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恋は七転び八起き (47)
2015.10.21 Wed
「何てことを…」
どういった経緯で、央がこんなことを槇村に聞こうと思ったのか、青少年の健全な育成のためにも十分に検討する必要があるが、それよりも、純平はどうしてこんなことを平気で引き受け、槇村に質問したのだろう。どうにもこうにも、あの兄弟は歪んでいる。
「何で央はそんなこと…」
逢坂は頭を抱えながら、質問を重ねて来た。板屋越は固まったままだ。槇村は時々央のことを板屋越に話すけれど、央の学校での様子はよく知らない。だから、今板屋越が受けているであろう衝撃のほどは、分かりかねた。
「男より女のほうがいいと思ってても、付き合ってみたら男もいいかも、て思うかもしれないだろ? でも、おっぱいが好きだったら、男のほうがいいとは思わないから、確認したいとか何とか」
「………………」
あのとき純平に言われたことを忠実に伝えると、逢坂は真面目な顔でジッと槇村を見つめたまま、何も言わなかった。人間、本気で絶句すると、こういうことになるのだと、槇村は今初めて知った。
「逢坂…………いや、なつめ、大丈夫か?」
逢坂ももう十分大丈夫ではなさそうだが、先ほどから微動だにしていない板屋越のほうがもっと大丈夫でなさそうだ。
「なつめ?」
「お、おぉ、大丈夫…、大丈夫だ…。何だ、あれだな…。い今どきの高校生はすごいな。そんなん授業で習うのか。おっちゃん、付いてけないわー…」
目の前で手を振ってみたら、板屋越はようやく我に返ったようで、キョドキョドと視線を彷徨わせた。
今どきの高校生事情なら、この中では板屋越が一番詳しいだろうに、どうしても脳が現実逃避したがっているようだ。こんなこと、保健体育の授業だって、教えてはくれないだろう。
「…で、お前はそれに何て答えたんだ」
逢坂の顔は、若干蒼褪めているようにも見える。居酒屋の照明はちょっと薄暗いので、はっきりとは分からないが。
「央に胸がないから付き合わないわけじゃない、て。そりゃそうだろ? 別に俺、胸目当てで女と付き合ってるわけじゃないし」
「まぁ…、そうだな」
逢坂はぐったりと背凭れに体を預けた。板屋越は、先ほど作った微妙な笑顔のままでいる。同い年のはずなのに、この数分の間に、板屋越は随分老け込んだように見える。
「央…、いくつだったっけ? 16?」
「17」
「何か…、日本の将来に絶望しか感じないんだけど…」
日本のすべての17歳がこうではないだろうけれど、身近にこんな高校生がいたら、絶望を感じざるを得ない。逢坂は遠い目をするが、自分のクラスにいる板屋越のやるせなさのほうが大きいだろう。
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どういった経緯で、央がこんなことを槇村に聞こうと思ったのか、青少年の健全な育成のためにも十分に検討する必要があるが、それよりも、純平はどうしてこんなことを平気で引き受け、槇村に質問したのだろう。どうにもこうにも、あの兄弟は歪んでいる。
「何で央はそんなこと…」
逢坂は頭を抱えながら、質問を重ねて来た。板屋越は固まったままだ。槇村は時々央のことを板屋越に話すけれど、央の学校での様子はよく知らない。だから、今板屋越が受けているであろう衝撃のほどは、分かりかねた。
「男より女のほうがいいと思ってても、付き合ってみたら男もいいかも、て思うかもしれないだろ? でも、おっぱいが好きだったら、男のほうがいいとは思わないから、確認したいとか何とか」
「………………」
あのとき純平に言われたことを忠実に伝えると、逢坂は真面目な顔でジッと槇村を見つめたまま、何も言わなかった。人間、本気で絶句すると、こういうことになるのだと、槇村は今初めて知った。
「逢坂…………いや、なつめ、大丈夫か?」
逢坂ももう十分大丈夫ではなさそうだが、先ほどから微動だにしていない板屋越のほうがもっと大丈夫でなさそうだ。
「なつめ?」
「お、おぉ、大丈夫…、大丈夫だ…。何だ、あれだな…。い今どきの高校生はすごいな。そんなん授業で習うのか。おっちゃん、付いてけないわー…」
目の前で手を振ってみたら、板屋越はようやく我に返ったようで、キョドキョドと視線を彷徨わせた。
今どきの高校生事情なら、この中では板屋越が一番詳しいだろうに、どうしても脳が現実逃避したがっているようだ。こんなこと、保健体育の授業だって、教えてはくれないだろう。
「…で、お前はそれに何て答えたんだ」
逢坂の顔は、若干蒼褪めているようにも見える。居酒屋の照明はちょっと薄暗いので、はっきりとは分からないが。
「央に胸がないから付き合わないわけじゃない、て。そりゃそうだろ? 別に俺、胸目当てで女と付き合ってるわけじゃないし」
「まぁ…、そうだな」
逢坂はぐったりと背凭れに体を預けた。板屋越は、先ほど作った微妙な笑顔のままでいる。同い年のはずなのに、この数分の間に、板屋越は随分老け込んだように見える。
「央…、いくつだったっけ? 16?」
「17」
「何か…、日本の将来に絶望しか感じないんだけど…」
日本のすべての17歳がこうではないだろうけれど、身近にこんな高校生がいたら、絶望を感じざるを得ない。逢坂は遠い目をするが、自分のクラスにいる板屋越のやるせなさのほうが大きいだろう。
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