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恋の女神は微笑まない (289)
2015.03.08 Sun
大和に対して、こんな言い方で、ここまでのことを言える人は、そういない。
心の中でどんなにボロクソに思っていようと、相手は、押しも押されもせぬアイドルFATEの1人だ。せいぜいオブラートに何重にも包んで、口にするのがやっとのはず。
それなのに南條は、さらに続けた。
「プライベートのことをプライベートのうちで引き摺ってる分にはいいけど、仕事にまで持ち込むな。仕事に影響するくらいだったら、こんな茶番さっさとやめて、ちゃんと千尋とけりを付けて来い」
「別に仕事になんて」
「ソワソワしながら番組収録してるヤツの、どこがだよ」
そんなことはない、仕事に私情なんか挟まない、と言い返したかったけれど、傍で見ている人間の、しかもそうしたことを見るという点では素人でない南條が言うのだから、実際、そうだったのだろう。
確かに、千尋の容体は気になっていたし、送ったメッセージのことも、心の片隅にあった。
「お前がどうしたいのか、もう1回よく考えて、ちゃんと方を付けて来い」
まったく、どうして南條にここまで言われているんだろう、と何度も思ったけれど、結果、その言葉が大和の背中を押したことに違いはなかった。
やっぱり千尋とこのまま離れたくはない、という気持ちを強くさせたのだ。
クリスマスイブである今日に来たのは、別に狙ったわけではなく、仕事が詰まっていて身動きが取れなかっただけだが、南條の言葉に触発されたからといって、あれだけ具合が悪くても仕事に行きたがる千尋に対して、仕事を疎かにして駆け付けなかったのは正解だっただろう。
しかし、千尋の家に着いて、チャイムを押してもなかなか出て来ない千尋に、まだ帰っていないのか…と思った後、その理由が必ずしも仕事とは限らないことに気が付いて、どれほど焦ったことか。
大和の気持ちは揺るぎないものになっていたけれど、千尋の気持ちが変わっていないとは言い切れなくて。
南條の話し振りからして、千尋も大和と同じ気持ちでいてくれているような気がしていたけれど、それは飽くまで南條を通して大和が感じたことであって、実際のところは分からなくて。
もしかしたら千尋は、誰かとどこかで会っていて、まだ帰って来ていないのかもしれないし、帰っているとしても、誰か来ているから、出るに出られないのかもしれない。
過ぎていく時間の中で、いろいろと想像して、大和の心は挫けそうになっていた。
それなのに、ようやく顔を見せてくれた千尋は、大和の話を聞いてなぜか笑い出すから、わけが分からなくなった。大和の言い分のどこに、笑われる要素があっただろうか。
しかし、千尋の話を聞いて、大和も合点がいった。
確かに自分たち2人は、いつも相手の思っていることを勝手に想像して勘違いしてばかりだった。今回も大和は、千尋の家に誰かがいると勝手に思って、何も話を聞かずに帰ろうとした。
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心の中でどんなにボロクソに思っていようと、相手は、押しも押されもせぬアイドルFATEの1人だ。せいぜいオブラートに何重にも包んで、口にするのがやっとのはず。
それなのに南條は、さらに続けた。
「プライベートのことをプライベートのうちで引き摺ってる分にはいいけど、仕事にまで持ち込むな。仕事に影響するくらいだったら、こんな茶番さっさとやめて、ちゃんと千尋とけりを付けて来い」
「別に仕事になんて」
「ソワソワしながら番組収録してるヤツの、どこがだよ」
そんなことはない、仕事に私情なんか挟まない、と言い返したかったけれど、傍で見ている人間の、しかもそうしたことを見るという点では素人でない南條が言うのだから、実際、そうだったのだろう。
確かに、千尋の容体は気になっていたし、送ったメッセージのことも、心の片隅にあった。
「お前がどうしたいのか、もう1回よく考えて、ちゃんと方を付けて来い」
まったく、どうして南條にここまで言われているんだろう、と何度も思ったけれど、結果、その言葉が大和の背中を押したことに違いはなかった。
やっぱり千尋とこのまま離れたくはない、という気持ちを強くさせたのだ。
クリスマスイブである今日に来たのは、別に狙ったわけではなく、仕事が詰まっていて身動きが取れなかっただけだが、南條の言葉に触発されたからといって、あれだけ具合が悪くても仕事に行きたがる千尋に対して、仕事を疎かにして駆け付けなかったのは正解だっただろう。
しかし、千尋の家に着いて、チャイムを押してもなかなか出て来ない千尋に、まだ帰っていないのか…と思った後、その理由が必ずしも仕事とは限らないことに気が付いて、どれほど焦ったことか。
大和の気持ちは揺るぎないものになっていたけれど、千尋の気持ちが変わっていないとは言い切れなくて。
南條の話し振りからして、千尋も大和と同じ気持ちでいてくれているような気がしていたけれど、それは飽くまで南條を通して大和が感じたことであって、実際のところは分からなくて。
もしかしたら千尋は、誰かとどこかで会っていて、まだ帰って来ていないのかもしれないし、帰っているとしても、誰か来ているから、出るに出られないのかもしれない。
過ぎていく時間の中で、いろいろと想像して、大和の心は挫けそうになっていた。
それなのに、ようやく顔を見せてくれた千尋は、大和の話を聞いてなぜか笑い出すから、わけが分からなくなった。大和の言い分のどこに、笑われる要素があっただろうか。
しかし、千尋の話を聞いて、大和も合点がいった。
確かに自分たち2人は、いつも相手の思っていることを勝手に想像して勘違いしてばかりだった。今回も大和は、千尋の家に誰かがいると勝手に思って、何も話を聞かずに帰ろうとした。
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