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恋は七転び八起き (39)
2015.10.13 Tue
「…おはようございます」
そんな逢坂と違って、いつもとはまったく違った様子で現れたのは純平だ。恐ろしく暗い顔をしている。槇村と目が合った瞬間、ごまかしようのないくらいあからさまに顔を背けた。
理由なら聞かなくても分かる。央だ。
央がどこまで純平に話をしたかは分からないが、何も言わなくても、態度で何かあったことは気付くだろう。そして、央がそんなふうになる原因は槇村しかないことは、今までのことから、純平ならすぐに分かるはずだ。
「槇村! お前、もっとしゃっきりしろ! 純平まで気ぃ遣ってるぞ!」
バシッと槇村の背中を叩いて、逢坂は笑いながら去っていく。
いつもなら槇村に絡みまくりの純平が、今日は朝からこの調子では、昨日までのこともあって、また同僚らに変に思われる。寝不足の槇村に気を遣って静かなのだと思わせておけばいいと考えたのだろう。
また、逢坂に助けられた。
視線を感じて顔を上げると、曖昧な笑顔の純平と目が合った。一応純平も、逢坂の考えを汲み取ったらしい。
大人というのは、実に面倒くさいものだ。こんなときでも、こんな状態でも、いつもどおりを装わないといけないのだから。何も考えずに突っ走っていたころに戻りたい。そうすれば、何を気にすることなく、央とだって付き合えただろうに。
いつも分かっていてわざと無神経な言葉を投げ掛ける七海でさえ、今日の央には声を掛けることすら出来なかった。そのくらい、央は死にそうな顔をしていた。よくこんな状態で、休まず登校したものだ。加えて、圭人までもそんな顔をしているものだから、昨日一体何があったのか、七海は聞くに聞けないでいる。
2人の様子からして、決していい結果ではなかったのは分かるが、央のこの落ち込みようを見ると、単にいつものように断られただけとも思いにくい。圭人もこれだけ凹んでいるし。
しかし、今さら何があったというのか、七海にはちょっと想像が付かない。振られてから3日でまたやって来た央に腹を立てたとしても、相手はもう8回も告白して来た男だ。ここで切れるなら、もっと前に切れていた気がする。
「おぅ、おぅ、おはよーさん」
普段なら、担任の板屋越が教室に来るまで、くだらない話で盛り上がっている3人だが(何も、央の槇村話とは限らない。3人はそれ以外の話だって、もちろんするのだ)、今日は大人しくそれぞれの席に着いていた。
板屋越はよく分からないテンションで、変な挨拶をしながら入って来た。どうしてそんなおっさんくさい挨拶をするのか分からないが、時々こういうことがある。
出席簿を開いて、グルリと教室を見回して、板屋越の出欠確認は終わる。後は、連絡事項をいくつか。いつもどおりの光景だ。
淡々と話は済んで、板屋越は教室を出て行こうとしたが、教壇の前を離れたところで、ふと生徒のほうを振り返った。まだ何か話があるのだろうかと、私語が始まりそうだった教室が、再び静かになる。
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そんな逢坂と違って、いつもとはまったく違った様子で現れたのは純平だ。恐ろしく暗い顔をしている。槇村と目が合った瞬間、ごまかしようのないくらいあからさまに顔を背けた。
理由なら聞かなくても分かる。央だ。
央がどこまで純平に話をしたかは分からないが、何も言わなくても、態度で何かあったことは気付くだろう。そして、央がそんなふうになる原因は槇村しかないことは、今までのことから、純平ならすぐに分かるはずだ。
「槇村! お前、もっとしゃっきりしろ! 純平まで気ぃ遣ってるぞ!」
バシッと槇村の背中を叩いて、逢坂は笑いながら去っていく。
いつもなら槇村に絡みまくりの純平が、今日は朝からこの調子では、昨日までのこともあって、また同僚らに変に思われる。寝不足の槇村に気を遣って静かなのだと思わせておけばいいと考えたのだろう。
また、逢坂に助けられた。
視線を感じて顔を上げると、曖昧な笑顔の純平と目が合った。一応純平も、逢坂の考えを汲み取ったらしい。
大人というのは、実に面倒くさいものだ。こんなときでも、こんな状態でも、いつもどおりを装わないといけないのだから。何も考えずに突っ走っていたころに戻りたい。そうすれば、何を気にすることなく、央とだって付き合えただろうに。
央・圭人・七海
いつも分かっていてわざと無神経な言葉を投げ掛ける七海でさえ、今日の央には声を掛けることすら出来なかった。そのくらい、央は死にそうな顔をしていた。よくこんな状態で、休まず登校したものだ。加えて、圭人までもそんな顔をしているものだから、昨日一体何があったのか、七海は聞くに聞けないでいる。
2人の様子からして、決していい結果ではなかったのは分かるが、央のこの落ち込みようを見ると、単にいつものように断られただけとも思いにくい。圭人もこれだけ凹んでいるし。
しかし、今さら何があったというのか、七海にはちょっと想像が付かない。振られてから3日でまたやって来た央に腹を立てたとしても、相手はもう8回も告白して来た男だ。ここで切れるなら、もっと前に切れていた気がする。
「おぅ、おぅ、おはよーさん」
普段なら、担任の板屋越が教室に来るまで、くだらない話で盛り上がっている3人だが(何も、央の槇村話とは限らない。3人はそれ以外の話だって、もちろんするのだ)、今日は大人しくそれぞれの席に着いていた。
板屋越はよく分からないテンションで、変な挨拶をしながら入って来た。どうしてそんなおっさんくさい挨拶をするのか分からないが、時々こういうことがある。
出席簿を開いて、グルリと教室を見回して、板屋越の出欠確認は終わる。後は、連絡事項をいくつか。いつもどおりの光景だ。
淡々と話は済んで、板屋越は教室を出て行こうとしたが、教壇の前を離れたところで、ふと生徒のほうを振り返った。まだ何か話があるのだろうかと、私語が始まりそうだった教室が、再び静かになる。
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