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恋は七転び八起き (45)
2015.10.19 Mon
「それはまぁ断ったんだけど…、そしたら一昨日だよ。純平。アイツ兄ちゃんなんだから、もっと央のこと止めればいいのに、バカだから、何でもかんでも央の言うこと聞くんだよ。で、一昨日、何か聞きたいことあるとか言って、」
「コイツら、1日中追いかけっこしてるからな。槇村、純平に捕まりたくないから、純平が電話してる隙にトイレ行ったり、チャイムと同時に席立ったりして」
一昨日の会社での槇村と純平は、よほど滑稽だったのだろう、笑いながら逢坂が、槇村の話の続きを奪って、板屋越に説明した。
「何だよ、捕まりたくない、て。そんな話したくなかったのか、お前」
「どうせろくなことじゃない、て思ったからな。だってアイツ、そのために、いつもよりめっちゃ早く会社に来てるからな。人に聞かれたくないから。そこまでして純平が話したいことなんて、央絡みに決まってるし。 そんなの絶対いい話じゃないわ。で、俺が一生懸命逃げまくって、やっと帰れると思ったら、コイツだ」
槇村は逢坂を睨んだ。
何とか純平から逃げ切って、帰ろうとしたところで逢坂に行く手を阻まれ、あえなく槇村は純平に捕まったのである。
「何だ逢坂。お前、純平の味方か」
板屋越はお通しをつまみながら、ニヤリと口元を歪めた。
クラス担任として、板屋越は央の親には会ったことはあるが、兄である純平にはまだ会ったことはないのに、槇村と逢坂が純平のことを『純平』と呼ぶので、板屋越も勝手に『純平』と呼んでいる。しかも、2人から聞かされる純平像があまりにもおもしろいので、これまた勝手に親近感を覚えて、旧知の友人のような感覚でいる。
「味方じゃないよ。昼休みに純平に会って、ちょうど槇村に逃げられたとこで、どーしよぉ…てバカみたいに情けない顔してたから、代わりに話聞いてやろうか、て言ったんだど、話の内容、他の人に聞かれたくないから自分で何とかする、て言って」
「で、俺が帰ろうとすんの、逢坂が邪魔するから、結局俺、純平に捕まったんだ」
「だってお前、あんな追いかけっこ、毎日続けるつもりだったの? あの日逃げ切ったって、純平、次の日にまた来たぞ? 一生あんなことしてられないだろ」
「……」
逢坂に尤もなことを言われ、槇村は押し黙った。
それは、あの日言われたのと同じセリフだ。槇村だって、言われなくてもそのくらいのことは分かっている。分かっていても逃げたかった槇村の気持ちも、少しは分かってくれ。
「で、何の話だったんだよ。純平がそこまでして槇村に言いたいことって何だ? どうせ央のことなんだろ?」
槇村のふてた様子を無視して、逢坂が率直に尋ねる。昨日までのあのさり気ない気遣いはどこに行ったんだ、まったくデリカシーがない。これまでの恩をなかったことにして、その頭を引っ叩いてやりたい。
とはいえ、今日の槇村に黙秘権はないから、答えないわけにはいかない。…いかないが、そう簡単に言い出せるものではない。少なくとも、ビールをジョッキ半分飲んだくらいの酔いでは。
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「コイツら、1日中追いかけっこしてるからな。槇村、純平に捕まりたくないから、純平が電話してる隙にトイレ行ったり、チャイムと同時に席立ったりして」
一昨日の会社での槇村と純平は、よほど滑稽だったのだろう、笑いながら逢坂が、槇村の話の続きを奪って、板屋越に説明した。
「何だよ、捕まりたくない、て。そんな話したくなかったのか、お前」
「どうせろくなことじゃない、て思ったからな。だってアイツ、そのために、いつもよりめっちゃ早く会社に来てるからな。人に聞かれたくないから。そこまでして純平が話したいことなんて、央絡みに決まってるし。 そんなの絶対いい話じゃないわ。で、俺が一生懸命逃げまくって、やっと帰れると思ったら、コイツだ」
槇村は逢坂を睨んだ。
何とか純平から逃げ切って、帰ろうとしたところで逢坂に行く手を阻まれ、あえなく槇村は純平に捕まったのである。
「何だ逢坂。お前、純平の味方か」
板屋越はお通しをつまみながら、ニヤリと口元を歪めた。
クラス担任として、板屋越は央の親には会ったことはあるが、兄である純平にはまだ会ったことはないのに、槇村と逢坂が純平のことを『純平』と呼ぶので、板屋越も勝手に『純平』と呼んでいる。しかも、2人から聞かされる純平像があまりにもおもしろいので、これまた勝手に親近感を覚えて、旧知の友人のような感覚でいる。
「味方じゃないよ。昼休みに純平に会って、ちょうど槇村に逃げられたとこで、どーしよぉ…てバカみたいに情けない顔してたから、代わりに話聞いてやろうか、て言ったんだど、話の内容、他の人に聞かれたくないから自分で何とかする、て言って」
「で、俺が帰ろうとすんの、逢坂が邪魔するから、結局俺、純平に捕まったんだ」
「だってお前、あんな追いかけっこ、毎日続けるつもりだったの? あの日逃げ切ったって、純平、次の日にまた来たぞ? 一生あんなことしてられないだろ」
「……」
逢坂に尤もなことを言われ、槇村は押し黙った。
それは、あの日言われたのと同じセリフだ。槇村だって、言われなくてもそのくらいのことは分かっている。分かっていても逃げたかった槇村の気持ちも、少しは分かってくれ。
「で、何の話だったんだよ。純平がそこまでして槇村に言いたいことって何だ? どうせ央のことなんだろ?」
槇村のふてた様子を無視して、逢坂が率直に尋ねる。昨日までのあのさり気ない気遣いはどこに行ったんだ、まったくデリカシーがない。これまでの恩をなかったことにして、その頭を引っ叩いてやりたい。
とはいえ、今日の槇村に黙秘権はないから、答えないわけにはいかない。…いかないが、そう簡単に言い出せるものではない。少なくとも、ビールをジョッキ半分飲んだくらいの酔いでは。
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