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恋は七転び八起き (60)
2015.11.04 Wed
「タクシー、1人で乗れるか?」
「乗ったことない…」
「運転手のおっちゃんに、行き先言うんだぞ? 着いたらお金渡して…」
「お金、ない…」
バスよりはタクシーのほうが無事に家に帰れるだろうと判断して提案したものの、央から返って来たのは、言われてみれば尤ものことだった。
ここから央の家までの料金は分からないが、高校生の持ち合わせでは足りそうもないことは想像が付く。到着してから家族に払ってもらうにしても、高校生の央がいきなりタクシーで帰って来たら、両親は驚くどころの騒ぎではないし、槇村が金だけ渡して央を1人でタクシーに乗せるのも、何だか怪しい感じだ。
ならば、槇村が一緒に乗っていくしかないだろう。央を家まで送って、そこで槇村が支払いをする。いや、央が金を気にするだろうから、央を降ろした後、駅まで乗っていって、そこで払えばいい。
「槇村くん」
痛い出費だが、央の身の安全を考えたらこれしかないだろう、と槇村がタクシー乗り場に向かおうとしたら、央がその腕を掴んで掴んで引き止めた。
「槇村くんち…」
「ん?」
「槇村くんち行ったら、俺、槇村くんち、お泊りするの…?」
「えっ、あっ? お、おぅ、まぁそうなる…かな…?」
腕を掴んだまま、央がコテンと首を倒して尋ねて来る。なぜか槇村はひどく動揺したが、それは別に央がかわいかったからとか、そんな理由ではない――――と思うことにした。
「…行ってもいいんだったら、槇村くんち行く」
もう何度も来ているから、央は1人でだって槇村の家に行くことは出来るけれど、今まで1度だって1人で来たことはない。いつも隣には圭人がいた。時々七海。槇村と一緒に来るのは、これが初めてだ。
央はぼんやりと、部屋の鍵を開けている槇村の背中を見ていた。央はもう何回も来たことはあるけれど、いつもマンションの前で槇村のことを待っていたし、話もそこで終わっていたから、部屋の前までも来たことはなかった。槇村の部屋は3階だった。
「…どうぞ?」
「お邪魔します」
央は槇村に続いて玄関に入った。央の家は戸建てで、4人家族の靴が土間に並んでいるけれど、1人暮らしのマンションの一室は玄関も狭く、央がいつも家でしているように、とても靴を脱ぎ散らかしておくなんて出来そうもない。
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「乗ったことない…」
「運転手のおっちゃんに、行き先言うんだぞ? 着いたらお金渡して…」
「お金、ない…」
バスよりはタクシーのほうが無事に家に帰れるだろうと判断して提案したものの、央から返って来たのは、言われてみれば尤ものことだった。
ここから央の家までの料金は分からないが、高校生の持ち合わせでは足りそうもないことは想像が付く。到着してから家族に払ってもらうにしても、高校生の央がいきなりタクシーで帰って来たら、両親は驚くどころの騒ぎではないし、槇村が金だけ渡して央を1人でタクシーに乗せるのも、何だか怪しい感じだ。
ならば、槇村が一緒に乗っていくしかないだろう。央を家まで送って、そこで槇村が支払いをする。いや、央が金を気にするだろうから、央を降ろした後、駅まで乗っていって、そこで払えばいい。
「槇村くん」
痛い出費だが、央の身の安全を考えたらこれしかないだろう、と槇村がタクシー乗り場に向かおうとしたら、央がその腕を掴んで掴んで引き止めた。
「槇村くんち…」
「ん?」
「槇村くんち行ったら、俺、槇村くんち、お泊りするの…?」
「えっ、あっ? お、おぅ、まぁそうなる…かな…?」
腕を掴んだまま、央がコテンと首を倒して尋ねて来る。なぜか槇村はひどく動揺したが、それは別に央がかわいかったからとか、そんな理由ではない――――と思うことにした。
「…行ってもいいんだったら、槇村くんち行く」
央・槇村
もう何度も来ているから、央は1人でだって槇村の家に行くことは出来るけれど、今まで1度だって1人で来たことはない。いつも隣には圭人がいた。時々七海。槇村と一緒に来るのは、これが初めてだ。
央はぼんやりと、部屋の鍵を開けている槇村の背中を見ていた。央はもう何回も来たことはあるけれど、いつもマンションの前で槇村のことを待っていたし、話もそこで終わっていたから、部屋の前までも来たことはなかった。槇村の部屋は3階だった。
「…どうぞ?」
「お邪魔します」
央は槇村に続いて玄関に入った。央の家は戸建てで、4人家族の靴が土間に並んでいるけれど、1人暮らしのマンションの一室は玄関も狭く、央がいつも家でしているように、とても靴を脱ぎ散らかしておくなんて出来そうもない。
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