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恋は七転び八起き (23)
2015.09.27 Sun
「…で、何だって? ――――いや、ここで言うな。黙れ。喋るな」
改めて話を聞こうとして、そういえば純平が切り出したのはとんでもない話題だったことを思い出し、口を開き掛けた純平を、槇村は慌てて制した。いくら純平でも、今のを教訓に、声は潜めて喋るだろうけど、念には念を入れておかないと。
「とりあえず人のいな…」
「喋るな」
「…はい」
ひと気のないところに、と最初と同じことを言おうとした純平を、槇村はすぐに遮る。純平は、分かりやすくシュンとしてみせるけれど、別にかわいくも何ともない。
純平の言い分は分かったが、会社の中でひと気のない場所なんて……いや、なくもないが、終業後に槇村と純平の2人でそんなところに向かうのは怪しすぎるので、遠慮しておきたい。
とはいえ、こんなところでコソコソと喋っているのも、絶対におかしい。少なくとも、会社の人間の目に付きたくはない。
「なら、家来る?」
「何でだ」
「だって…、俺が槇村くんち行くのは嫌でしょ?」
黙れと言っているのに喋り出す純平の提案に、槇村は眉を寄せた。
確かに純平に家に来られるのも嫌だが、純平の家に行くのだって嫌だ。そもそも、1人暮らしの槇村と違って純平は実家暮らしで、まぁ自室に行けば家族に話は聞かれないだろうけれど、気分的に嫌だ。第一、純平の家に行けば、央がいるではないか。
「…とりあえず、外出るか」
会社の中でひと気のないところに行ったら、シンと静まり返っていて、逆に声が響きそうだから、いっそ外に出て、雑踏の中とか、ざわついたところで話をしたほうがいいのかもしれない、そう思って槇村は歩き出す。
絶対に家には来てほしくないし、純平の家にも行きたくないから、駅までの間に話は終わらせてやる。
「それで、何だったんだ、さっきのは」
「何、て……だから、槇村くんへの質問…。その……まぁ、好きかどうか」
「お前…、俺にそれ聞いて、何て答えてほしいんだ」
「『好きじゃない』」
「…………」
別に槇村は本当に、純平が槇村に答えてもらいたがっていることを聞きたかったわけではない。何でそんなことを聞いて来るのかについて、たっぷりの嫌味を込めて言っただけなのに。
「…言い方変えるな。何でお前、そんなこと知りたいんだ。知ってどうすんだ」
「央ちゃんに教えます」
「やっぱり央か…」
朝、純平に声を掛けられたときから想像はしていたが、やはり純平がこんなふうに槇村に近寄って来るときは、央が噛んでいるのだ。
槇村は溜め息とともに、頭を抱えた。央のことに関しては、いくら溜め息をついてもつき切れない。央をちゃんと教育しろと言ったのは、つい昨日のことのはずだが。
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改めて話を聞こうとして、そういえば純平が切り出したのはとんでもない話題だったことを思い出し、口を開き掛けた純平を、槇村は慌てて制した。いくら純平でも、今のを教訓に、声は潜めて喋るだろうけど、念には念を入れておかないと。
「とりあえず人のいな…」
「喋るな」
「…はい」
ひと気のないところに、と最初と同じことを言おうとした純平を、槇村はすぐに遮る。純平は、分かりやすくシュンとしてみせるけれど、別にかわいくも何ともない。
純平の言い分は分かったが、会社の中でひと気のない場所なんて……いや、なくもないが、終業後に槇村と純平の2人でそんなところに向かうのは怪しすぎるので、遠慮しておきたい。
とはいえ、こんなところでコソコソと喋っているのも、絶対におかしい。少なくとも、会社の人間の目に付きたくはない。
「なら、家来る?」
「何でだ」
「だって…、俺が槇村くんち行くのは嫌でしょ?」
黙れと言っているのに喋り出す純平の提案に、槇村は眉を寄せた。
確かに純平に家に来られるのも嫌だが、純平の家に行くのだって嫌だ。そもそも、1人暮らしの槇村と違って純平は実家暮らしで、まぁ自室に行けば家族に話は聞かれないだろうけれど、気分的に嫌だ。第一、純平の家に行けば、央がいるではないか。
「…とりあえず、外出るか」
会社の中でひと気のないところに行ったら、シンと静まり返っていて、逆に声が響きそうだから、いっそ外に出て、雑踏の中とか、ざわついたところで話をしたほうがいいのかもしれない、そう思って槇村は歩き出す。
絶対に家には来てほしくないし、純平の家にも行きたくないから、駅までの間に話は終わらせてやる。
「それで、何だったんだ、さっきのは」
「何、て……だから、槇村くんへの質問…。その……まぁ、好きかどうか」
「お前…、俺にそれ聞いて、何て答えてほしいんだ」
「『好きじゃない』」
「…………」
別に槇村は本当に、純平が槇村に答えてもらいたがっていることを聞きたかったわけではない。何でそんなことを聞いて来るのかについて、たっぷりの嫌味を込めて言っただけなのに。
「…言い方変えるな。何でお前、そんなこと知りたいんだ。知ってどうすんだ」
「央ちゃんに教えます」
「やっぱり央か…」
朝、純平に声を掛けられたときから想像はしていたが、やはり純平がこんなふうに槇村に近寄って来るときは、央が噛んでいるのだ。
槇村は溜め息とともに、頭を抱えた。央のことに関しては、いくら溜め息をついてもつき切れない。央をちゃんと教育しろと言ったのは、つい昨日のことのはずだが。
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