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恋は七転び八起き (6)
2015.09.06 Sun
央・圭人・七海
「マタフラレタ…」
「ぅん? 何その妖怪。アメフラシの親戚?」
朝、先生が来る前の教室で、机に突っ伏しながら発した央の言葉に、1つ前の席の七海(ななみ)が後ろを振り返って、とんちんかんなことを言い出した。昨日、央が槇村に8回目の告白をしに行き、8回目の失恋をしたことを知らない七海は、央の発音が若干微妙だったせいもあり、央の発言を何か勘違いしたらしい。
「えー、アメフラシて、海にいるカタツムリの中身みたいなヤツでしょ? 何、妖怪て」
「カタツムリの中身? 仲間じゃなくて?」
七海の隣の席が、圭人だ。彼は央の心配よりも、七海のアメフラシ発言のほうが気になったらしく、失恋したての友人を慰めることもなく、七海の話に食い付いた。そして七海も、最初の質問に対する央からの返事を待たずに、圭人のカタツムリの中身発言に食い付いてしまった。
「仲間じゃなくて中身! 何か、アワビの中身みたいなヤツじゃん!」
「えーますます分かんないんだけど。カタツムリどこ行ったの? アワビの中身? 仲間じゃなくて?」
「違う! 何回おんなじこと言わせるの」
あからさまに落ち込んでいる央を置いてきぼりに、圭人と七海はアメフラシの生態について、大層盛り上がっている。あぁ…、おちおち凹んでもいられない…。
もしかしたら、落ち込む央を元気付けるため、バカなことを言って笑わせる作戦なのだろうかとも思ったが、すぐに、そこまでのことを考えられる2人ではない、と思い直した。そんな器用なマネの出来る2人なら、アメフラシについて、わざわざスマホで調べるまでのことなんかしない。
「うるさいっ! アメフラシなんかどうでもいいわ、ボケッ!!」
「イダッ」
気の短い央がそんな2人にキレないわけはなく、怒鳴りながら椅子を蹴散らして立ち上がると、七海の頭を思い切りぶっ叩いた。続けて圭人の頭も同じように叩くのかと思いきや、そんな素振りは一切見せず、央は椅子を直して席に着いた。彼の中のヒエラルキーが、そうさせるのだ。
それにしても、昨日、槇村の前で見せていた態度との違いに、今さらながら圭人は若干呆れる。
しかし、これが央の本性だ。いや、本性という言い方は、言葉がよくない。これが彼のデフォルトだ。槇村の前でわざと態度を変えているとか、ぶりっ子キャラを作っているとかではなくて、好きな男の前では自然としおらしくなってしまう、恋する乙女現象が、央にも起きているのである。
「なら何よ、央ちゃん。どうした」
「バッカだなぁ、ななみん。央がここまで凹む理由なんか、1個しかない」
ど突かれて、痛い思いをして、七海はようやく本題に入るべく央に尋ねたのだが、その質問の答えは、圭人が横から掻っ攫っていった。それも、全然慰める気のない感じで。
「あー…槇村さん? また告白しに行ったんだ」
七海も、央がこれまで7回槇村に告白して、7回断られていることは知っているので、圭人のヒントで話はすぐに分かる。そして、央がここまで落ち込んでいることから、失恋記録が8回に伸びたことも、同時に分かった。
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