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恋の女神は微笑まない (285)
2015.03.04 Wed
「だって大和くんの筋肉とか、ヤバいもん、マジで」
千尋は自分の足で床に立つと、大和の腕の中から抜け出した。
もう少し抱き締めていたかったな、という思いもあるが、また気を失われても敵わないので、大人しく腕を引っ込める。
「最初さぁ、ダウン着てるし、あんま分かんないから大丈夫って思ってたけど、想像したらヤバかった」
「想像て……ちーちゃん、さっきそんなこと考えてたの? 俺が『目開けて?』て言ってたとき」
「それだけじゃないけど、いろいろ考えてたら、そこに行き着いた」
「何で…」
千尋の思考回路は、やはりなかなか一筋縄ではいかないようだ。
「てか大和くん、あの状況で目なんか開けさせて、どうするつもりだったの? どういうプレイ?」
照れたり、千尋の大好きな筋肉に囲まれたりしていると、いつもの調子が出ないようだが、ほんの数分前までそんな状況だったにもかかわらず、大和の腕から逃れた千尋は、いつもどおりの千尋に戻っていた。
さっきの真っ赤になっていた千尋も十分かわいかったけれど、やっぱりこのほうが千尋らしくていい(琉に言わせれば、「どこが?」ということになるのだが)。
「どうするつもりだった……て、話をするつもりだったよ?」
「は?」
「好きだ、て言うつもりだった」
「ッ…」
「だってまだ、ちゃんと顔見て、目を見て言ってなかったからね」
千尋が目を閉じていようが、下を向いていようが、あのとき大和が言った言葉に嘘はないけれど、でもやっぱりこういうことは、ちゃんとしないと、と思ったので。
千尋を見れば、大和にそっぽを向いた横顔、頬がまた赤くなっている。こういうベタなことは、苦手なんだろうか。今「好き」て言ったら、照れて怒るかな。
「ちーちゃん、こっち向いてよ」
千尋は動かない。大和のほうを向かないけれど、代わりに、どこかに逃げて行ったり、大和に帰れと言ったりもしない。
心の中で、照れと素直になりたい気持ちが葛藤しているのだろう。意味もなく両手の指先を絡ませたり、大和とは全然違うほうに顔を向けたりしている。
そんな千尋の様子をかわいいと思いながら、静かに千尋に近付けば、千尋はピクリと肩を跳ね上げた。何ていうか……小動物を連想させる。
「ちーちゃん、」
千尋は落ち着きなく、キョロキョロと視線をさまよわせながら、時々大和のことを見る。
本当はがんばって大和を見ようとしているのだろう。千尋の性格からして、本気で嫌なら、もうとっくにキレている。
「…何?」
ようやく覚悟が決まったのか、千尋がじっと大和を見上げた。
身長差なんてそんなにないのに、千尋が大和を見上げる形になったのは、千尋が少し俯いているからで、その上目遣いに大和は心を打ち抜かれる。本当に、心臓が持たないのはこっちのほうだ。
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千尋は自分の足で床に立つと、大和の腕の中から抜け出した。
もう少し抱き締めていたかったな、という思いもあるが、また気を失われても敵わないので、大人しく腕を引っ込める。
「最初さぁ、ダウン着てるし、あんま分かんないから大丈夫って思ってたけど、想像したらヤバかった」
「想像て……ちーちゃん、さっきそんなこと考えてたの? 俺が『目開けて?』て言ってたとき」
「それだけじゃないけど、いろいろ考えてたら、そこに行き着いた」
「何で…」
千尋の思考回路は、やはりなかなか一筋縄ではいかないようだ。
「てか大和くん、あの状況で目なんか開けさせて、どうするつもりだったの? どういうプレイ?」
照れたり、千尋の大好きな筋肉に囲まれたりしていると、いつもの調子が出ないようだが、ほんの数分前までそんな状況だったにもかかわらず、大和の腕から逃れた千尋は、いつもどおりの千尋に戻っていた。
さっきの真っ赤になっていた千尋も十分かわいかったけれど、やっぱりこのほうが千尋らしくていい(琉に言わせれば、「どこが?」ということになるのだが)。
「どうするつもりだった……て、話をするつもりだったよ?」
「は?」
「好きだ、て言うつもりだった」
「ッ…」
「だってまだ、ちゃんと顔見て、目を見て言ってなかったからね」
千尋が目を閉じていようが、下を向いていようが、あのとき大和が言った言葉に嘘はないけれど、でもやっぱりこういうことは、ちゃんとしないと、と思ったので。
千尋を見れば、大和にそっぽを向いた横顔、頬がまた赤くなっている。こういうベタなことは、苦手なんだろうか。今「好き」て言ったら、照れて怒るかな。
「ちーちゃん、こっち向いてよ」
千尋は動かない。大和のほうを向かないけれど、代わりに、どこかに逃げて行ったり、大和に帰れと言ったりもしない。
心の中で、照れと素直になりたい気持ちが葛藤しているのだろう。意味もなく両手の指先を絡ませたり、大和とは全然違うほうに顔を向けたりしている。
そんな千尋の様子をかわいいと思いながら、静かに千尋に近付けば、千尋はピクリと肩を跳ね上げた。何ていうか……小動物を連想させる。
「ちーちゃん、」
千尋は落ち着きなく、キョロキョロと視線をさまよわせながら、時々大和のことを見る。
本当はがんばって大和を見ようとしているのだろう。千尋の性格からして、本気で嫌なら、もうとっくにキレている。
「…何?」
ようやく覚悟が決まったのか、千尋がじっと大和を見上げた。
身長差なんてそんなにないのに、千尋が大和を見上げる形になったのは、千尋が少し俯いているからで、その上目遣いに大和は心を打ち抜かれる。本当に、心臓が持たないのはこっちのほうだ。
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