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どうせ伝わらないのなら、言葉なんていらない (8)
2015.04.15 Wed
*****
「ヘタレー」
「…」
「琉のヘタレー」
「……」
「琉くん、超ヘタレー」
「うっせぇよっ!」
レギュラー番組の収録前、宛がわれた楽屋で、ここぞとばかりに琉を弄る大和に、とうとう琉が大きな声を上げた。
夕べの、遥希が琉の家に来てからのことを洗いざらい白状させられて、話終わった途端に、この始末である。まぁ、昨日の話を聞けば、大和がそう言うのも無理はないが。
「一ノ瀬。これから収録なんだから、水落をこれ以上凹ますな。面倒くさくなる」
大和に怒鳴った後、テーブルに突っ伏して動かなくなった琉を見て、南條が大和を窘めた。
琉の話を聞くつもりはなかったが、南條がいる前で、聞こえるくらいの声の大きさで喋っていれば、嫌でも耳に入ってくる。ただでさえ凹んでいる琉をこれ以上落ち込ませては、非情に面倒くさいことになる。
「でもさぁ、ハルちゃんに話聞いたはいいけど、肝心のことを聞けなかったうえに、ハルちゃんが何か隠してるかもしれない、て余計な事実に気付いちゃうとか、なくね?」
「一ノ瀬!」
これ以上凹ますな、と言っているのに、追い打ちを掛けるようなことを言うんじゃない!
「だって、琉がヘタレなのが悪いんじゃん。つか、どうすんの? ハルちゃんと一緒にいた人、誰なのか、今さら聞けなくね? 完全にタイミングを失ったというか」
「ぐぅ…」
微妙な雰囲気とはいえ、昨日のことは話を終わらせてしまったから、大和の言うとおり、もう1度聞くには、タイミングを逸している。
この件について、遥希を追及するというならまだしも、さりげなく様子を窺うなんて、絶対に無理。
「やっぱ見間違いなんだって。ハルちゃんも、見間違いだって言われて、うん、て言ったんだろ?」
「でもハルちゃん、俺がどこでハルちゃんのこと見掛けたのか知らないのに、うん、て言ったんだよ。バイトしてるトコとは違う場所だとは言ったけど、俺、それ以上は言ってねぇの! なのにハルちゃん、俺の見間違いかな、て言ったのに、うん、て…」
昨日の遥希とのやり取りを思い出し、琉は再び地の底まで凹んだ。
遥希が何かを隠しているかもしれないという事実も悲しいが、自分が遥希を疑う日が来るなんて、そのほうがショックだ。
「ハルちゃんのこと信じろよ」
「信じるよ! でも、何か俺に隠し事してる感じなんだよ、どうする!?」
「いや、どうするったって…。そもそも、ハルちゃんが何か隠してるかもしれない、てのも、お前の想像だろ? 昨日は動揺しすぎてたせいで、そんなふうに見えただけかもしんねぇじゃん」
遥希がもし琉に何か隠し事をするとしたら、琉に風邪をうつさないようにとか、琉に迷惑を掛けないようにとか、そんな理由以外に考えられない。
もちろん遥希だって人の子だから、琉のためを思う理由ばかりではないかもしれないけれど、今ここで想像しているような疾しいことがあるとは、とても思えないのだ。
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「ヘタレー」
「…」
「琉のヘタレー」
「……」
「琉くん、超ヘタレー」
「うっせぇよっ!」
レギュラー番組の収録前、宛がわれた楽屋で、ここぞとばかりに琉を弄る大和に、とうとう琉が大きな声を上げた。
夕べの、遥希が琉の家に来てからのことを洗いざらい白状させられて、話終わった途端に、この始末である。まぁ、昨日の話を聞けば、大和がそう言うのも無理はないが。
「一ノ瀬。これから収録なんだから、水落をこれ以上凹ますな。面倒くさくなる」
大和に怒鳴った後、テーブルに突っ伏して動かなくなった琉を見て、南條が大和を窘めた。
琉の話を聞くつもりはなかったが、南條がいる前で、聞こえるくらいの声の大きさで喋っていれば、嫌でも耳に入ってくる。ただでさえ凹んでいる琉をこれ以上落ち込ませては、非情に面倒くさいことになる。
「でもさぁ、ハルちゃんに話聞いたはいいけど、肝心のことを聞けなかったうえに、ハルちゃんが何か隠してるかもしれない、て余計な事実に気付いちゃうとか、なくね?」
「一ノ瀬!」
これ以上凹ますな、と言っているのに、追い打ちを掛けるようなことを言うんじゃない!
「だって、琉がヘタレなのが悪いんじゃん。つか、どうすんの? ハルちゃんと一緒にいた人、誰なのか、今さら聞けなくね? 完全にタイミングを失ったというか」
「ぐぅ…」
微妙な雰囲気とはいえ、昨日のことは話を終わらせてしまったから、大和の言うとおり、もう1度聞くには、タイミングを逸している。
この件について、遥希を追及するというならまだしも、さりげなく様子を窺うなんて、絶対に無理。
「やっぱ見間違いなんだって。ハルちゃんも、見間違いだって言われて、うん、て言ったんだろ?」
「でもハルちゃん、俺がどこでハルちゃんのこと見掛けたのか知らないのに、うん、て言ったんだよ。バイトしてるトコとは違う場所だとは言ったけど、俺、それ以上は言ってねぇの! なのにハルちゃん、俺の見間違いかな、て言ったのに、うん、て…」
昨日の遥希とのやり取りを思い出し、琉は再び地の底まで凹んだ。
遥希が何かを隠しているかもしれないという事実も悲しいが、自分が遥希を疑う日が来るなんて、そのほうがショックだ。
「ハルちゃんのこと信じろよ」
「信じるよ! でも、何か俺に隠し事してる感じなんだよ、どうする!?」
「いや、どうするったって…。そもそも、ハルちゃんが何か隠してるかもしれない、てのも、お前の想像だろ? 昨日は動揺しすぎてたせいで、そんなふうに見えただけかもしんねぇじゃん」
遥希がもし琉に何か隠し事をするとしたら、琉に風邪をうつさないようにとか、琉に迷惑を掛けないようにとか、そんな理由以外に考えられない。
もちろん遥希だって人の子だから、琉のためを思う理由ばかりではないかもしれないけれど、今ここで想像しているような疾しいことがあるとは、とても思えないのだ。
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