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幸せをみると泣きたくなる。私には手に入らないから。
2008.09.19 Fri
「千秋! 久し振り!」
「わっ、律哉!?」
授業が終わってカフェテリアに向かう途中、突然背後から抱き付かれ、このテンションの高さは恭平だと信じて疑わなかったのに、振り返ってみたらそれは律哉だった。
「ど…したの?」
「へへー。千秋髪切ったんだね。短いのも似合うー」
「うーん……ちょっと、会話が噛み合ってないよね」
相変わらずな律哉に、少し苦笑。
律哉の腕を緩めて振り返れば、今度は俺の髪をワシャワシャし出す。
「あ、ねぇねぇ、千秋にお願いあるんだけど、聞いてくれる?」
身長なんて数cmしか違わないのに、律哉はクリクリとした瞳で上目遣いに見上げてくる。
あーあー、そんなかわいい顔、惜しげもなく披露してくれちゃって。
「なぁに?」
もちろん律哉の願いを断われるはずなんかなくて。
でも。
「ねぇ、ちょっと胸触らして?」
でもでも!
…………律哉は相変わらずの不思議ちゃんだった。
「は?」
「む、ね! いいでしょ~? ね、捲くっていい? シャツ」
まだイイともダメとも答えてないのに、律哉はサッと俺のシャツの裾に手を掛けて、ここが学校の廊下だっていうのに、何の躊躇いもなくバッと俺のシャツの前を捲り上げてくれた。
「り…律哉くん、君は何がやりたいのかなー?」
次の授業が始まって、殆ど人が通らないのがせめてもの救いだけど。
廊下の真ん中。
いい年した男が、もう一方のシャツを捲り上げて胸を露にさせているなんて、どうかしてる!!
「わーやっぱすごい筋肉! ね、触っていい?」
「はい? わっ!?」
そしてこれまた律哉くんは、俺が何の返答もしないうち、ペタペタと俺の胸を触ってきて。
まぁ、男の子同士だし、セクハラってことはないけどさ……一体何なの??
「りつ…」
「りつやーーー!!!」
…………ここが大学の構内の廊下だって分かってないヤツが、もう1名―――恭平だ。
奥の角を曲がって姿を現した恭平は、バッチリ俺と目が合ったと思ったら、すぐさまデカイ声で律哉の名前を呼びながら、全力疾走で駆け寄ってきた。
「りっりっりっちゃん!! 何してんの!?」
「恭平、うるさい」
何してるって…………俺のシャツ捲り上げて、胸をペタペタ。ホント、何やってるんでしょう。
「りっちゃん! よその男の胸を、そんな容易く触るんじゃないの!」
俺の胸を触っていた律哉の手は、恭平によって引き剥がされて。
とりあえず俺は、捲り上げられてたシャツを元に戻すけど。
「ねぇねぇ、千秋の胸、すごいんだよ!」
「は? 千秋の胸? 何が? 乳首?」
「るせぇよ!」
よく分からないけれど、妙に俺の胸を褒めてくれる律哉に対していらないボケをする恭平にとりあえず突っ込んでおく。
乳首小さいのは、俺だって気にしてんだよ、バカ!
「胸筋だってば! すっごい胸板厚いの! 俺ね、前に着替えるときちょっと見てさぁ、ちゃんと見たいと思ってたんだよねー。千秋、どのくらい鍛えてんの?」
「どのくらい、って言われても……でも結構サーフィンとか行ったし」
「サーフィン!? 超かっこいい! そんでそんなに胸板厚くなるんだ!? すごいすごい!!」
子供みたいに無邪気に感心する様がかわいくて、ついつい頬が緩んでしまう。そんな律哉の横で、恭平は苦虫を噛み潰したような顔をしてるけど。
「千秋、サーフィンよく行くの?」
「んー時間があればね。この夏は結構行ってるかな。よかったら律哉も一緒に行く?」
「マジで!? あ、でも俺やったことないし…………全然出来ないから、一緒に行ってもつまんないかも…」
「そんなことないよ。しっかり教えるし」
「ホント!? 行きたい行きたい!!」
キャー!! なんて、もう周りにパァッとお花でも飛ばしちゃってるんじゃないかっていうくらい満面の笑みで、律哉が顔を綻ばせながら抱き付いて来た。
せっかくだから抱き返してあげると、律哉はますますキュウと抱き付いてきて…………あぁ、何だかいい感じ。
「ちょちょちょちょちょっと!!」
グイッ。
そんないい感じの俺たちを引き剥がす手。
もちろん恭平だ。
「何すんだよ、恭平!」
俺から離された律哉は、そのまま恭平の腕の中にキュウキュウに抱き寄せられている。
「何すんだじゃないでしょ! ダメダメダメ! 何で千秋とサーフィンなわけ!?」
「だって俺も、千秋みたいにサーフィン出来るようになりたい。胸板厚くなりたいの」
「サーフィンなら俺もするし! つーかこれ以上胸板厚くしてどうすんの!?」
確かに。
かわいい顔して筋肉大好きの律哉は、最近やたら鍛えまくってて、すっかり逞しくなっているらしい。
脱いだところは見たことがないけれど、この顔であんまりムキムキなのもなぁ…。
でも本人が鍛えたがってるのを止めるのも気が引けるし、それに一緒にサーフィンとか行けるんだったら、すっごい嬉しいのにな。
…………でも。
でもさぁ…。
「でも恭平、今年まだ1回も海行ってないって言ってたじゃん。ホントにちゃんと出来るの?」
「出来るっつーの! てか、千秋と行くなんて、言語道断!!」
「言語道断…………あー……難しい言葉知ってて偉いねぇ、恭平くんは」
「偉いっしょ? だから千秋なんかとサーフィン行くのはやめて、俺と遊びに行こうね?」
「えー? ご飯は恭平の奢り?」
「もち」
「じゃあ、しょうがないから恭平と一緒に遊んでやるか」
「やた!」
ものすごい上から目線なんですけど……律哉さん。
でも恭平は渋々どころか、大喜びって感じで律哉と約束を取り付けてる。ってか、どうせ今日だって一緒に帰るんでしょ?
あーあ、やっぱ最後は恭平に持ってかれちゃうのか。
「ゴメンね、千秋。一緒にサーフィン行けそうもないや」
「残念だったね。恭平の教え方がへたくそだったらいつでも連絡してよ。駆けつけるからさ」
「んふふ、そうする!」
なるべく冗談に聞こえるようにそう言って、恭平の腕の中に収まってる律哉のふわふわの髪の毛を撫でてやる。
この髪の毛の1本ですら、俺のものにはならないなんて。
「じゃーね、千秋、バイバーイ」
「じゃあね」
恭平に引き摺られるようにして去っていく律哉。
無邪気に手を振って。
あぁ、やっぱ恭平には敵わないんだなって、思い知らされる。
どんなに強く想ったって、律哉の気持ちのベクトルは恭平のほうを向いていて。
こんな不毛な恋心……いっそ捨ててしまえればいいのに。
それでも幸せになれる日を思い描いてるなんて。
―――――手に入りっこないのに。
「わっ、律哉!?」
授業が終わってカフェテリアに向かう途中、突然背後から抱き付かれ、このテンションの高さは恭平だと信じて疑わなかったのに、振り返ってみたらそれは律哉だった。
「ど…したの?」
「へへー。千秋髪切ったんだね。短いのも似合うー」
「うーん……ちょっと、会話が噛み合ってないよね」
相変わらずな律哉に、少し苦笑。
律哉の腕を緩めて振り返れば、今度は俺の髪をワシャワシャし出す。
「あ、ねぇねぇ、千秋にお願いあるんだけど、聞いてくれる?」
身長なんて数cmしか違わないのに、律哉はクリクリとした瞳で上目遣いに見上げてくる。
あーあー、そんなかわいい顔、惜しげもなく披露してくれちゃって。
「なぁに?」
もちろん律哉の願いを断われるはずなんかなくて。
でも。
「ねぇ、ちょっと胸触らして?」
でもでも!
…………律哉は相変わらずの不思議ちゃんだった。
「は?」
「む、ね! いいでしょ~? ね、捲くっていい? シャツ」
まだイイともダメとも答えてないのに、律哉はサッと俺のシャツの裾に手を掛けて、ここが学校の廊下だっていうのに、何の躊躇いもなくバッと俺のシャツの前を捲り上げてくれた。
「り…律哉くん、君は何がやりたいのかなー?」
次の授業が始まって、殆ど人が通らないのがせめてもの救いだけど。
廊下の真ん中。
いい年した男が、もう一方のシャツを捲り上げて胸を露にさせているなんて、どうかしてる!!
「わーやっぱすごい筋肉! ね、触っていい?」
「はい? わっ!?」
そしてこれまた律哉くんは、俺が何の返答もしないうち、ペタペタと俺の胸を触ってきて。
まぁ、男の子同士だし、セクハラってことはないけどさ……一体何なの??
「りつ…」
「りつやーーー!!!」
…………ここが大学の構内の廊下だって分かってないヤツが、もう1名―――恭平だ。
奥の角を曲がって姿を現した恭平は、バッチリ俺と目が合ったと思ったら、すぐさまデカイ声で律哉の名前を呼びながら、全力疾走で駆け寄ってきた。
「りっりっりっちゃん!! 何してんの!?」
「恭平、うるさい」
何してるって…………俺のシャツ捲り上げて、胸をペタペタ。ホント、何やってるんでしょう。
「りっちゃん! よその男の胸を、そんな容易く触るんじゃないの!」
俺の胸を触っていた律哉の手は、恭平によって引き剥がされて。
とりあえず俺は、捲り上げられてたシャツを元に戻すけど。
「ねぇねぇ、千秋の胸、すごいんだよ!」
「は? 千秋の胸? 何が? 乳首?」
「るせぇよ!」
よく分からないけれど、妙に俺の胸を褒めてくれる律哉に対していらないボケをする恭平にとりあえず突っ込んでおく。
乳首小さいのは、俺だって気にしてんだよ、バカ!
「胸筋だってば! すっごい胸板厚いの! 俺ね、前に着替えるときちょっと見てさぁ、ちゃんと見たいと思ってたんだよねー。千秋、どのくらい鍛えてんの?」
「どのくらい、って言われても……でも結構サーフィンとか行ったし」
「サーフィン!? 超かっこいい! そんでそんなに胸板厚くなるんだ!? すごいすごい!!」
子供みたいに無邪気に感心する様がかわいくて、ついつい頬が緩んでしまう。そんな律哉の横で、恭平は苦虫を噛み潰したような顔をしてるけど。
「千秋、サーフィンよく行くの?」
「んー時間があればね。この夏は結構行ってるかな。よかったら律哉も一緒に行く?」
「マジで!? あ、でも俺やったことないし…………全然出来ないから、一緒に行ってもつまんないかも…」
「そんなことないよ。しっかり教えるし」
「ホント!? 行きたい行きたい!!」
キャー!! なんて、もう周りにパァッとお花でも飛ばしちゃってるんじゃないかっていうくらい満面の笑みで、律哉が顔を綻ばせながら抱き付いて来た。
せっかくだから抱き返してあげると、律哉はますますキュウと抱き付いてきて…………あぁ、何だかいい感じ。
「ちょちょちょちょちょっと!!」
グイッ。
そんないい感じの俺たちを引き剥がす手。
もちろん恭平だ。
「何すんだよ、恭平!」
俺から離された律哉は、そのまま恭平の腕の中にキュウキュウに抱き寄せられている。
「何すんだじゃないでしょ! ダメダメダメ! 何で千秋とサーフィンなわけ!?」
「だって俺も、千秋みたいにサーフィン出来るようになりたい。胸板厚くなりたいの」
「サーフィンなら俺もするし! つーかこれ以上胸板厚くしてどうすんの!?」
確かに。
かわいい顔して筋肉大好きの律哉は、最近やたら鍛えまくってて、すっかり逞しくなっているらしい。
脱いだところは見たことがないけれど、この顔であんまりムキムキなのもなぁ…。
でも本人が鍛えたがってるのを止めるのも気が引けるし、それに一緒にサーフィンとか行けるんだったら、すっごい嬉しいのにな。
…………でも。
でもさぁ…。
「でも恭平、今年まだ1回も海行ってないって言ってたじゃん。ホントにちゃんと出来るの?」
「出来るっつーの! てか、千秋と行くなんて、言語道断!!」
「言語道断…………あー……難しい言葉知ってて偉いねぇ、恭平くんは」
「偉いっしょ? だから千秋なんかとサーフィン行くのはやめて、俺と遊びに行こうね?」
「えー? ご飯は恭平の奢り?」
「もち」
「じゃあ、しょうがないから恭平と一緒に遊んでやるか」
「やた!」
ものすごい上から目線なんですけど……律哉さん。
でも恭平は渋々どころか、大喜びって感じで律哉と約束を取り付けてる。ってか、どうせ今日だって一緒に帰るんでしょ?
あーあ、やっぱ最後は恭平に持ってかれちゃうのか。
「ゴメンね、千秋。一緒にサーフィン行けそうもないや」
「残念だったね。恭平の教え方がへたくそだったらいつでも連絡してよ。駆けつけるからさ」
「んふふ、そうする!」
なるべく冗談に聞こえるようにそう言って、恭平の腕の中に収まってる律哉のふわふわの髪の毛を撫でてやる。
この髪の毛の1本ですら、俺のものにはならないなんて。
「じゃーね、千秋、バイバーイ」
「じゃあね」
恭平に引き摺られるようにして去っていく律哉。
無邪気に手を振って。
あぁ、やっぱ恭平には敵わないんだなって、思い知らされる。
どんなに強く想ったって、律哉の気持ちのベクトルは恭平のほうを向いていて。
こんな不毛な恋心……いっそ捨ててしまえればいいのに。
それでも幸せになれる日を思い描いてるなんて。
―――――手に入りっこないのに。
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COMMENT-FORM
りり ⇒ 罪作り
りっちゃん無邪気な罪作り…。
恭平くんがいなかったら簡単に千秋くんになびきそうな危なっかしさが、あきらめさせないんでしょうね。
100%絶対無理!ていう方があきらめもつくのに…。
ううう。毎朝切なさ全開です。
恋って時に痛いなあ…。
恭平くんがいなかったら簡単に千秋くんになびきそうな危なっかしさが、あきらめさせないんでしょうね。
100%絶対無理!ていう方があきらめもつくのに…。
ううう。毎朝切なさ全開です。
恋って時に痛いなあ…。
如月久美子 ⇒ >りりさん
無邪気さゆえの罪ですね。
まったく恋心に気付いてないがために、ホイホイ付いていきそうなところが…。
こういうおとぼけちゃんが好きなですよね、私。
実際にいたら、大変そうですが(苦笑)
それにしても。
うぅ…またりりさんに朝から切ない思いをさせてしまった…。
祭り、まだまだ続きますんで、よろしくお願いします~。
コメントありがとうございました!
まったく恋心に気付いてないがために、ホイホイ付いていきそうなところが…。
こういうおとぼけちゃんが好きなですよね、私。
実際にいたら、大変そうですが(苦笑)
それにしても。
うぅ…またりりさんに朝から切ない思いをさせてしまった…。
祭り、まだまだ続きますんで、よろしくお願いします~。
コメントありがとうございました!