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恋の女神は微笑まない (286)
2015.03.05 Thu
「何、大和くんっ!」
千尋の上目遣いにドキドキしていたら、まだ数秒しか経っていなかっただろうけど、千尋にとってはとても耐えられないほどの長時間に思えたのか、焦れたような声が上がる。
それでも必死に大和のほうを見てくれているんだから、本当にかわいい。どこまで大和をメロメロにしたら気が済むんだろう。
「ちーちゃん、好きです。お試しじゃなくて、ちゃんとお付き合いしてください」
「ッ、、、、」
改めてそう言うと、千尋は顔を赤くして大和を睨んで来る。
いや、さっきもそう思ったんだけど、でもこれは睨んでいるわけではなくて、大和から目を逸らさないようにがんばっているせいで、目力がすごいことになっているだけなのだ。
「俺も、しゅ、好、きっ…」
1回噛んで、それでも何とか言い切って、その途端、千尋はバッと大和から顔を背けた。どうやら限界が来たらしい。
これまでの感じからして、千尋は結構恋愛経験が豊富そうだし、いろいろと奔放なのに、時々こうして純情な一面が顔を覗かせる。それが堪らなくいとおしい。
「ありがとう、ちーちゃん! 超好きっ!」
「ぬ?」
愛しさが込み上げて来て、大和は思わず千尋に抱き付いた。
好き、好き、好き――――ずっと思っていた。
お試しのお付き合いをしたり、週刊誌がもとで離れ離れになったり、気持ちの誤解を解いて、互いに相手を好きだと分かったのに、それでも離れることになったり。
千尋には何度も、嫌いになってくれと言われたけれど、1度だって嫌いにはなれなかった。ずっと好きだった。ずっと、ずっと。
「う…ぬぅぅ…」
「ん? ちーちゃん?」
嬉しさのあまりキュウキュウと千尋を抱き締めていたら、腕の中の千尋が呻くような声を上げたので、もしかして力を込め過ぎたかな? と大和は少し腕を緩めて、千尋の顔を覗き込んだ。
「に゛ぃ~~~…………」
「ちーちゃん!?」
途端、力の抜けた千尋の体が、大和の腕からずるりと滑り落ちていく。慌てて大和は千尋の体を受け止めたが、顔を赤くした千尋は目を閉じたまま、いくら呼び掛けても反応がない。
調子に乗って抱き締めたのがまずかったらしい。
「あー…」
数分前と同じ過ちを繰り返した自分に呆れる反面、こんな調子の千尋にもちょっと困ってしまう。
今告白したばかりで、気も動転しているからだと信じたいが、晴れて恋人同士になれたというのに、抱き締めるたびにこんなことになっていたら、これから先が思いやられる。
大和は溜め息をつくと、とりあえず、すぐそこに見えるソファに千尋を横たえさせて、その横に腰を下ろした。
「…ちーちゃん、」
まだ赤い頬に、そっと触れてみる。
一筋縄ではいかない、このかわいい子を手に入れるために、まったくどれほどの努力と苦労をしたことか。
「ねぇちーちゃん、分かってる?」
大和は、そのかわいらしい顔に、問い掛けた。
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千尋の上目遣いにドキドキしていたら、まだ数秒しか経っていなかっただろうけど、千尋にとってはとても耐えられないほどの長時間に思えたのか、焦れたような声が上がる。
それでも必死に大和のほうを見てくれているんだから、本当にかわいい。どこまで大和をメロメロにしたら気が済むんだろう。
「ちーちゃん、好きです。お試しじゃなくて、ちゃんとお付き合いしてください」
「ッ、、、、」
改めてそう言うと、千尋は顔を赤くして大和を睨んで来る。
いや、さっきもそう思ったんだけど、でもこれは睨んでいるわけではなくて、大和から目を逸らさないようにがんばっているせいで、目力がすごいことになっているだけなのだ。
「俺も、しゅ、好、きっ…」
1回噛んで、それでも何とか言い切って、その途端、千尋はバッと大和から顔を背けた。どうやら限界が来たらしい。
これまでの感じからして、千尋は結構恋愛経験が豊富そうだし、いろいろと奔放なのに、時々こうして純情な一面が顔を覗かせる。それが堪らなくいとおしい。
「ありがとう、ちーちゃん! 超好きっ!」
「ぬ?」
愛しさが込み上げて来て、大和は思わず千尋に抱き付いた。
好き、好き、好き――――ずっと思っていた。
お試しのお付き合いをしたり、週刊誌がもとで離れ離れになったり、気持ちの誤解を解いて、互いに相手を好きだと分かったのに、それでも離れることになったり。
千尋には何度も、嫌いになってくれと言われたけれど、1度だって嫌いにはなれなかった。ずっと好きだった。ずっと、ずっと。
「う…ぬぅぅ…」
「ん? ちーちゃん?」
嬉しさのあまりキュウキュウと千尋を抱き締めていたら、腕の中の千尋が呻くような声を上げたので、もしかして力を込め過ぎたかな? と大和は少し腕を緩めて、千尋の顔を覗き込んだ。
「に゛ぃ~~~…………」
「ちーちゃん!?」
途端、力の抜けた千尋の体が、大和の腕からずるりと滑り落ちていく。慌てて大和は千尋の体を受け止めたが、顔を赤くした千尋は目を閉じたまま、いくら呼び掛けても反応がない。
調子に乗って抱き締めたのがまずかったらしい。
「あー…」
数分前と同じ過ちを繰り返した自分に呆れる反面、こんな調子の千尋にもちょっと困ってしまう。
今告白したばかりで、気も動転しているからだと信じたいが、晴れて恋人同士になれたというのに、抱き締めるたびにこんなことになっていたら、これから先が思いやられる。
大和は溜め息をつくと、とりあえず、すぐそこに見えるソファに千尋を横たえさせて、その横に腰を下ろした。
「…ちーちゃん、」
まだ赤い頬に、そっと触れてみる。
一筋縄ではいかない、このかわいい子を手に入れるために、まったくどれほどの努力と苦労をしたことか。
「ねぇちーちゃん、分かってる?」
大和は、そのかわいらしい顔に、問い掛けた。
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