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恋は七転び八起き (20)
2015.09.23 Wed
「あぁ~…どうしよぉ~、逢坂くぅ~ん…」
「甘えんな、気色悪い。まぁとりあえず飯行くか? どうせ昼休み終わるまで槇村も戻って来ないだろ。それとも、電話してみるか?」
「いや、いいよ。どうせ切られる」
「それもそうか」
純平のスマホで掛ければ、槇村はそもそも電話に出ないだろうし、逢坂に掛けてもらっても、純平に代わった途端に電話を切られそうだ。槇村がどこに行ったか分からない以上、昼休みのうちに探し出すのは難しいから、ひとまずここは自分も昼食に行くことにする。
どうせ槇村は、朝と同じくチャイムと同時に戻って来るだろうし、仕事中に純平と2人きりにならないよう気を付けるだろうから、チャンスは業後だ。
「ホントお前もしょーがないヤツだなぁ」
「え、僕がしょうがないん?」
央でもなく、槇村でもなく、純平のことをしょうがないヤツだと言う逢坂に、純平はムッとはせず、逆に困ったように眉を下げた。
兄がこんなだから、弟の央があんなふうになったのだ、と言うことなのだろう。槇村にもよく言われる。まだ両親も健在で、共に暮らしているのだから、そういうことは両親に言ってもらいたいところだが、一回りも年の離れた兄弟なのだから、もう少し弟に対してビシッとした態度を取れと言いたいのだろう。
「ホント俺、しょうがないなぁ」
「何自分で言ってんだ。分かってるなら、ちゃんとしろ」
逢坂の突っ込みを後頭部で受け止めた純平は、さっさと先に行く逢坂の後ろを追い掛けた。
純平の予想どおり、槇村はチャイムと同時に戻って来て、純平のほうを見ることもなく席に着くと、何事もないように仕事を始めた。逢坂はチラリと純平を見たが、特に表情を変えずパソコンに視線を戻した。
案の定、槇村は仕事中、純平と2人きりにならないよう細心の注意を払い、間もなく終業のチャイムが鳴ろうかという今、チャイムと同時に帰れるよう支度をしている。仕事が間に合っているのなら、無駄な残業などせず早く帰るに越したことはないが、今はまさしく純平から逃げるためだろう。
これを逃したら、今日はもうチャンスはない。というか、明日以降もチャンスなんか巡って来ない気がする。純平も後れを取らぬよう、素早く帰り支度を始めたが、パソコンの電源が切れないうちにチャイムが鳴り出し、それと同時に槇村が席を離れた。
「あぁっちょっ!」
とりあえずパソコンは放って槇村を追い掛けようかと思ったが、そこはちゃんとしていかないとマズイと思い直し、純平はその場でジタジタと足踏みをしながら、パソコンの電源が切れるのを待つ。その間にも、槇村は事務室を出て行――――こうとしたところで、行き先を塞がれ、立ち往生していた。
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「甘えんな、気色悪い。まぁとりあえず飯行くか? どうせ昼休み終わるまで槇村も戻って来ないだろ。それとも、電話してみるか?」
「いや、いいよ。どうせ切られる」
「それもそうか」
純平のスマホで掛ければ、槇村はそもそも電話に出ないだろうし、逢坂に掛けてもらっても、純平に代わった途端に電話を切られそうだ。槇村がどこに行ったか分からない以上、昼休みのうちに探し出すのは難しいから、ひとまずここは自分も昼食に行くことにする。
どうせ槇村は、朝と同じくチャイムと同時に戻って来るだろうし、仕事中に純平と2人きりにならないよう気を付けるだろうから、チャンスは業後だ。
「ホントお前もしょーがないヤツだなぁ」
「え、僕がしょうがないん?」
央でもなく、槇村でもなく、純平のことをしょうがないヤツだと言う逢坂に、純平はムッとはせず、逆に困ったように眉を下げた。
兄がこんなだから、弟の央があんなふうになったのだ、と言うことなのだろう。槇村にもよく言われる。まだ両親も健在で、共に暮らしているのだから、そういうことは両親に言ってもらいたいところだが、一回りも年の離れた兄弟なのだから、もう少し弟に対してビシッとした態度を取れと言いたいのだろう。
「ホント俺、しょうがないなぁ」
「何自分で言ってんだ。分かってるなら、ちゃんとしろ」
逢坂の突っ込みを後頭部で受け止めた純平は、さっさと先に行く逢坂の後ろを追い掛けた。
槇村・純平
純平の予想どおり、槇村はチャイムと同時に戻って来て、純平のほうを見ることもなく席に着くと、何事もないように仕事を始めた。逢坂はチラリと純平を見たが、特に表情を変えずパソコンに視線を戻した。
案の定、槇村は仕事中、純平と2人きりにならないよう細心の注意を払い、間もなく終業のチャイムが鳴ろうかという今、チャイムと同時に帰れるよう支度をしている。仕事が間に合っているのなら、無駄な残業などせず早く帰るに越したことはないが、今はまさしく純平から逃げるためだろう。
これを逃したら、今日はもうチャンスはない。というか、明日以降もチャンスなんか巡って来ない気がする。純平も後れを取らぬよう、素早く帰り支度を始めたが、パソコンの電源が切れないうちにチャイムが鳴り出し、それと同時に槇村が席を離れた。
「あぁっちょっ!」
とりあえずパソコンは放って槇村を追い掛けようかと思ったが、そこはちゃんとしていかないとマズイと思い直し、純平はその場でジタジタと足踏みをしながら、パソコンの電源が切れるのを待つ。その間にも、槇村は事務室を出て行――――こうとしたところで、行き先を塞がれ、立ち往生していた。
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