スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
恋は七転び八起き (21)
2015.09.24 Thu
「ちょっ逢坂、お前何だ、退けよっ」
事務室の出入口のところに仁王立ちしている逢坂は、まさに仁王のような顔をしていて、なるほど、仁王立ちという言葉の意味をすごく分かりやすく教えてくれている。いや、逢坂はそんな説明のために立っているわけではなく、帰ろうとする槇村を逃がすまいと、先回りしてそこにいてくれているのだ。
昼休みに純平から話を聞いた逢坂は、どうせ純平がこのチャンスを逃し、槇村に逃げられるであろうことを分かっていたようだ。鈍感ではあるが、頭の回転は速い男だ。もしかして昼休み明けに目が合ったのは、これを示唆していたのだろうか。
「おい、ちょっ、逢坂! 何だお前ら組んでたのかっ!?」
「知らねぇよ」
「知らないことないだろ、だったら退けよ!」
「言われなくても退くわ」
力尽くで通り抜けるには、槇村は逢坂に対して腕力が足りないし、それ以前に、いい大人がこんなところでそんな小競り合いをするのは、大変みっともない…と槇村が悩むより先に、意外にも逢坂はあっさりとそこを退いた。何だ、そんなことなら、さっさと退いてくれればよかったのに。
「槇村くん、ちょっと話があるんだけど」
「!」
一体何だったんだ、どういうつもりなんだ、と逢坂に詰め寄ろうか、いや、それよりも早く帰らなければ、と槇村が逢坂の横を通り抜けようとしたところで、背後からポンと肩を叩かれた。純平だ。
槇村はギギギ…と油の切れたロボットのように、ゆっくりと後ろを振り返った。途中、満足げな逢坂の顔が視界に入り、やはり純平のためにそこにいたのだと知る。純平が間に合ったからこそ、逢坂はあっさりと退いてくれたのだ。
「いい加減に諦めろ、槇村。これから一生、こんなことしてられないんだぞ」
「ッ…」
諭すように逢坂に言われ、槇村は言葉を詰まらせる。確かに今この場を凌いでも、明日がある。明後日もある。その次も。まぁ土日はいいとして、同じ会社、同じ部署で働いている以上、これから先ずっと、今日のようなことをしていられないことは槇村だって分かってはいる。分かってはいるが、出来る限りのことはしたいと思ったのだ。
「じゃあ、ゆっくり話聞いてやれよ?」
「お疲れ様でした! さ、行きましょ、槇村くん」
逃げられないよう、純平はガシッと槇村と肩を組み、連れ立って歩く。背後の事務室からは、「アイツら見習って、俺らも早く帰るぞ」という逢坂の声がする。
「…おい純平、逃げないから、離れろ」
「話聞いてくれるまで、離しません」
「なら、早く話せ。おかしいだろ、何でお前と肩組んで帰らないといけないんだ」
槇村はチャイムと同時に席は立ったが、逢坂に足止めされたせいで、多少遅くなった。そのせいで廊下には、他課の社員もちらほらと姿を現していて、そんな中を純平と2人、肩を組んで歩いている姿は、はっきり言って異様だ。
back next
事務室の出入口のところに仁王立ちしている逢坂は、まさに仁王のような顔をしていて、なるほど、仁王立ちという言葉の意味をすごく分かりやすく教えてくれている。いや、逢坂はそんな説明のために立っているわけではなく、帰ろうとする槇村を逃がすまいと、先回りしてそこにいてくれているのだ。
昼休みに純平から話を聞いた逢坂は、どうせ純平がこのチャンスを逃し、槇村に逃げられるであろうことを分かっていたようだ。鈍感ではあるが、頭の回転は速い男だ。もしかして昼休み明けに目が合ったのは、これを示唆していたのだろうか。
「おい、ちょっ、逢坂! 何だお前ら組んでたのかっ!?」
「知らねぇよ」
「知らないことないだろ、だったら退けよ!」
「言われなくても退くわ」
力尽くで通り抜けるには、槇村は逢坂に対して腕力が足りないし、それ以前に、いい大人がこんなところでそんな小競り合いをするのは、大変みっともない…と槇村が悩むより先に、意外にも逢坂はあっさりとそこを退いた。何だ、そんなことなら、さっさと退いてくれればよかったのに。
「槇村くん、ちょっと話があるんだけど」
「!」
一体何だったんだ、どういうつもりなんだ、と逢坂に詰め寄ろうか、いや、それよりも早く帰らなければ、と槇村が逢坂の横を通り抜けようとしたところで、背後からポンと肩を叩かれた。純平だ。
槇村はギギギ…と油の切れたロボットのように、ゆっくりと後ろを振り返った。途中、満足げな逢坂の顔が視界に入り、やはり純平のためにそこにいたのだと知る。純平が間に合ったからこそ、逢坂はあっさりと退いてくれたのだ。
「いい加減に諦めろ、槇村。これから一生、こんなことしてられないんだぞ」
「ッ…」
諭すように逢坂に言われ、槇村は言葉を詰まらせる。確かに今この場を凌いでも、明日がある。明後日もある。その次も。まぁ土日はいいとして、同じ会社、同じ部署で働いている以上、これから先ずっと、今日のようなことをしていられないことは槇村だって分かってはいる。分かってはいるが、出来る限りのことはしたいと思ったのだ。
「じゃあ、ゆっくり話聞いてやれよ?」
「お疲れ様でした! さ、行きましょ、槇村くん」
逃げられないよう、純平はガシッと槇村と肩を組み、連れ立って歩く。背後の事務室からは、「アイツら見習って、俺らも早く帰るぞ」という逢坂の声がする。
「…おい純平、逃げないから、離れろ」
「話聞いてくれるまで、離しません」
「なら、早く話せ。おかしいだろ、何でお前と肩組んで帰らないといけないんだ」
槇村はチャイムと同時に席は立ったが、逢坂に足止めされたせいで、多少遅くなった。そのせいで廊下には、他課の社員もちらほらと姿を現していて、そんな中を純平と2人、肩を組んで歩いている姿は、はっきり言って異様だ。
back next
- 関連記事
-
- 恋は七転び八起き (22) (2015/09/26)
- 恋は七転び八起き (21) (2015/09/24)
- 恋は七転び八起き (20) (2015/09/23)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:恋は七転び八起き