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チャンス (後編)
2008.09.23 Tue
「う゛ー…」
翌朝、海晴さんを起こさないように部屋を片付けていた俺は、海晴さんの奇声に手を止めた。
「海晴さん?」
眉間にシワを寄せて、海晴さんはゴシゴシ目をこすってる。
「んー、う゛ー」
「海晴さん? 具合悪いの?」
海晴さんの寝起きの悪さはよく知っている。
単に覚醒してないだけかもしれないが、昨日の海晴さんの飲酒量を思うと、二日酔いで苦しいという可能性のほうが高い。
「頭痛ぇ…」
ムクッと起き上がった海晴さんは、キョロキョロしてどうやらここが自分の家でないことに気が付いたらしい。
「え? アサノ? あれ?」
「おはよ、海晴さん」
「おはよ…って、そうじゃなくて、え、何で? ここお前んち?」
「昨日の夜中、酔っ払ってきたでしょ? 覚えてないの?」
「覚えてない…」
ま、あれだけ酔っ払ってれば、無理ないか。
「俺、何でここ来たんだっけ…」
ガリガリ頭を掻きながら、海晴さんはまだ床にへたり込んでる。
「言っていいの?」
「何?」
「いいの?」
「…いいけど」
「振られたからでしょ? 8つ年上の人妻に」
俺は海晴さん前に身を屈めた。
「何で知って…」
あ、振られたことは覚えてんだ。
「だって海晴さん、俺んち来てずっとくだ巻いてたじゃん」
「マジー? 最悪」
海晴さんは心底嫌そうな顔をする。年下の俺に、みっともないトコを見せたから。
年下。
「ゴメンなー」
「別にいいけど…よくここ分かったね。前、1回来ただけなのに」
「何となくな」
それもだいぶ前、引越ししたばっかりのころで、俺も道順怪しくて、結構遠回りした気がするのに。
「何か食う?」
「いらね」
「水は?」
「飲む」
俺はゴミ袋を部屋の隅に放ると、冷蔵庫のよく冷えたミネラルウォーターをグラスに注いだ。
「サンキュ」
海晴さんは受け取った水を一気に飲み干す。俺はその様子を見ているだけ。
「ねぇ海晴さん」
「ん?」
「そんなに年上、好きなん?」
「何だよ、急に」
夕べの出来事が蘇ったのか、海晴さんは顔を顰めた。
「好き? 年上の人」
「別にー、大人だし、楽だから。…ふん、ガキンチョのお前には分かんねぇよ」
苛々させる原因に、海晴さんは容赦なかった。
海晴さんは、今一番俺の嫌がる言葉をサラッと吐いて、「もう1杯」と空のグラスを俺のほうに差し出してる。
「ガキンチョって…」
俺はグラスじゃなくて、海晴さんの手首を掴んだ。
「何だよ」
「俺だって、もう子どもじゃないんだけど」
グイッと海晴さんの腕を引いて、2人の距離を詰める。
「アサっ…」
慌てる海晴さんを無視して、俺はその距離をゼロにした。
合わせた唇は冷たくて、アルコールの味がした。
「んっ…やめ…、何すんだよ、バカッ!」
「ゲホッ…ってー…」
もがいていた海晴さんに思いっ切り腹を蹴っ飛ばされ、俺は咳き込みながら海晴さんから手を離した。
「何すんの…」
「そりゃこっちのセリフだよ! お前何しやがんだ!」
口元を押さえて、海晴さんは耳まで真っ赤にしてる。いくら相手が男だからって、キスくらいでそこまでの反応しなくたっていいのに。
「今さらキスくらいで、腹蹴っ飛ばされるなんて思わなかった」
「何開き直ってんだよ! いきなりキスしといて!」
反省の色なんか全然ない俺に、海晴さんは文句を捲くし立てる。
「だってしたかったんだもん」
「したかったって…お前なぁ」
何を言ってもきかないと諦めたのか、海晴さんは溜め息をつけてソファに背中を預けた。
「したかったの、海晴さんとキス」
「うるせぇ、クソガキ」
伸ばした手をパシッと叩き、海晴さんは「ドーブツ!」とか「ケダモノ!」とか喚いてる。
やっぱり海晴さんにとって、俺はまだまだガキでしかないのかな。
そりゃ、"したいからしました"でキスするような男は、ただのガキか動物でしかないかもしれないけど…。
「お前、俺にキスしたからには、ちゃんと責任取れよ?」
「え?」
「ちゃーんと責任取れっつってんの」
体を起こして、海晴さんはグッと俺のほうに詰め寄った。
「せきに―――んっ…!?」
わけが分からない…って思ってたら、急に海晴さんに唇を塞がれて。さっき俺がしたのよりも、ずっとずっと深いキス。舌を絡められて。
「ん…」
唇が離れると、海晴さんはニヤリと笑って見せた。
「本気になってガキじゃねぇって証拠、見せてみな?」
「言ったなー。後悔しても知らないよ?」
「お前こそ、うかうかしてると、俺、逃げてっちゃうよ?」
「絶対逃がさない」
このチャンスだけは、絶対に逃せない。
翌朝、海晴さんを起こさないように部屋を片付けていた俺は、海晴さんの奇声に手を止めた。
「海晴さん?」
眉間にシワを寄せて、海晴さんはゴシゴシ目をこすってる。
「んー、う゛ー」
「海晴さん? 具合悪いの?」
海晴さんの寝起きの悪さはよく知っている。
単に覚醒してないだけかもしれないが、昨日の海晴さんの飲酒量を思うと、二日酔いで苦しいという可能性のほうが高い。
「頭痛ぇ…」
ムクッと起き上がった海晴さんは、キョロキョロしてどうやらここが自分の家でないことに気が付いたらしい。
「え? アサノ? あれ?」
「おはよ、海晴さん」
「おはよ…って、そうじゃなくて、え、何で? ここお前んち?」
「昨日の夜中、酔っ払ってきたでしょ? 覚えてないの?」
「覚えてない…」
ま、あれだけ酔っ払ってれば、無理ないか。
「俺、何でここ来たんだっけ…」
ガリガリ頭を掻きながら、海晴さんはまだ床にへたり込んでる。
「言っていいの?」
「何?」
「いいの?」
「…いいけど」
「振られたからでしょ? 8つ年上の人妻に」
俺は海晴さん前に身を屈めた。
「何で知って…」
あ、振られたことは覚えてんだ。
「だって海晴さん、俺んち来てずっとくだ巻いてたじゃん」
「マジー? 最悪」
海晴さんは心底嫌そうな顔をする。年下の俺に、みっともないトコを見せたから。
年下。
「ゴメンなー」
「別にいいけど…よくここ分かったね。前、1回来ただけなのに」
「何となくな」
それもだいぶ前、引越ししたばっかりのころで、俺も道順怪しくて、結構遠回りした気がするのに。
「何か食う?」
「いらね」
「水は?」
「飲む」
俺はゴミ袋を部屋の隅に放ると、冷蔵庫のよく冷えたミネラルウォーターをグラスに注いだ。
「サンキュ」
海晴さんは受け取った水を一気に飲み干す。俺はその様子を見ているだけ。
「ねぇ海晴さん」
「ん?」
「そんなに年上、好きなん?」
「何だよ、急に」
夕べの出来事が蘇ったのか、海晴さんは顔を顰めた。
「好き? 年上の人」
「別にー、大人だし、楽だから。…ふん、ガキンチョのお前には分かんねぇよ」
苛々させる原因に、海晴さんは容赦なかった。
海晴さんは、今一番俺の嫌がる言葉をサラッと吐いて、「もう1杯」と空のグラスを俺のほうに差し出してる。
「ガキンチョって…」
俺はグラスじゃなくて、海晴さんの手首を掴んだ。
「何だよ」
「俺だって、もう子どもじゃないんだけど」
グイッと海晴さんの腕を引いて、2人の距離を詰める。
「アサっ…」
慌てる海晴さんを無視して、俺はその距離をゼロにした。
合わせた唇は冷たくて、アルコールの味がした。
「んっ…やめ…、何すんだよ、バカッ!」
「ゲホッ…ってー…」
もがいていた海晴さんに思いっ切り腹を蹴っ飛ばされ、俺は咳き込みながら海晴さんから手を離した。
「何すんの…」
「そりゃこっちのセリフだよ! お前何しやがんだ!」
口元を押さえて、海晴さんは耳まで真っ赤にしてる。いくら相手が男だからって、キスくらいでそこまでの反応しなくたっていいのに。
「今さらキスくらいで、腹蹴っ飛ばされるなんて思わなかった」
「何開き直ってんだよ! いきなりキスしといて!」
反省の色なんか全然ない俺に、海晴さんは文句を捲くし立てる。
「だってしたかったんだもん」
「したかったって…お前なぁ」
何を言ってもきかないと諦めたのか、海晴さんは溜め息をつけてソファに背中を預けた。
「したかったの、海晴さんとキス」
「うるせぇ、クソガキ」
伸ばした手をパシッと叩き、海晴さんは「ドーブツ!」とか「ケダモノ!」とか喚いてる。
やっぱり海晴さんにとって、俺はまだまだガキでしかないのかな。
そりゃ、"したいからしました"でキスするような男は、ただのガキか動物でしかないかもしれないけど…。
「お前、俺にキスしたからには、ちゃんと責任取れよ?」
「え?」
「ちゃーんと責任取れっつってんの」
体を起こして、海晴さんはグッと俺のほうに詰め寄った。
「せきに―――んっ…!?」
わけが分からない…って思ってたら、急に海晴さんに唇を塞がれて。さっき俺がしたのよりも、ずっとずっと深いキス。舌を絡められて。
「ん…」
唇が離れると、海晴さんはニヤリと笑って見せた。
「本気になってガキじゃねぇって証拠、見せてみな?」
「言ったなー。後悔しても知らないよ?」
「お前こそ、うかうかしてると、俺、逃げてっちゃうよ?」
「絶対逃がさない」
このチャンスだけは、絶対に逃せない。
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COMMENT-FORM
りり ⇒ 如月さま、おはようございます
おぉうアサノくん!
大人への階段を…!!
>このチャンスだけは、絶対に逃せない。
必ずやものにしてくださいませ!!
大人なんだけど~誘い受け~ていうのが
わたしもすごく好きです。
んんん、続きが読みたくなってしまう♪
大人への階段を…!!
>このチャンスだけは、絶対に逃せない。
必ずやものにしてくださいませ!!
大人なんだけど~誘い受け~ていうのが
わたしもすごく好きです。
んんん、続きが読みたくなってしまう♪
柚子季@携帯 ⇒
あぁぁあぁぁぁあ~!絶妙っす!(≧▼≦)
今日も悶えました(笑)
何気に誘っちゃってますねぇ♪
あぁぁあぁぁぁあ~~~くぅぅぅ!!
ハァハァ、悶え疲れ起こしそ(´∀`*)ニヤニヤ
今日も悶えました(笑)
何気に誘っちゃってますねぇ♪
あぁぁあぁぁぁあ~~~くぅぅぅ!!
ハァハァ、悶え疲れ起こしそ(´∀`*)ニヤニヤ
如月久美子 ⇒ >りりさん
まさに自分の萌を吐き出す、この祭り。
年上なのに年上っぽくない+誘い受。
私以外に萌えてくれる人がいて、ちょっぴり安心しました(笑)
何か続きそうな雰囲気のお話になっちゃいましたね。
気が向いたら書くかもしれません。。。
コメントありがとうございました!
年上なのに年上っぽくない+誘い受。
私以外に萌えてくれる人がいて、ちょっぴり安心しました(笑)
何か続きそうな雰囲気のお話になっちゃいましたね。
気が向いたら書くかもしれません。。。
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
無意識に誘い受を書いている私……重症かも。
悶え疲れ。
この言葉、いいですね(笑)
私も毎日、柚子季さんとこで悶え疲れです~~~。
コメントありがとうございました!
悶え疲れ。
この言葉、いいですね(笑)
私も毎日、柚子季さんとこで悶え疲れです~~~。
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ 拍手コメ→Mさま
1記事あたりの分量は、いつも悩んじゃうんですが、そう言ってもらえると本当にうれしいです!
短編祭り、名前に偽らないよう、なるべく1話完結で頑張りたいと思いますんで、また遊びに来てくださいね!
拍手&コメントありがとうございました!
短編祭り、名前に偽らないよう、なるべく1話完結で頑張りたいと思いますんで、また遊びに来てくださいね!
拍手&コメントありがとうございました!