.09.27
  • |Sat
  • |10:49
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如月久美子 ⇒ >イチゴさん

 かわゆす!?
 かわゆすですか!?
 嬉し~!!!

 というか、私も生まれて初めて、しょこたん語を打ってみました(笑)

 指パクッて、もうどんだけバカップルだよ! て感じですが、いい具合に夢見てます、私。

 コメントありがとうございました!

  • |2008.09.27
  • |Sat
  • |10:51
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