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恋は七転び八起き (43)
2015.10.17 Sat
「いや…、今日俺、寝不そ…」
「なつめも来るて言うし。なぁっ」
「はい…」
なつめというのは、2人の幼馴染みであり、央のクラスの担任である板屋越なつめのことだ。彼も交えて3人で飲むことはたまにはあったけれど、今日このタイミングで誘って来るのは、もちろん深い意味があってのことだろう。
槇村は、出来ることならお断りしたかったけれど、今後の自分の身の上を考えると、そうも出来ず、大人しく逢坂の後を付いていった。
逢坂が向かったのは駅前の居酒屋のチェーン店で、席に通されると、そこにはもう板屋越がいたので、槇村は転けそうになった。
ここは、槇村と逢坂の会社から最寄りの駅前であり、板屋越が勤務する高校からは電車に乗る必要がある。槇村たちもそこそこ早い時間に会社を出て来たはずなのに、どうして板屋越のほうが早く着いているのだ。
「お前…、生徒よりも早く学校出て来てるんじゃないのか?」
呆れつつも、槇村は席に着いたが、逢坂が板屋越の横に座ったのに気付き、しまった、と思った。別に自分が板屋越の隣に座りたかったとか、そういうことではない。向かいに2人が座ると、これから始まるであろう話の内容からして、完全に槇村が一方的に責められることになる。
しかし、今さら席替えも要求できず、槇村は大人しくしていた。
「ホントだよ、お前、どんだけ早いんだ」
「俺が早いんじゃない、お前らが遅いんだろ。俺、1人でめっちゃ恥ずかしかったんだからな」
逢坂にもからかわれ、板屋越はメニューで顔を半分くらい隠しながら、ボソボソと言った。今の時代、『おひとりさま』やら『一人○○』が流行っているけれど、板屋越の性格からして、一人居酒屋はだいぶハードルの高いことだったようだ。
「槇村がもたもたしてるから」
「もたもたて……だから俺は今日、早く帰りたかっ…」
「何?」
「…何でもないです」
逢坂のヒドい言いように槇村はわずかばかり反論したが、ギロリと睨まれ、あっさり引き下がった。
「何だ槇村、随分と元気そうだな。安心したわ」
「いや、どこがだ。ベタな突っ込みだけど、ホント」
朝の死に掛けたような状態からすれば、今はもう大分増しにはなっているが、どこをどう見ても、絶対に安心できるような元気さはないはずだ。悪いが、板屋越の嫌みに付き合ってやれるほどまでには、回復していない。
「そんで、何頼む? とりあえずビールか?」
「いや、俺、今日はホントに酒は…」
「何だ。酔わなきゃ、話せないこともいっぱいあるだろ?」
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「なつめも来るて言うし。なぁっ」
「はい…」
なつめというのは、2人の幼馴染みであり、央のクラスの担任である板屋越なつめのことだ。彼も交えて3人で飲むことはたまにはあったけれど、今日このタイミングで誘って来るのは、もちろん深い意味があってのことだろう。
槇村は、出来ることならお断りしたかったけれど、今後の自分の身の上を考えると、そうも出来ず、大人しく逢坂の後を付いていった。
逢坂が向かったのは駅前の居酒屋のチェーン店で、席に通されると、そこにはもう板屋越がいたので、槇村は転けそうになった。
ここは、槇村と逢坂の会社から最寄りの駅前であり、板屋越が勤務する高校からは電車に乗る必要がある。槇村たちもそこそこ早い時間に会社を出て来たはずなのに、どうして板屋越のほうが早く着いているのだ。
「お前…、生徒よりも早く学校出て来てるんじゃないのか?」
呆れつつも、槇村は席に着いたが、逢坂が板屋越の横に座ったのに気付き、しまった、と思った。別に自分が板屋越の隣に座りたかったとか、そういうことではない。向かいに2人が座ると、これから始まるであろう話の内容からして、完全に槇村が一方的に責められることになる。
しかし、今さら席替えも要求できず、槇村は大人しくしていた。
「ホントだよ、お前、どんだけ早いんだ」
「俺が早いんじゃない、お前らが遅いんだろ。俺、1人でめっちゃ恥ずかしかったんだからな」
逢坂にもからかわれ、板屋越はメニューで顔を半分くらい隠しながら、ボソボソと言った。今の時代、『おひとりさま』やら『一人○○』が流行っているけれど、板屋越の性格からして、一人居酒屋はだいぶハードルの高いことだったようだ。
「槇村がもたもたしてるから」
「もたもたて……だから俺は今日、早く帰りたかっ…」
「何?」
「…何でもないです」
逢坂のヒドい言いように槇村はわずかばかり反論したが、ギロリと睨まれ、あっさり引き下がった。
「何だ槇村、随分と元気そうだな。安心したわ」
「いや、どこがだ。ベタな突っ込みだけど、ホント」
朝の死に掛けたような状態からすれば、今はもう大分増しにはなっているが、どこをどう見ても、絶対に安心できるような元気さはないはずだ。悪いが、板屋越の嫌みに付き合ってやれるほどまでには、回復していない。
「そんで、何頼む? とりあえずビールか?」
「いや、俺、今日はホントに酒は…」
「何だ。酔わなきゃ、話せないこともいっぱいあるだろ?」
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