スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
どうせ伝わらないのなら、言葉なんていらない (33)
2015.05.09 Sat
「大和くん、らいじょーぶ」
「は? 何が?」
いや、全然大丈夫じゃないでしょ?
それとも、『大和くん、大丈夫?』と尋ねてくれたんだろうか。だとしたら、大和は全然まったく大丈夫だ。心配なのは千尋のことだけだ。
「俺は大和くんの写真なんか全然欲しくないから、らいじょーぶっ…」
「……………………。はぁっ!?」
両手にジョッキはさすがに腕が疲れるのか、零す前に千尋はちゃんと両方ともそれをテーブルに置いたけれど、それと同時にとんでもないことを言い出すものだから、一瞬の間を置いて、大和は声を大きくした。
間を置いたのは、千尋が言ったことをすぐには理解できなかったからだ。
「ちょっ…それどういう意味!?」
大和の写真を欲しくない、て……それのどこが大丈夫!?
しかし千尋は、大和に体を預けたまま、一生懸命テーブルの上の端に手を伸ばしていて(あと数センチ届いていない…)、まったく聞く耳を持っていない。
南條を見れば、何だか笑っているし…。笑い事か!? と突っ込んでもいいんだよな?
「ちょっちーちゃん、ねぇ、どういう……て、ちょっと! 寝ないで!」
だが、大和には、南條に突っ込みを入れている暇などなかった。結局手にすることの出来なかった箸を諦めて、千尋は大和に寄り掛かったまま、ウトウトし始めているのだ。
早い! 早い早い早い!
確かに千尋はすでに何杯も飲んでいるかもしれないが、大和はようやく飲み物が届いたところで、まだ1口だって飲んでいないのだ。せっかく千尋に会えたのに、寝てしまうなんて…!
「ちょっちーちゃん、起きて! ねぇちょっと!」
大和の写真は欲しくないというセリフの意味を知りたいし、それ以上に、千尋が寝てしまって、南條と2人で向き合って飲むという状況が嫌なんだけど!
「ちーちゃ~~~んっ!」
大和は千尋の肩を揺さぶるが、残念ながら起きる気配はない。
そんな哀れな男を見つめつつ、南條は思う。
恐らく千尋は、自分は遥希と違ってショップに写真を買いに行くことはないから、今回のように見られて疑われたり凹ませたりすることはない、と言いたかったのだろう。
しかし、酔っ払ったせいで、いつも以上に言葉足らずだった千尋の真意は、微塵も大和に伝わっていないわけで。
こんな思いをさせられるくらいなら、いくら高くともご飯を奢らされるほうがまだマシだ、と南條が密かに思ったことは、誰も知らないところだ。
男はいつも、かわいい恋人たちに振り回されるのである。
*END*
back
タイトルは「明日」から!
「は? 何が?」
いや、全然大丈夫じゃないでしょ?
それとも、『大和くん、大丈夫?』と尋ねてくれたんだろうか。だとしたら、大和は全然まったく大丈夫だ。心配なのは千尋のことだけだ。
「俺は大和くんの写真なんか全然欲しくないから、らいじょーぶっ…」
「……………………。はぁっ!?」
両手にジョッキはさすがに腕が疲れるのか、零す前に千尋はちゃんと両方ともそれをテーブルに置いたけれど、それと同時にとんでもないことを言い出すものだから、一瞬の間を置いて、大和は声を大きくした。
間を置いたのは、千尋が言ったことをすぐには理解できなかったからだ。
「ちょっ…それどういう意味!?」
大和の写真を欲しくない、て……それのどこが大丈夫!?
しかし千尋は、大和に体を預けたまま、一生懸命テーブルの上の端に手を伸ばしていて(あと数センチ届いていない…)、まったく聞く耳を持っていない。
南條を見れば、何だか笑っているし…。笑い事か!? と突っ込んでもいいんだよな?
「ちょっちーちゃん、ねぇ、どういう……て、ちょっと! 寝ないで!」
だが、大和には、南條に突っ込みを入れている暇などなかった。結局手にすることの出来なかった箸を諦めて、千尋は大和に寄り掛かったまま、ウトウトし始めているのだ。
早い! 早い早い早い!
確かに千尋はすでに何杯も飲んでいるかもしれないが、大和はようやく飲み物が届いたところで、まだ1口だって飲んでいないのだ。せっかく千尋に会えたのに、寝てしまうなんて…!
「ちょっちーちゃん、起きて! ねぇちょっと!」
大和の写真は欲しくないというセリフの意味を知りたいし、それ以上に、千尋が寝てしまって、南條と2人で向き合って飲むという状況が嫌なんだけど!
「ちーちゃ~~~んっ!」
大和は千尋の肩を揺さぶるが、残念ながら起きる気配はない。
そんな哀れな男を見つめつつ、南條は思う。
恐らく千尋は、自分は遥希と違ってショップに写真を買いに行くことはないから、今回のように見られて疑われたり凹ませたりすることはない、と言いたかったのだろう。
しかし、酔っ払ったせいで、いつも以上に言葉足らずだった千尋の真意は、微塵も大和に伝わっていないわけで。
こんな思いをさせられるくらいなら、いくら高くともご飯を奢らされるほうがまだマシだ、と南條が密かに思ったことは、誰も知らないところだ。
男はいつも、かわいい恋人たちに振り回されるのである。
*END*
back
タイトルは「明日」から!
- 関連記事
-
- 彼の愛情表現は分かりづらい (1) (2016/06/13)
- どうせ伝わらないのなら、言葉なんていらない (33) (2015/05/09)
- どうせ伝わらないのなら、言葉なんていらない (32) (2015/05/08)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。