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29. 星が降る限り月が輝く限りそれは変わらないもの
2008.09.09 Tue
「哲也……もう、ここでバイバイしよ?」
「え?」
長い沈黙を打ち破るように言った俺のセリフに、弾かれるように哲也は顔を上げた。
黙ったまま、どのくらいの時間が流れたのかは分からない。沈黙は、長かったのか、短かったのか―――――時計を見たら、思いのほか経過していた時間に驚かされる。
「もう帰らないと、心配される」
「…………嫌だ」
「哲也、」
「だってここでバイバイしたら、もう会われなくなる!」
「………………もう、会わないほうがいいよ」
「嫌だ!! 嫌だぁ…」
何で?
何でそんなん言うんだよ。
また会えばツラくなるってこと、お前だって分かるだろ?
「俺……ホントは分かってるよ? 何でこんな気持ちになるのか」
「哲也! …………それは言うな、言ったらダメだよ。……お前には、帰ったら待っててくれる人がいるんだよ? お前のことを愛してくれる、」
「貴久……俺のこと、もう嫌いになったの?」
「そうじゃなくて、」
「なら何!?」
嫌いになるなんて。
そんなわけない。
そんなこと、あるわけないだろ?
お前とは一緒にいたいよ? でも、もう無理だろ? 何でそれを分かってくれないの?
「お前は分かってない。言っただろ? お前には帰るトコがあるんだよ。もし俺がお前といたいって、俺んトコに戻って来いって言ったら、お前、それ捨てて来れんのか? 全部捨てることになるんだぞ!」
「………………」
哲也はハッとしたような顔で、俺のことを見上げていた。
こんなクサいセリフ、出来損ないのドラマじゃあるまいし、まさか自分で言うときが来るなんて、思ってもみなかったけど。
「分かっただろ? だからもう、バイバイしよ?」
「……嫌だ…」
「哲也」
「だって俺……それでも貴久といたいんだもん」
真っ直ぐに、見つめられて。
その瞳の中に、揺るぎなさを見つける。
………………ふと、啓ちゃんの言葉を思い出した。
よく暴力を振るう人だって。
そんなの、何でよりを戻したいなんて思うのか、俺には全然理解できなかったけど。
でも、
『それでも、側にいたいんだ』
何でそんな風に言うのか。
あぁ、やっと分かった。
「あぁ…」
大きく息をついて、頭を抱えた。
いや、前から分かってたよ。
気付きたくなかっただけ。
「貴久?」
「…………アホだなぁ……ホント」
「は!? え? 何が?」
「……俺が」
「え? 何で?」
顔を上げれば、まだ目を潤ませたまま、けれど俺の行動を不可解に思ったのか、眉を寄せて訝しげな表情をしてる。
ダメだ……俺まで泣きそうだ。
「…………そうなんだ、側にいたいんだ…」
「え?」
きっと、それだけじゃ、ダメなんだろうけど。
側にいたいって、一緒にいたいって、それだけじゃあダメなんだろうけど、でも。
「俺も、お前と一緒にいたいよ、哲也」
「え?」
長い沈黙を打ち破るように言った俺のセリフに、弾かれるように哲也は顔を上げた。
黙ったまま、どのくらいの時間が流れたのかは分からない。沈黙は、長かったのか、短かったのか―――――時計を見たら、思いのほか経過していた時間に驚かされる。
「もう帰らないと、心配される」
「…………嫌だ」
「哲也、」
「だってここでバイバイしたら、もう会われなくなる!」
「………………もう、会わないほうがいいよ」
「嫌だ!! 嫌だぁ…」
何で?
何でそんなん言うんだよ。
また会えばツラくなるってこと、お前だって分かるだろ?
「俺……ホントは分かってるよ? 何でこんな気持ちになるのか」
「哲也! …………それは言うな、言ったらダメだよ。……お前には、帰ったら待っててくれる人がいるんだよ? お前のことを愛してくれる、」
「貴久……俺のこと、もう嫌いになったの?」
「そうじゃなくて、」
「なら何!?」
嫌いになるなんて。
そんなわけない。
そんなこと、あるわけないだろ?
お前とは一緒にいたいよ? でも、もう無理だろ? 何でそれを分かってくれないの?
「お前は分かってない。言っただろ? お前には帰るトコがあるんだよ。もし俺がお前といたいって、俺んトコに戻って来いって言ったら、お前、それ捨てて来れんのか? 全部捨てることになるんだぞ!」
「………………」
哲也はハッとしたような顔で、俺のことを見上げていた。
こんなクサいセリフ、出来損ないのドラマじゃあるまいし、まさか自分で言うときが来るなんて、思ってもみなかったけど。
「分かっただろ? だからもう、バイバイしよ?」
「……嫌だ…」
「哲也」
「だって俺……それでも貴久といたいんだもん」
真っ直ぐに、見つめられて。
その瞳の中に、揺るぎなさを見つける。
………………ふと、啓ちゃんの言葉を思い出した。
よく暴力を振るう人だって。
そんなの、何でよりを戻したいなんて思うのか、俺には全然理解できなかったけど。
でも、
『それでも、側にいたいんだ』
何でそんな風に言うのか。
あぁ、やっと分かった。
「あぁ…」
大きく息をついて、頭を抱えた。
いや、前から分かってたよ。
気付きたくなかっただけ。
「貴久?」
「…………アホだなぁ……ホント」
「は!? え? 何が?」
「……俺が」
「え? 何で?」
顔を上げれば、まだ目を潤ませたまま、けれど俺の行動を不可解に思ったのか、眉を寄せて訝しげな表情をしてる。
ダメだ……俺まで泣きそうだ。
「…………そうなんだ、側にいたいんだ…」
「え?」
きっと、それだけじゃ、ダメなんだろうけど。
側にいたいって、一緒にいたいって、それだけじゃあダメなんだろうけど、でも。
「俺も、お前と一緒にいたいよ、哲也」
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COMMENT-FORM
柚子季@携帯 ⇒
うわぁ~ん゜。(p>∀<q)。゜゜
とうとう、ようやく言えたのね!!
あぁ、頑張ったよ二人とも!
これからどうなるんでしょう・・・ドキドキ♪
とうとう、ようやく言えたのね!!
あぁ、頑張ったよ二人とも!
これからどうなるんでしょう・・・ドキドキ♪
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
ま…まさに今、柚子季さんと繋がってる~!
ここまで言うのに、長い道のりでした。
私も何度、この2人は~! と思ったことが。
このお話も、残りわずかとなりましたが、どうぞよろしくお願いします。
コメントありがとうございます!
ここまで言うのに、長い道のりでした。
私も何度、この2人は~! と思ったことが。
このお話も、残りわずかとなりましたが、どうぞよろしくお願いします。
コメントありがとうございます!
りり ⇒ やっと言った~~~~~~……!
ああぁ…安心するあまり脱力(入れ込みすぎ
あとは幸せになってね……。
良かった~~~~~(大泣き
頑張ったふたり、そして如月さま、
ありがとうございます~~~~(T_T)感動…。
如月さまいつも思ってましたが小題つけるの上手ですよね。
長編のタイトルになりそうなほど素敵なのばかりで。
題名つける能力(も!)ないので、羨ましいです!
あとは幸せになってね……。
良かった~~~~~(大泣き
頑張ったふたり、そして如月さま、
ありがとうございます~~~~(T_T)感動…。
如月さまいつも思ってましたが小題つけるの上手ですよね。
長編のタイトルになりそうなほど素敵なのばかりで。
題名つける能力(も!)ないので、羨ましいです!
如月久美子 ⇒ >りりさま
ホンット、やっと言った~~~~!! て感じですよね。
私も、まだなの? まだなの? て、絶対言う。
というか!
私のこんな文章で感動してもらえるなんて、こっちが感動です~~。
こっちが泣きます。
あ、ちなみにタイトルは、素敵なお題配布サイトさんからいただいてるんですよ~。
私にこんな素敵なセンスはありません(爆)
コメント、ありがとうございます!
私も、まだなの? まだなの? て、絶対言う。
というか!
私のこんな文章で感動してもらえるなんて、こっちが感動です~~。
こっちが泣きます。
あ、ちなみにタイトルは、素敵なお題配布サイトさんからいただいてるんですよ~。
私にこんな素敵なセンスはありません(爆)
コメント、ありがとうございます!
Setsura ⇒ ゎぁぁ…vvv
哲タンが頑張った!!!嬉しいです~
哲タン哲タン!!後悔したくないもんね!
貴久タンの本心がひっぱり出せてホントに
Setsuraもめっちゃ幸せデス(嬉´∇`嬉)ホクホク
あぁ…しかし本当に終わりに近づいてるんですね…。
あのですね、哲タンと貴久タン、超好きなんです(告白)。
また書いてほしいです…。プチイベントとかッ(切実)。
まだ終わってないのに、もうかなりショボーンです。
でもでも明日も楽しみにしてます!!!
如月様、お仕事大変そうですが、お身体に
気をつけながら書いてくださいね(´ー`)ノ♪
哲タン哲タン!!後悔したくないもんね!
貴久タンの本心がひっぱり出せてホントに
Setsuraもめっちゃ幸せデス(嬉´∇`嬉)ホクホク
あぁ…しかし本当に終わりに近づいてるんですね…。
あのですね、哲タンと貴久タン、超好きなんです(告白)。
また書いてほしいです…。プチイベントとかッ(切実)。
まだ終わってないのに、もうかなりショボーンです。
でもでも明日も楽しみにしてます!!!
如月様、お仕事大変そうですが、お身体に
気をつけながら書いてくださいね(´ー`)ノ♪
- |2008.09.09
- |Tue
- |12:01
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >Setsuraさん
何とかようやくここまで漕ぎ着けましたよ~。
Setsuraさんをはじめ、みなさんに支えてもらったおかげです~(って、まだ終わってないのに…)。
こんなに愛されて、何て幸せな子たち…!!
しかも私にまで、優しいお言葉、ありがとうございます。
コメントありがとうございました!
Setsuraさんをはじめ、みなさんに支えてもらったおかげです~(って、まだ終わってないのに…)。
こんなに愛されて、何て幸せな子たち…!!
しかも私にまで、優しいお言葉、ありがとうございます。
コメントありがとうございました!