スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
恋は七転び八起き (50)
2015.10.24 Sat
「…………央に、俺のこと嫌いなの、て聞かれて、嫌いだ、て言った」
「あー…今まで言ったことなかったのか? 付き合えないとは言ってたんだろ? でもまぁ、嫌いだ、て言われんのは『また』じゃないか。それだったら確かに央も凹…」
「話もしたくないし、顔も見たくない、て言った…」
思い出したくもない昨日の出来事を槇村がぼそぼそと打ち明ければ、最初は相槌を打った逢坂が、最後まで聞いた後は無言になる。しかし顔を伏せている槇村には、彼がどんな表情をしているのか分からなかった。
「…まぁ、そこまで言われれば、央も死にそうなくらいには凹むか。でも、央もしつこかったからなぁ。切れるのもしょうがないっちゃーしょうがない気するけど」
「しょーがないことあるか。大人気ない」
しばらくの沈黙の後、逢坂が漏らしたのは至極まっとうな感想と、決して槇村を責めるではない言葉だったが、それに対して板屋越は、咎めるような口調で逢坂に反論した。央の様子を見ている板屋越にしたら、逢坂ほど槇村に寛大になれないようだ。
「でも、央が来たタイミングも悪かったよ。昨日は槇村、昼間からイライラしてたもん」
「そんなの理由にならんわ」
「そうだけど…。なつめもそんなキツいこと言うなよ、槇村もめっちゃ凹んでんだから」
ガンッとテーブルにジョッキを打ち付ける板屋越を逢坂が宥める。しかし、槇村には槇村の事情があるのは分かっても、板屋越もすぐには納得いかないのだろう、渋面を崩さない。
「…何であんなこと言ったんだろ、俺…」
「今さら何言ってんだ」
消え入りそうな声で、昨晩の自分を責めている槇村に、板屋越は容赦なく突っ込む。普段、突っ込みが厳しいのは逢坂のほうで、どちらかというと板屋越はそれに乗っかって茶々を入れるタイプなのに、今日はそれだけでは気が済まないようだ。
「そんな反省するくらいなら、最初からそんなこと言うな、アホが」
「…なつめ、お願いだからもう勘弁して…。俺、昨日からもう100回くらいそう思ってる…」
「…………」
まだ言い足りない、と口を開こうとした板屋越は、しかし、のそりと頭を起こした槇村の顔が、それこそ死にそうな表情なのを見て、言葉を続けられなかった。
央の凹み具合と、逢坂が思いのほか槇村の肩を持ったのとで、ついいろいろと言ってしまったが、自分のほうこそ言い過ぎたかもしれない、と板屋越は思った。子どもっぽい性格はしているが、こういうことを気にしない男ではないと、槇村を昔から知る板屋越だって分かっていることだ。
「でもあれよな、そこまで凹むくらい、央のこと好きだったんだな、槇村」
「…は?」
なつめの厳しい態度と、凹みまくる槇村を眺めていた逢坂が、しみじみとそう言ったが、それに対して、何とか『は?』と返したのは板屋越で、槇村は目をぱちくりさせて、ポカンとしていた。
「え、何、今のどういうボケ? 俺、お前ほどの突っ込み力は持ってないんだから、よく分かんないボケはやめてくれよ」
back next
「あー…今まで言ったことなかったのか? 付き合えないとは言ってたんだろ? でもまぁ、嫌いだ、て言われんのは『また』じゃないか。それだったら確かに央も凹…」
「話もしたくないし、顔も見たくない、て言った…」
思い出したくもない昨日の出来事を槇村がぼそぼそと打ち明ければ、最初は相槌を打った逢坂が、最後まで聞いた後は無言になる。しかし顔を伏せている槇村には、彼がどんな表情をしているのか分からなかった。
「…まぁ、そこまで言われれば、央も死にそうなくらいには凹むか。でも、央もしつこかったからなぁ。切れるのもしょうがないっちゃーしょうがない気するけど」
「しょーがないことあるか。大人気ない」
しばらくの沈黙の後、逢坂が漏らしたのは至極まっとうな感想と、決して槇村を責めるではない言葉だったが、それに対して板屋越は、咎めるような口調で逢坂に反論した。央の様子を見ている板屋越にしたら、逢坂ほど槇村に寛大になれないようだ。
「でも、央が来たタイミングも悪かったよ。昨日は槇村、昼間からイライラしてたもん」
「そんなの理由にならんわ」
「そうだけど…。なつめもそんなキツいこと言うなよ、槇村もめっちゃ凹んでんだから」
ガンッとテーブルにジョッキを打ち付ける板屋越を逢坂が宥める。しかし、槇村には槇村の事情があるのは分かっても、板屋越もすぐには納得いかないのだろう、渋面を崩さない。
「…何であんなこと言ったんだろ、俺…」
「今さら何言ってんだ」
消え入りそうな声で、昨晩の自分を責めている槇村に、板屋越は容赦なく突っ込む。普段、突っ込みが厳しいのは逢坂のほうで、どちらかというと板屋越はそれに乗っかって茶々を入れるタイプなのに、今日はそれだけでは気が済まないようだ。
「そんな反省するくらいなら、最初からそんなこと言うな、アホが」
「…なつめ、お願いだからもう勘弁して…。俺、昨日からもう100回くらいそう思ってる…」
「…………」
まだ言い足りない、と口を開こうとした板屋越は、しかし、のそりと頭を起こした槇村の顔が、それこそ死にそうな表情なのを見て、言葉を続けられなかった。
央の凹み具合と、逢坂が思いのほか槇村の肩を持ったのとで、ついいろいろと言ってしまったが、自分のほうこそ言い過ぎたかもしれない、と板屋越は思った。子どもっぽい性格はしているが、こういうことを気にしない男ではないと、槇村を昔から知る板屋越だって分かっていることだ。
「でもあれよな、そこまで凹むくらい、央のこと好きだったんだな、槇村」
「…は?」
なつめの厳しい態度と、凹みまくる槇村を眺めていた逢坂が、しみじみとそう言ったが、それに対して、何とか『は?』と返したのは板屋越で、槇村は目をぱちくりさせて、ポカンとしていた。
「え、何、今のどういうボケ? 俺、お前ほどの突っ込み力は持ってないんだから、よく分かんないボケはやめてくれよ」
back next
- 関連記事
-
- 恋は七転び八起き (51) (2015/10/25)
- 恋は七転び八起き (50) (2015/10/24)
- 恋は七転び八起き (49) (2015/10/23)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:恋は七転び八起き