スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
恋の女神は微笑まない (290)
2015.03.09 Mon
そんな大和に千尋は、すごく率直に、「何で来たの?」と聞いてきた。
さすがにその質問には面食らったけれど、相手の気持ちを勘違いしたくないという思いからだったようで、千尋はたどたどしくも、懸命に説明してくれた。
だから大和も、素直に、正直に答えた。
何度も念を押すように、確認するように、千尋からは聞き返されたけれど、大和は丁寧に答えた。
「好きだよ、ちーちゃんのこと。もう会えないなんて無理。嫌いにもなれないし、忘れられない。そばにいてほしいよ。……ちーちゃんが欲しい」
けれど千尋は、それに対しての答えを、千尋の気持ちを、言ってはくれなかった。
大和がこんなに好きだと言っているのに、千尋も、大和のことを嫌いにはなっていないと言ってくれているのに、千尋の欲しがっている彼氏に大和がなれるのかどうかについては、分からないだなんて言う。
大和が1歩進めば、千尋が1歩下がって。
なかなか縮まらない距離に、大和はとうとう焦れて、千尋を抱き締めていた。
その体を抱き締めるのは初めてではない。けれど、初めて抱き締めたのは、ちょうど1年前のことだった。イブの夜、コンサートが終わった後の楽屋で。
そのときのことを思い出したら、あぁもう1年も経ったのだと思ったら、それでも答えをくれない千尋に、それが答えなのだと大和は感じ取った。
もしかしたら、また千尋の気持ちを勝手に思い込んでしまったのかもしれないけれど、話してくれないことには、正解も不正解も分からないわけで。
「…タイムアウト」
気付けば大和は、そう告げていた。
ハッピーエンドでなくても、方は付けられる。自分が思っていたような結末でなくとも、南條が思い描き、大和にどうにかするように言った結末でなくとも、決着は付けられる。
もう、これで終わりにする。
これで、終わりに出来る。
マネージャーの南條は千尋の友人だし、相方の琉は、千尋の親友である遥希の恋人だから、これから先、まったく係わることなく生きていけるかどうかは微妙だが、この間のように千尋から間違い電話が掛かって来ても、もう出ない。メッセージも送らないし、千尋の家にも行かない。
そうして大和は、ようやく決意したのに。
なのに千尋は、
「…ダメ」
そう言って、大和に抱き付いて来たのだ。
この状況でダメだと言われたら、それはいろんなふうに考えられるし、まだすっかり未練が断ち切れたわけではない大和としては、都合よく解釈しそうだったから、下手な期待を抱かないよう、大和は慎重にその意味を尋ねたのに、千尋はあっさりと、帰るなという意味だということを明かした。
back next
さすがにその質問には面食らったけれど、相手の気持ちを勘違いしたくないという思いからだったようで、千尋はたどたどしくも、懸命に説明してくれた。
だから大和も、素直に、正直に答えた。
何度も念を押すように、確認するように、千尋からは聞き返されたけれど、大和は丁寧に答えた。
「好きだよ、ちーちゃんのこと。もう会えないなんて無理。嫌いにもなれないし、忘れられない。そばにいてほしいよ。……ちーちゃんが欲しい」
けれど千尋は、それに対しての答えを、千尋の気持ちを、言ってはくれなかった。
大和がこんなに好きだと言っているのに、千尋も、大和のことを嫌いにはなっていないと言ってくれているのに、千尋の欲しがっている彼氏に大和がなれるのかどうかについては、分からないだなんて言う。
大和が1歩進めば、千尋が1歩下がって。
なかなか縮まらない距離に、大和はとうとう焦れて、千尋を抱き締めていた。
その体を抱き締めるのは初めてではない。けれど、初めて抱き締めたのは、ちょうど1年前のことだった。イブの夜、コンサートが終わった後の楽屋で。
そのときのことを思い出したら、あぁもう1年も経ったのだと思ったら、それでも答えをくれない千尋に、それが答えなのだと大和は感じ取った。
もしかしたら、また千尋の気持ちを勝手に思い込んでしまったのかもしれないけれど、話してくれないことには、正解も不正解も分からないわけで。
「…タイムアウト」
気付けば大和は、そう告げていた。
ハッピーエンドでなくても、方は付けられる。自分が思っていたような結末でなくとも、南條が思い描き、大和にどうにかするように言った結末でなくとも、決着は付けられる。
もう、これで終わりにする。
これで、終わりに出来る。
マネージャーの南條は千尋の友人だし、相方の琉は、千尋の親友である遥希の恋人だから、これから先、まったく係わることなく生きていけるかどうかは微妙だが、この間のように千尋から間違い電話が掛かって来ても、もう出ない。メッセージも送らないし、千尋の家にも行かない。
そうして大和は、ようやく決意したのに。
なのに千尋は、
「…ダメ」
そう言って、大和に抱き付いて来たのだ。
この状況でダメだと言われたら、それはいろんなふうに考えられるし、まだすっかり未練が断ち切れたわけではない大和としては、都合よく解釈しそうだったから、下手な期待を抱かないよう、大和は慎重にその意味を尋ねたのに、千尋はあっさりと、帰るなという意味だということを明かした。
back next
- 関連記事
-
- 恋の女神は微笑まない (291) (2015/03/10)
- 恋の女神は微笑まない (290) (2015/03/09)
- 恋の女神は微笑まない (289) (2015/03/08)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。