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恋の女神は微笑まない (287)
2015.03.06 Fri
本当の恋人としてのお付き合いを始める前に、もう2度と会わないつもりの別れを何度も経験しているのに、それでもこうして恋人同士になれたなんて、ちょっとした奇跡なんじゃないかと、大和は柄にもなく思う。
お互い相手のことが好きなのだとようやく分かり合えたのに、それでもお付き合いは出来ないと別れた翌日に、間違い電話によって再会する2人なんて、そういるものではない。
あのときは仕事の時間も迫っていたこともあって、名残惜しくも千尋の家を後にしたのだが、気になって、夕方には南條に行ってもらった。
本当は自分で行きたかったけれど、仕事を抜け出すわけにもいかなかったし、『別れた2人』という事実が、改めて大和が千尋の家に行くことを躊躇わせたのだ。
それでも、容体が気になるから、メッセージは送ってしまったのだけれど。
しかし、ただでさえ千尋はそうしたものに返信なんてしないし、具合が悪くて寝ているのならなおさら望み薄だと、端から返事など期待していなかったのに、そういうときに限って律儀に返事が来るものだから、大和は無駄なときめきと、自分でなく南條を向かわせた後悔に襲われた。
千尋とは、その前の日にすべてが終わったことは、もちろん分かっていたけれど、くすぶる想いを消せずにいたのだ。
そこに来て、大和の頼みを不承不承引き受けてくれた南條が、戻って来るなり大和に、「早く仲直りしろ」とか言うから、何を言い出すのかと思ったのだ。
仲直りも何も、別に千尋とは何の仲違いもしていない。相手を好きだという気持ちは、2人同じだ。仲直りなんて、するまでもない。
大体、もし大和と千尋がケンカをしているのだとしても、どうして南條がその仲裁に入るのだ。
わけが分からずに、しかも変わらず千尋との友情が続く南條の立場を羨む気持ちも手伝って(もちろん大和は友情なんかじゃ我慢できないけれど)、「はぁ?」とぶっきら棒に返した。
その態度をどう受け止めたのかは知らないが、すると南條は、千尋から『ありがとう』という伝言を預かったと言うのだ。
その『ありがとう』が、大和が訪ねたことや南條を行かせたことを迷惑に思って、『これまでありがとう、もう係わらなくていいよ』という皮肉を込めた意味だったらどうしよう…と焦ったのだが、それは、『今日来てくれて』のほうだったようで、大和は心からホッとした。
そんな大和に、南條は「お前までまだそんな気持ちでいるなら、全然吹っ切れないんだったら、何かすることがあるんじゃないか?」なんて言って来るから、大和はギョッとして南條を見た。
まさか南條から恋のアドバイスを貰う日が来るとはゆめゆめ思っていなかったし、そもそもマネージャーという立場からして、その発言はどうなのかとも思ったのだ。
しかし南條は続けた。
「前も言ったかもしんないけど、俺の立場からすれば、抱えてるアイドルが、2人して恋人が男とか絶対あり得ないけど、でも……お前が本気で想ってるなら、否定はしないよ。幸せになってほしいって思ってる」
「…サンキュ。でも俺も前に言ったけど、ちーちゃんとは縒りを戻すつもり、ないから」
「あのな、千尋もそうだけど、お前も……縒りを戻さないとか、付き合わないとか、1回そう言ったから引っ込みがつかないでいるだけなら、何とかしろ」
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お互い相手のことが好きなのだとようやく分かり合えたのに、それでもお付き合いは出来ないと別れた翌日に、間違い電話によって再会する2人なんて、そういるものではない。
あのときは仕事の時間も迫っていたこともあって、名残惜しくも千尋の家を後にしたのだが、気になって、夕方には南條に行ってもらった。
本当は自分で行きたかったけれど、仕事を抜け出すわけにもいかなかったし、『別れた2人』という事実が、改めて大和が千尋の家に行くことを躊躇わせたのだ。
それでも、容体が気になるから、メッセージは送ってしまったのだけれど。
しかし、ただでさえ千尋はそうしたものに返信なんてしないし、具合が悪くて寝ているのならなおさら望み薄だと、端から返事など期待していなかったのに、そういうときに限って律儀に返事が来るものだから、大和は無駄なときめきと、自分でなく南條を向かわせた後悔に襲われた。
千尋とは、その前の日にすべてが終わったことは、もちろん分かっていたけれど、くすぶる想いを消せずにいたのだ。
そこに来て、大和の頼みを不承不承引き受けてくれた南條が、戻って来るなり大和に、「早く仲直りしろ」とか言うから、何を言い出すのかと思ったのだ。
仲直りも何も、別に千尋とは何の仲違いもしていない。相手を好きだという気持ちは、2人同じだ。仲直りなんて、するまでもない。
大体、もし大和と千尋がケンカをしているのだとしても、どうして南條がその仲裁に入るのだ。
わけが分からずに、しかも変わらず千尋との友情が続く南條の立場を羨む気持ちも手伝って(もちろん大和は友情なんかじゃ我慢できないけれど)、「はぁ?」とぶっきら棒に返した。
その態度をどう受け止めたのかは知らないが、すると南條は、千尋から『ありがとう』という伝言を預かったと言うのだ。
その『ありがとう』が、大和が訪ねたことや南條を行かせたことを迷惑に思って、『これまでありがとう、もう係わらなくていいよ』という皮肉を込めた意味だったらどうしよう…と焦ったのだが、それは、『今日来てくれて』のほうだったようで、大和は心からホッとした。
そんな大和に、南條は「お前までまだそんな気持ちでいるなら、全然吹っ切れないんだったら、何かすることがあるんじゃないか?」なんて言って来るから、大和はギョッとして南條を見た。
まさか南條から恋のアドバイスを貰う日が来るとはゆめゆめ思っていなかったし、そもそもマネージャーという立場からして、その発言はどうなのかとも思ったのだ。
しかし南條は続けた。
「前も言ったかもしんないけど、俺の立場からすれば、抱えてるアイドルが、2人して恋人が男とか絶対あり得ないけど、でも……お前が本気で想ってるなら、否定はしないよ。幸せになってほしいって思ってる」
「…サンキュ。でも俺も前に言ったけど、ちーちゃんとは縒りを戻すつもり、ないから」
「あのな、千尋もそうだけど、お前も……縒りを戻さないとか、付き合わないとか、1回そう言ったから引っ込みがつかないでいるだけなら、何とかしろ」
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