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きみはばかだ
2008.09.25 Thu
愛を誓いましょう。
永遠を誓い合いましょう。
こんな紙切れ、1枚で?
き み は ば か だ
「…………は……?」
もっと気の利いたことを、言えれば良かったんだと思う。
でも、口をついて出た言葉は、たった一言、それだけだった。
間抜けだなぁ、と思った。
「聞こえてた?」
「あぁ、うん……何? 結婚?」
確かにコイツの口はそう言った。
一瞬、意味を取り損ねそうになったけど、確かにそう言った。
『俺、結婚することにした』
「えっと……誰と、とか聞いちゃっていいのかな?」
「之哉の知らない子」
「……へぇ…」
俺の知らない子?
俺が知らない誰かと、和史が結婚しちゃうの?
そんな、何で?
「やっぱもう、夢ばっか見てらんないよね」
「はぁ」
「男同士、だなんて。やっぱどうにも何ないよね」
「あー……あぁ」
「ね、見て、これ。婚姻届」
にっこり笑って和史が見せ付けたのは、紛れもない、"婚姻届"。
片方に和史の名前が書かれてる。
このもう一方に、俺の知らない誰かの名前が書かれるの?
「和史、結婚、すんの…?」
「そうだよ。之哉も祝福してよね?」
「え…」
祝福?
俺が祝福すんの?
和史が他の誰かと結婚すんのを?
「和史ッ!」
ドタンッ!
気付いたときには、和史を押し倒していた。
硬くて冷たい床の上。
和史が突然の衝撃に顔を顰めてる。
婚姻届が、ひらひらと舞った。
「何す…」
「そんな、結婚だなんて……じゃあ、俺とのことはっ…!?」
「…………もう終わりにする」
「何で!?」
「だってもう無理だもん」
「そんな、俺はこんなに好きなのに……」
「嘘つき」
俺の下、和史はひどく冷たい目で、俺のことを見つめた。
「嘘って何がだよ」
「俺のこと好きだなんて、そんなこと、言ってくれたことなんかないくせに……」
「…………え、」
「ただ会って、セックスして…………それが之哉の愛なわけ? そんなの、俺、知らない。俺が欲しかったのは、そんなんじゃない。之哉とじゃ、幸せになれない」
どこか、安心していたのかもしれない。
和史の思いは、ずっと変わらないと。ずっと俺のほうに向いていると。
「じゃあ、その子とだったら、幸せになれるってのかよ?」
「……ッ、……なれるよ! なれる……なれ、る……ヤッ…」
潤んだ和史の瞳から、涙が一筋零れて。
それが俺を凶暴な気持ちにさせる。
逃げようとする和史を無理やり押さえ付けて、唇を奪う。
「ヤ、之哉……やめ、お願……!」
「ッ…てめ…!」
唇に痛みが走って、口の中に鉄の味。親指で唇の端の傷口を拭った。
唇を離すと、和史に鋭く睨み付けられる。
「…………結婚なんかすんなよ」
「もう遅いよ、バカ」
「何で!?」
「今さら何て言うんだよ、その子に。俺はやっぱり男のほうがいいから、結婚できないって? そんなの言えるわけないじゃん! …………婚姻届、返して?」
零れた涙も拭わずに、和史は自由の利かない右手を、必死に婚姻届へ伸ばしてる。
「これ?」
俺は和史よりも先にその婚姻届を拾い上げる。
「返して! お願……俺はそれで、それ、で……幸せになるんだ…」
「こんな紙切れ1枚で?」
「ッ…」
「永遠の愛を、誓い合うの?」
「だって、だって……こうするしかない! ―――あぁっ! やめて!」
俺は和史の目の前で、その紙切れをビリビリと引き裂く。
和史が"永遠の愛"だというそれを、細かく千切って部屋中に巻き上げた。
紙吹雪。
「結婚なんかすんな」
「…………バカ、バカだよ、お前は……」
「ゴメン…………でもやっぱお前のこと、好きなんだ…」
泣きじゃくる和史を抱き締める。
嫌だ、離したくない。
「之哉……バカ、責任取れよ…」
和史の腕が背中に回って。
2人で、泣いた。
「愛してる…」
永遠だなんて、知らない。
知らないけれど―――――
永遠を誓い合いましょう。
こんな紙切れ、1枚で?
き み は ば か だ
「…………は……?」
もっと気の利いたことを、言えれば良かったんだと思う。
でも、口をついて出た言葉は、たった一言、それだけだった。
間抜けだなぁ、と思った。
「聞こえてた?」
「あぁ、うん……何? 結婚?」
確かにコイツの口はそう言った。
一瞬、意味を取り損ねそうになったけど、確かにそう言った。
『俺、結婚することにした』
「えっと……誰と、とか聞いちゃっていいのかな?」
「之哉の知らない子」
「……へぇ…」
俺の知らない子?
俺が知らない誰かと、和史が結婚しちゃうの?
そんな、何で?
「やっぱもう、夢ばっか見てらんないよね」
「はぁ」
「男同士、だなんて。やっぱどうにも何ないよね」
「あー……あぁ」
「ね、見て、これ。婚姻届」
にっこり笑って和史が見せ付けたのは、紛れもない、"婚姻届"。
片方に和史の名前が書かれてる。
このもう一方に、俺の知らない誰かの名前が書かれるの?
「和史、結婚、すんの…?」
「そうだよ。之哉も祝福してよね?」
「え…」
祝福?
俺が祝福すんの?
和史が他の誰かと結婚すんのを?
「和史ッ!」
ドタンッ!
気付いたときには、和史を押し倒していた。
硬くて冷たい床の上。
和史が突然の衝撃に顔を顰めてる。
婚姻届が、ひらひらと舞った。
「何す…」
「そんな、結婚だなんて……じゃあ、俺とのことはっ…!?」
「…………もう終わりにする」
「何で!?」
「だってもう無理だもん」
「そんな、俺はこんなに好きなのに……」
「嘘つき」
俺の下、和史はひどく冷たい目で、俺のことを見つめた。
「嘘って何がだよ」
「俺のこと好きだなんて、そんなこと、言ってくれたことなんかないくせに……」
「…………え、」
「ただ会って、セックスして…………それが之哉の愛なわけ? そんなの、俺、知らない。俺が欲しかったのは、そんなんじゃない。之哉とじゃ、幸せになれない」
どこか、安心していたのかもしれない。
和史の思いは、ずっと変わらないと。ずっと俺のほうに向いていると。
「じゃあ、その子とだったら、幸せになれるってのかよ?」
「……ッ、……なれるよ! なれる……なれ、る……ヤッ…」
潤んだ和史の瞳から、涙が一筋零れて。
それが俺を凶暴な気持ちにさせる。
逃げようとする和史を無理やり押さえ付けて、唇を奪う。
「ヤ、之哉……やめ、お願……!」
「ッ…てめ…!」
唇に痛みが走って、口の中に鉄の味。親指で唇の端の傷口を拭った。
唇を離すと、和史に鋭く睨み付けられる。
「…………結婚なんかすんなよ」
「もう遅いよ、バカ」
「何で!?」
「今さら何て言うんだよ、その子に。俺はやっぱり男のほうがいいから、結婚できないって? そんなの言えるわけないじゃん! …………婚姻届、返して?」
零れた涙も拭わずに、和史は自由の利かない右手を、必死に婚姻届へ伸ばしてる。
「これ?」
俺は和史よりも先にその婚姻届を拾い上げる。
「返して! お願……俺はそれで、それ、で……幸せになるんだ…」
「こんな紙切れ1枚で?」
「ッ…」
「永遠の愛を、誓い合うの?」
「だって、だって……こうするしかない! ―――あぁっ! やめて!」
俺は和史の目の前で、その紙切れをビリビリと引き裂く。
和史が"永遠の愛"だというそれを、細かく千切って部屋中に巻き上げた。
紙吹雪。
「結婚なんかすんな」
「…………バカ、バカだよ、お前は……」
「ゴメン…………でもやっぱお前のこと、好きなんだ…」
泣きじゃくる和史を抱き締める。
嫌だ、離したくない。
「之哉……バカ、責任取れよ…」
和史の腕が背中に回って。
2人で、泣いた。
「愛してる…」
永遠だなんて、知らない。
知らないけれど―――――
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COMMENT-FORM
りり ⇒ せつない
切ない…切なすぎて頭狂いそう…(泣
愛とか、永遠とか、誓いとか、
ホントに何なんでしょうね?
ひとときの安心を求めて…
恋が例え冷めたとしても共にいようという契約…?
気持ちひとつしか持たない関係が
不安で不安で和史を駆り立てたんでしょうね。
切ない…最近情緒不安定気味の頭にくらいました。
愛とか、永遠とか、誓いとか、
ホントに何なんでしょうね?
ひとときの安心を求めて…
恋が例え冷めたとしても共にいようという契約…?
気持ちひとつしか持たない関係が
不安で不安で和史を駆り立てたんでしょうね。
切ない…最近情緒不安定気味の頭にくらいました。
柚子季 杏 ⇒ これを読んで・・・
色々と思うことが(´∀`;)
如月さんには以前ポロッとお伝えしたかもですがww
えぇ、ほんと、たかが紙切れ一枚で「永遠の愛」なんてね・・・アハハ。
この2人の気持ちが痛いくらいに伝わってきました。
気持ちはちゃんと口に出して伝えないとね、うん。
紙で契約出来るような繋がりではなくて、心と心でつながれるように・・・。
ヤバイ、このカプのお話も読みたくなっちゃう~~!
如月さんには以前ポロッとお伝えしたかもですがww
えぇ、ほんと、たかが紙切れ一枚で「永遠の愛」なんてね・・・アハハ。
この2人の気持ちが痛いくらいに伝わってきました。
気持ちはちゃんと口に出して伝えないとね、うん。
紙で契約出来るような繋がりではなくて、心と心でつながれるように・・・。
ヤバイ、このカプのお話も読みたくなっちゃう~~!
如月久美子 ⇒ >りりさん
私も、何でまたいきなりこんなドシリアスな話をいきなりアップしたのか…て感じですが。
男同士の話を気軽に書いてるけど、実際はいろいろ大変なのかなぁ、と。
全部が全部、そうではないでしょうけど。。。
それにしても……情緒不安定なりりさんを泣かせてないか心配です~。
またバカ話も書くんで、存分に笑ってってくださいましvvv
コメントありがとうございました!
男同士の話を気軽に書いてるけど、実際はいろいろ大変なのかなぁ、と。
全部が全部、そうではないでしょうけど。。。
それにしても……情緒不安定なりりさんを泣かせてないか心配です~。
またバカ話も書くんで、存分に笑ってってくださいましvvv
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
こんな小娘(…て年齢でもないですけどね)が何偉そうに書いてんだ、て気がしてならないんですが、大丈夫でしたでしょうか。
男女カプにしろ、同性同士にしろ、紙面でなく、心が繋がってないと、いけませんよね。
コメントありがとうございました!
男女カプにしろ、同性同士にしろ、紙面でなく、心が繋がってないと、いけませんよね。
コメントありがとうございました!