スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
恋は七転び八起き (9)
2015.09.09 Wed
板屋越は、連絡事項を伝達しながら、ふと教室の片隅で視線を止めた。相変わらず央が、机に突っ伏したままでいる。本来ならば教師として、真面目に話を聞け、と注意するところだが、板屋越はおもしろそうに少し目を細めただけで、何も言わなかった。
央がなぜ今そんな状態なのか、板屋越には見当が付くからだ。どうせまた槇村に告白して、振られたに違いない。央が落ち込む原因など、そのくらいしかない。
ちなみに、そこまでの事情を察せられるからといって、板屋越が特別央と親しい仲というではない。板屋越は、槇村と仲がいいのだ。いや、この年齢で仲がいいと言ったら何となく気持ち悪いから言い直す、板屋越は槇村と幼馴染みであり、今も付き合いのある腐れ縁なのだ。
板屋越は前に槇村から、今時の高校生の気持ちがさっぱり分からないから教えてくれと言われて、何事かと思ったら、高校生から告白されたと打ち明けられた。
槇村は見てくれがいいから女にはモテるけれど、高校教師の板屋越と違って高校生と触れ合う機会はそうないはずなのに、一体どこで女子高生なんかと知り合ったのだと詰め寄ったら、女子ではなく男子だと言うし、聞かされた名前は、どう考えても聞き覚えのあるものだったから、板屋越は大変驚愕したのだ。
しかも、もう何回も断っているのに、断っても断っても告白しに来るという。そこまで槇村のことが好きなのか、でもそれってちょっとストーカーぽい…と、それ以来、板屋越はいろいろな意味で央のことを気にしている。
もちろん、気にしていると言っても、央の将来を危惧しているわけではないし、友人たる槇村が高校生に手を出してお縄につかないか心配しているわけでもない。おもしろいことになりそうだと、事の成り行きを生温く見守っているのだ。
(また振られたか、央…)
もう何度目だろうか、板屋越は面倒くさくて数えるのをやめているが、前に槇村から聞いた時点で5回は超えていたはずだ、それなのに懲りもせず槇村のもとへと行く央を、若いなぁと思うし、愚かだとも思う。若さとは愚かしいものだ。
また槇村の愚痴を聞くはめになるのか…と思いつつ、板屋越は教室を後にするのだった。
*****
「央ちゃんてさぁ、もう8回も槇村さんに振られてるわけじゃん? いわば失恋のプロじゃん? なのに、何でいつもそんなに凹むわけ?」
――――昼休み。
3限が終わったところで弁当をすべて食べ終えた七海が、購買で買って来たパンを頬張りながら、何とも容赦ない言葉を投げ掛けたので、話を振られたくない圭人は、七海からも央からも目を逸らして、卵焼きをゆっくりと咀嚼した。
七海の言ったことは、確かに圭人も何度も思っていることだが、今のところ1回も口にしたことはない。央を気遣ってではない、いつも七海が先に言うからだ。
央は何も言い返さず、もそもそと焼きそばパンを口に運んでいる。七海の言葉が胸に刺さって……というよりも、やはり昨日の失恋の後遺症が大きいせいだろう。
七海の台詞ではないが、もう8回も同じ相手から振られているというのに、どうしてここまで落ち込めるのかというのもあるが、ここまで落ち込んでいるのに、明日にはまた槇村に告白しに行こうと思うところが謎だ。
back next
央がなぜ今そんな状態なのか、板屋越には見当が付くからだ。どうせまた槇村に告白して、振られたに違いない。央が落ち込む原因など、そのくらいしかない。
ちなみに、そこまでの事情を察せられるからといって、板屋越が特別央と親しい仲というではない。板屋越は、槇村と仲がいいのだ。いや、この年齢で仲がいいと言ったら何となく気持ち悪いから言い直す、板屋越は槇村と幼馴染みであり、今も付き合いのある腐れ縁なのだ。
板屋越は前に槇村から、今時の高校生の気持ちがさっぱり分からないから教えてくれと言われて、何事かと思ったら、高校生から告白されたと打ち明けられた。
槇村は見てくれがいいから女にはモテるけれど、高校教師の板屋越と違って高校生と触れ合う機会はそうないはずなのに、一体どこで女子高生なんかと知り合ったのだと詰め寄ったら、女子ではなく男子だと言うし、聞かされた名前は、どう考えても聞き覚えのあるものだったから、板屋越は大変驚愕したのだ。
しかも、もう何回も断っているのに、断っても断っても告白しに来るという。そこまで槇村のことが好きなのか、でもそれってちょっとストーカーぽい…と、それ以来、板屋越はいろいろな意味で央のことを気にしている。
もちろん、気にしていると言っても、央の将来を危惧しているわけではないし、友人たる槇村が高校生に手を出してお縄につかないか心配しているわけでもない。おもしろいことになりそうだと、事の成り行きを生温く見守っているのだ。
(また振られたか、央…)
もう何度目だろうか、板屋越は面倒くさくて数えるのをやめているが、前に槇村から聞いた時点で5回は超えていたはずだ、それなのに懲りもせず槇村のもとへと行く央を、若いなぁと思うし、愚かだとも思う。若さとは愚かしいものだ。
また槇村の愚痴を聞くはめになるのか…と思いつつ、板屋越は教室を後にするのだった。
*****
「央ちゃんてさぁ、もう8回も槇村さんに振られてるわけじゃん? いわば失恋のプロじゃん? なのに、何でいつもそんなに凹むわけ?」
――――昼休み。
3限が終わったところで弁当をすべて食べ終えた七海が、購買で買って来たパンを頬張りながら、何とも容赦ない言葉を投げ掛けたので、話を振られたくない圭人は、七海からも央からも目を逸らして、卵焼きをゆっくりと咀嚼した。
七海の言ったことは、確かに圭人も何度も思っていることだが、今のところ1回も口にしたことはない。央を気遣ってではない、いつも七海が先に言うからだ。
央は何も言い返さず、もそもそと焼きそばパンを口に運んでいる。七海の言葉が胸に刺さって……というよりも、やはり昨日の失恋の後遺症が大きいせいだろう。
七海の台詞ではないが、もう8回も同じ相手から振られているというのに、どうしてここまで落ち込めるのかというのもあるが、ここまで落ち込んでいるのに、明日にはまた槇村に告白しに行こうと思うところが謎だ。
back next
- 関連記事
-
- 恋は七転び八起き (10) (2015/09/10)
- 恋は七転び八起き (9) (2015/09/09)
- 恋は七転び八起き (8) (2015/09/08)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:恋は七転び八起き