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どうせ伝わらないのなら、言葉なんていらない (2)
2015.04.09 Thu
「あ…あ…あ…ハルちゃ…ん…」
運転中だというのに、琉はシートベルトを外すと、ちょうど子どもが電車で外の景色を見るときのように、座席に反対向きになって、後ろの景色を見ている。
あれが本当に遥希だったのだとしても、その姿はもううんと小さくなっていて、いや車はカーブを曲がってしまったから、とっくに見えなくなっているというのに。
「水落、危ないからちゃんと座れ!」
大の大人に言うセリフではないが、危ないものは危ないので、南條は声を大きくして注意する。
というか、南條だって、先ほど見た光景ですっかり動揺していて、とにかく事故らないよう、ハンドルを握ることに集中したいのに。
「だって、だって、ハルちゃんが…!」
「いや、見間違いだろ。だって、ハルちゃんが女の子と歩いてるわけ…」
「わーわーわーっ!」
遥希が女性と並んで歩く、という言葉を聞くだけでも嫌なのか、琉は、大和の言葉を騒いで掻き消した。
そんな琉に対して、今度こそ南條は、「うるさい」とは言えなかった。いや、注意したい気持ちは山々だったが、いろいろなことが頭の中をよぎって、出来なかったのだ。
今、こうして騒いでいる琉は、まもなく地の底まで凹むことになるだろう。そうなったときが一番厄介なのだ。
遥希のことに関して、琉は、自分で浮上してくる術を持たないヘタレだ。そうなると、そのとばっちりは、マネージャーである自分に回ってくる羽目になる。
いくら担当アイドルの管理が仕事とはいえ、この難題を解決するのは、かなりの労力を要することになるし、場合によっては、千尋にまた頼まなければならなくなるかもしれない。
千尋には以前、遥希の風邪騒動のときにもお世話になり、その後、散々お世話してやったのだ。その二の舞はゴメンだ。
「見間違いだ、つってんだろ」
「大和…」
甘い顔立ちとは裏腹に、鍛え上げた体、その腕力を以って、大和が無理やり琉の体を前に向かせ、シートベルトを装着させた。
琉は、縋るような目で大和を見る。
琉はもう、遥希のことが好き過ぎて、何でも遥希に見えちゃうんじゃないか、ていうところがあるけれど、大和が見間違いだと断言してくれるなら、それを信じたいと思う。
なのに。
「見間違い? 見間違いだった? あれ、ハルちゃんじゃない!?」
「多分」
「多分~~~!!??」
…琉を慰めるつもりでついた嘘なら、最後までつき通してくれ。
南條はそう思うが、しっかり者ながら意外と天然の大和は、これで十分自分の役目を果たしたと思っているのか、「琉、うるさい」なんて突き放している。
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運転中だというのに、琉はシートベルトを外すと、ちょうど子どもが電車で外の景色を見るときのように、座席に反対向きになって、後ろの景色を見ている。
あれが本当に遥希だったのだとしても、その姿はもううんと小さくなっていて、いや車はカーブを曲がってしまったから、とっくに見えなくなっているというのに。
「水落、危ないからちゃんと座れ!」
大の大人に言うセリフではないが、危ないものは危ないので、南條は声を大きくして注意する。
というか、南條だって、先ほど見た光景ですっかり動揺していて、とにかく事故らないよう、ハンドルを握ることに集中したいのに。
「だって、だって、ハルちゃんが…!」
「いや、見間違いだろ。だって、ハルちゃんが女の子と歩いてるわけ…」
「わーわーわーっ!」
遥希が女性と並んで歩く、という言葉を聞くだけでも嫌なのか、琉は、大和の言葉を騒いで掻き消した。
そんな琉に対して、今度こそ南條は、「うるさい」とは言えなかった。いや、注意したい気持ちは山々だったが、いろいろなことが頭の中をよぎって、出来なかったのだ。
今、こうして騒いでいる琉は、まもなく地の底まで凹むことになるだろう。そうなったときが一番厄介なのだ。
遥希のことに関して、琉は、自分で浮上してくる術を持たないヘタレだ。そうなると、そのとばっちりは、マネージャーである自分に回ってくる羽目になる。
いくら担当アイドルの管理が仕事とはいえ、この難題を解決するのは、かなりの労力を要することになるし、場合によっては、千尋にまた頼まなければならなくなるかもしれない。
千尋には以前、遥希の風邪騒動のときにもお世話になり、その後、散々お世話してやったのだ。その二の舞はゴメンだ。
「見間違いだ、つってんだろ」
「大和…」
甘い顔立ちとは裏腹に、鍛え上げた体、その腕力を以って、大和が無理やり琉の体を前に向かせ、シートベルトを装着させた。
琉は、縋るような目で大和を見る。
琉はもう、遥希のことが好き過ぎて、何でも遥希に見えちゃうんじゃないか、ていうところがあるけれど、大和が見間違いだと断言してくれるなら、それを信じたいと思う。
なのに。
「見間違い? 見間違いだった? あれ、ハルちゃんじゃない!?」
「多分」
「多分~~~!!??」
…琉を慰めるつもりでついた嘘なら、最後までつき通してくれ。
南條はそう思うが、しっかり者ながら意外と天然の大和は、これで十分自分の役目を果たしたと思っているのか、「琉、うるさい」なんて突き放している。
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けいったん ⇒ No title
琉ーーー!
きっと 地の底?水の底?まで ヘコムでいるだろうなぁ(苦笑)
しかし ハルちゃんが 女子と一緒とは 珍しいのかな!?
ハルちゃんだって ちーちゃん以外に友達は居るでしょうに・・・
それに 男子友より女子友の方が、ハルちゃんらしいんじゃないのかなぁ
まぁ 何はともあれ 大和、南條、 凹んでいる琉を宜しくね♪
ガガガ━(ll゚д゚ll)━ン!!・・・Il|li_| ̄|○。・゚・。゚・。わ~んil|li ガーン...byebye☆
きっと 地の底?水の底?まで ヘコムでいるだろうなぁ(苦笑)
しかし ハルちゃんが 女子と一緒とは 珍しいのかな!?
ハルちゃんだって ちーちゃん以外に友達は居るでしょうに・・・
それに 男子友より女子友の方が、ハルちゃんらしいんじゃないのかなぁ
まぁ 何はともあれ 大和、南條、 凹んでいる琉を宜しくね♪
ガガガ━(ll゚д゚ll)━ン!!・・・Il|li_| ̄|○。・゚・。゚・。わ~んil|li ガーン...byebye☆
- |2015.04.09
- |Thu
- |11:37
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
ハルちゃんがあんまりにもちーちゃんといすぎるから、他に友だちがいないと思ってるんじゃ…。
ちーちゃんも、ハルちゃんに他に友だちがいないんじゃないかと心配してたくらいですし(笑)
でも、ハルちゃんの友だち問題よりも大変なのは、こちらですよね。
↓
> まぁ 何はともあれ 大和、南條、 凹んでいる琉を宜しくね♪
> ガガガ━(ll゚д゚ll)━ン!!・・・Il|li_| ̄|○。・゚・。゚・。わ~んil|li ガーン
大和くんも南條さんも、面倒くさい役目が回ってきたものです(^_^;)
コメントありがとうございました!
ちーちゃんも、ハルちゃんに他に友だちがいないんじゃないかと心配してたくらいですし(笑)
でも、ハルちゃんの友だち問題よりも大変なのは、こちらですよね。
↓
> まぁ 何はともあれ 大和、南條、 凹んでいる琉を宜しくね♪
> ガガガ━(ll゚д゚ll)━ン!!・・・Il|li_| ̄|○。・゚・。゚・。わ~んil|li ガーン
大和くんも南條さんも、面倒くさい役目が回ってきたものです(^_^;)
コメントありがとうございました!
- |2015.04.09
- |Thu
- |22:03
- |URL
- |EDIT|