恋三昧

【18禁】 BL小説取り扱い中。苦手なかた、「BL」という言葉に聞き覚えのないかた、18歳未満のかたはご遠慮ください。

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恋は七転び八起き (51)


 この状況下で冗談が言えるほど、逢坂は空気を読まない男ではないから、恐らくは本気で言ったのだろうけど、そうだとしても突っ込みどころが多すぎるので、板屋越は、あえてそれをボケだというふうに判断して、処理しようとした。
 それなのに逢坂は、そんな板屋越の努力をあっさりと無駄にしてくれる。

「ボケて何だ。何もボケてない」
「ボケじゃなかったら、何だ。何なんだ。何で槇村が央のこと好きなんだ」

 槇村の気持ちを板屋越が逢坂に伝えるのもおかしな話だが、そこまで央のことを好きではなかったから、今まで槇村は央からの告白を断っていたわけで、それをどうして今ここで覆すのだ。それも、もうどうしようもないくらい、拗れてしまってから。

「だって、勢いで嫌いとか言ったかもしれないけど、ホントにずっと央のこと嫌いだとしたら、今さらそんなに凹まないだろ。むしろ、これでもう央も家に来なくなるし、会わなくてで済む、て喜ぶんじゃね?」

 逢坂の説明に、どうなんだ? と言わんばかりに板屋越が視線を向けて来るので、困って槇村は俯いた。何が困るって、逢坂の言うことが、あながち間違いではないから、困るのだ。
 正直、これで央から解放されるという気持ちはあった。央が走り去っていったあの瞬間、確かに、間違いなく、槇村はそう思った。
 しかし、央を傷付けた罪悪感は、一向に消えてくれないのである。本当に央のことが嫌いだったら、逢坂の言うとおり、ここまでは落ち込まないだろう。自分の行動が大人として不適切だった、と青少年の未来を憂慮することはあっても、それだけだ。
 なのに今、槇村の頭を占めるのは央のことばかりで、あのときの自分を殴り飛ばしたいくらいに後悔している――――けれど、

「そうなのか、槇村」
「ち…違うわ、アホ」

 板屋越に念を押すように尋ねられ、槇村の口から出た言葉は、そんなセリフだった。

「17だぞ、付き合えるわけないだろ」
「付き合う付き合わないは聞いてない。好きか嫌いかを答えんかい」
「なっ…何でそんなこと、お前らに言わないといけないんだっ」

 逃げようとする槇村を、板屋越は許さない。互いに好きだと思っていても付き合えないことだってあるわけで、感情の好き嫌いと、恋人として付き合うかどうかは別問題だと言いたいのだろう。
 しかし、槇村は頑なに答えを拒む。そんなことに答えなければならない義務など、どこにもない。いい年したおっさん3人が、何をこんな女子高生みたいなトークを繰り広げているのだ。

「何ていうか…、その態度がもう、央のこと好きて言ってるようなもんだろ」
「何でだ!」

 槇村は、答える気がないことを、態度だけでなく言葉でも示しているのに、今度は板屋越に代わって逢坂が、わけの分からない説を唱え始めた。逢坂は、板屋越ほど答えを要求して来ないものの、じわりと槇村を追い詰めて来る。



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けいったん ⇒ No title

槇村・・・
あなたにとって 央は・・・
『失って 気付く 存在』・・・って、ことですか!?
衝撃の事実だわぁ~~Σ(三ω三ノ)ノヒェッェ~

しかし オッサン3人組の会話が、女子トークにも負けない内容とは!!(笑)
個室じゃなかったら 側で聞いたら 少し引くなぁ~

さて 後悔の上に後悔を更に乗せている状態の槇村に 逢坂と板屋越は 何か妙案でも 与えてくれるのかな?
ショボーン(||´・ω・`||) ...byebye☆

  • |2015.10.25
  • |Sun
  • |10:10
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如月久美子 ⇒ >けいったんさん

 槇村さん、思春期男子みたいですよね…(笑)。
 さらにはアラサー男3人組が、居酒屋で女子トーク。何をしてるんでしょう、本当に。

> 個室じゃなかったら 側で聞いたら 少し引くなぁ~

 私の脳内で居酒屋は、完全なる個室でなく、ボックス席みたいな半個室を想像してました(^^ゞ
 まぁ確かに、傍から見たら結構引きますね。。。

 コメントありがとうございました!

  • |2015.10.25
  • |Sun
  • |22:36
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